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予算特別委員会 3月10日 Part2 「相互防災協定」

先日から予算特別委員会での質問の内容をご紹介しています。本日は、3月10日 Part2としまして、「防災協定」についての質問をご紹介します。


 足立区は現在、いくつかの自治体と「相互防災協定」を結んでいます。これは協定を結んでいる自治体が大規模災害等で被災したときに、他方の自治体が復興 支援などをするというものです。
 最近でも、新潟県で大きな地震があったことは、皆さんの記憶に新しいと思います。
 区民の皆さんの生命と財産を守り、安心して暮らせる街にするために、災害に対する平時からの備えを考えることは、とても重要なことです。

 今回、改めて、足立区が相互防災協定を結んでいる自治体を調べてみました。その自治体のホームページや地図などから、位置や自治体の規模などもひとつひ とつ調べるとともに、それぞれの協定の内容も確認しました。

 調べていくうちに気になったのが、足立区が現在、相互防災協定を結んでいる大半が、関東圏(近隣)の自治体であることでした。
 大規模災害の時、つまり本当に応援が必要なときに、相互防災協定を結んでいる自治体も同時に被災している可能性があります。当然、他の自治体の応援どこ ろではありません。
 また、ある程度、足立区から距離の離れた自治体とも協定を結んでいますが、足立区に比べて規模が小さな自治体が多く、本当に十分な応援が期待できるかが 課題となります。

 さらに、ほとんどの協定において、その内容は「災害が起こったら、どのような応援をするか協議する」というものでした。(連絡が取れないときには、それ ぞれの自治体で判断するという項目がある協定もありました)

 しかし、災害が起こってから悠長に協議していたのでは、迅速で、効果的な応援は出来ないと思います。
 そもそも、他の自治体の応援が必要なほど被災しているときに、悠長に協議なんかしている暇があるとも思えません。
 今の状況は、家庭で例えると、災害時に食料、水、クスリなどを持ち出すものはリストにしておいて、実際には災害が起こったら、それらの数量を考え、非常 用持ち出し袋に詰めて持ち出します。と言っているようなものです。
 本当に被災したら、それが大規模災害であればあるほど、そんな余裕はありません。平時から中身の整っていないようでは、「非常用持ち出し袋」の意味がな いことは明らかだと思います。

 もちろん、災害の規模などさまざまだと思いますが、ある程度の災害の規模を予測したシミュレーションに基づいた応援のケースを、いくつか事前に決めてお くことが必要ではないかと考え、今回質問の中でも提案しました。

 例えば、
 ケースA:水、食料 ○○kg、人員を○名、何時間以内に派遣
 ケースB:水、食料 ○○kg、毛布○枚、車両○台、人員○○名
 などと決めておいて、災害が起こったらすぐに協議し、「今回はケースA」、「今回はケースB」というような選択肢をあらかじめ決めておけば、混乱する中 で、とりあえずは、最小限の協議で済むはずです。
 そのあと、さらに必要なものがあれば、また協議すればいいのです。(被災自治体に他方から連絡係りを派遣するのもひとつです)


 とにかく、被災地への応援は、初動が最も大切です。(これは足立区が被災したときも同様です)
 平時から、十分に備えをし、災害時の混乱を最小限に抑えることが、区民の皆さん(防災協定を結んでいる自治体の皆さん)の安心、安全につながると思いま す。

 この問題には引き続き注目し、区民の皆さんの安全を確保できるよう、私もさらに勉強をし、提案をしていきたいと思います。




−−−−−以下、議事録要旨(抜粋)−−−−−

【長谷川】
 足立区の危機管理の一つである防災協定について質問いたします。
 初めに、現在、足立区が相互防災協定を結んでいる自治体は幾つかありますが、どの自治体と相互防災協定を結ぶかという基準は、どのように決められていま すでしょうか。

<災害対策課長>
 現在、特に明確な基準はございませんが、過去の協定を見ますと、友好都市であるとか、足立校外施設があるとか、そのほか足立区の著名人のゆかりの地であ る、こういった理由が主な協定の理由になっております。


【長谷川】
 今後、さらにほかの自治体と相互防災協定を結ぶつもりはありますでしょうか。

<災害対策課長>
 委員ご指摘のとおり、足立区の安全安心を今後も確保していくため、機会あれば協定締結をしてまいります。


【長谷川】
 足立区が相互防災協定を結んでいる自治体を見ますと、東京23区を除いても近隣の自治体、関東圏の自治体が多いようです。
 地震のような広範囲に大きな被害をもたらす災害、例えばある予想では、フィリピン海プレートと北米プレートの境界の地震(東京湾北部地震)では、マグニ チュード7.3、震源から半径約50キロメートル以内で震度5強の予想があります。
 あまり近隣の自治体と結んでは、小さな災害のときにはある程度は機能しますが、大きな地震などでは相互協定を結んでいる自治体も被災することになり、意 味のないものになってしまいますが、どのようにお考えでしょうか。

<災害対策課長>
 委員ご指摘のとおり、余り近い自治体だけではリスクがあると思いますので、現在、ある程度、距離が離れた自治体とも協定を締結しております。


【長谷川】
 そもそもほかの自治体に応援を頼む必要のある場合というのは、大規模な災害で大きな被害が出たときを想定していると思います。災害の規模によって、(協 定を結ぶ自治体として)50キロメートル、100キロメートル、200キロメートル、500キロメートル離れた地域の自治体を選定する、もしくは海外な ど、例えば友好都市ベルモントなども視野に入れるべきではないでしょうか。

 災害の応援援助というのは2種類考えられまして、被災直後のライフラインなどがとまってしまっているときの援助物資やボランティアなどによる応援、もち ろん区民の皆さんの生命を守るためにもこれらは非常に大切です。それから、被災直後の混乱がおさまって復興復旧していこうとするときの応援があると思いま す。
 ある程度距離の離れた自治体と協定を結ぶというのは、第2陣、第3陣の時間差での応援という意味でも決してむだではないと思います。

 また、人口が足立区と比べて非常に少ない自治体もあります。やはり大きな規模の自治体というのは、いろいろな意味で体力があります。相互の協定という意 味でも、同じような規模の自治体との協定を結ぶことも考慮に入れてはいかがでしょうか。

<危機管理室長>
 ただいまいろいろお話がございましたが、足立区といたしましては、東京23区と相互支援協定を結んでおりますし、また近隣の八潮、川口等とも相互支援協 定を結んでおります。しかしながら、近いところだけでは同時に被災してしまって、なかなか効果が薄いのではないかというご指摘もございます。
   そうしたところから、魚沼、鹿沼、日光、那須塩原、あるいは相馬、若干体力的には違うところもございますが、そういったところとも結んでおります。
 あと、足立区と同じぐらいの規模の自治体をというお話でございますが、そういったところとも、ある意味では考慮していく必要かおるのかなと思っておりま す。

 ただし、海外につきましては、言葉の問題ですとか、初動体制の問題ですとか、あるいは足立区が実際に行こうと思ったときに、現実的にそれが可能なのかど うかということを考えますと、非常に海外については難しいのではないかなと考えております。


【長谷川】
 次に、先程も申しました被災直後の応援という点から質問させていただきます。
 協定は、支援の項目などが定められていますが、具体的な数量、人数などは定められていません。
 協定の中に、具体的なことはそれぞれ協議して決めるとありますが、援助物資の数量など具体的な取り決めをしている自治体はございますでしょうか。

<災害対策課長>
 特にございません。


【長谷川】
 災害の支援は、初動が最も重要です。時間がたてば、被害の大きさにもよりますけれども、ライフラインの復旧が望めたり、協定を結んでいない自治体からの 支援も期待できます。協定を結んでいる自治体としては、最も必要なとき、つまり災害発生直後にいかに早く支援できる体制を整えるべきだと思います。

 相互災害協力の協定を発動しなければいけないというような大きな災害に見舞われたときには、正直、悠長に協議などしている余裕はないはずです。
 新潟県中越地震では、災害協定を結んでいても、実際の現場ではどのように支援に入ればよいか戸惑うことも多かったようです。中には、ボランティアセン ターのコーディネートのもと、支援活動を行ったという現実もあったそうです。

 そこで、足立区では、平時に事前に災害の規模を想定した救援計画を幾つかのケース分けで準備しておき、実際の初動での応援では、そのケースの選択とした 方がスムーズに援助活動が行えるのではないでしょうか。

 例えばケースAは、水、食料何キロ、人員を何名、何時間以内に派遣するとか、ケースBは水、食料何キロ、毛布何枚、車両何台、人員何名などをあらかじめ 決めておき、災害発生時の要請のときには、「今回はとりあえずケースA、その後はさらに協議」などとしないと、実際に役に立つ協定にならないような気がし ます。
 あらかじめケース分けした応援項目を策定してはいかがでしょうか。

<災害対策課長>
 事前に詳細な救援計画についてということでございますが、非常にこれはなかなか難しい問題でございまして、被災の規模であるとか、程度であるとか、相手 方協定先の自治体の備蓄量の問題であるとか、季節、あるいは時間の変化とともに必要な物資というのは変わってきます。
 現在、足立区の救援の方法といたしましては、被災直後に相手先の市だとか県に連絡をとって、何が一番必要なのかということを確認して、応援物資を集めて 行くというのが現在の方法でございます。

 委員ご指摘の方法におきましても、迅速性の点ということでは、ある程度効果があるのではないかということで、今後調査研究してまいります。


【長谷川】
 災害時には、さまざまな混乱が生じて、情報も錯綜し、情報伝達にも不都合が生じる可能性は十分あります。
 事前に決められていることは決めておき、被災時の混乱を最小限に抑えて、有効な支援体制を整えて、そして協定を結んだ自治体とは平時から交流を深めてい く、そのようなことが重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。