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民主党区議団視察 3日目 静岡県浜松市 Part1

 視察の最終日(3日目)は、静岡県浜松市です。
 浜松市では、「多文化共生について」と「ユニバーサルデザインについて」という2つのテーマについて視察を行いました。
 今日は、3日目のPart1といたしまして、浜松市の「多文化共生」の取り組みについてご報告します。


 浜松市は静岡県の西部に位置し、東に天竜川、西に浜名湖、北に南アルプスの山並み、南に太平洋を望む豊かな自然環境に恵まれた都市です。
 平成17年7月に周辺11市町村と合併し、人口は約80万人となっています。平成19年度には、国内で16番目の政令指定都市となりました。

 産業では、ピアノなどの生産を中心とした楽器産業(ヤマハ・カワイなど)、オートバイをはじめとした輸送用機器産業、電子技術などの先端技術産業など、 世界市場でも高い評価を受けている企業が多数立地する、ものづくりが盛んな地域です。


 このような活発な経済活動を背景に、外国人登録者数は3万3千人を超え、うちブラジル人国籍者が約1万9千人と国内で最多のコミュニティが存在していま す。外国人登録者数全体では、全国第2位です(1位:大阪市生野区・2位:静岡県浜松市・3位:東京都足立区)。

 ここ浜松市では、3年に一度、外国人市民の生活や就学の実態を把握すべく、市で多角的に外国人市民の実態調査を行っています。
 その内容をお聞きすると、いろいろな問題点も浮き彫りとなってきます。
 中でも、保険、年金では、全体の約3割強が未加入だそうです。

 一般的に、外国人市民が医療保険に加入しないのは、
  ①制度そのものを知らない
  ②保険料が高いから加入したくない
  ③厚生保険や、年齢によっては介護保険までセットで加入しなければ
   いけないので負担が大きい
  ④病院へ行かないから加入する必要がないと考えている

 など外国人自身に問題がある場合と、健保適用事業所で就労しているにもかかわらず、事業主が保険料の負担を嫌って加入させないといった雇用者側の問題が あるようです。
 強制適用事業所であるにもかかわらず、外国人労働者を健保に加入させていない事業所があっても、国にそれを指導・監督する仕組みが十分にない為、野放し になっている現状があります。
 この問題は各自治体の範疇でないため、また、外国人市民と雇用者側の利害が一致するため、外国人市民の社会保障の未加入という問題が深刻化しているよう です。


 このような外国人が多く住む地域の問題を話し合うために、浜松市は「外国人集住都市会議」に参加しています。
 外国人集住都市会議は、外国人住民に関わる施策や活動状況に関する情報交換を行うなかで、地域で顕在化しつつある様々な問題の解決に積極的に取り組んで いくことを目的として、2001年に浜松市などが中心となり設立され、以後、会議は毎年開かれています。
 2008年4月現在、全国26都市が会員都市となっています。(最後にリストを掲載)

 今年は、東京で「外国人集住都市会議」が開催されます。
 会議では、各地方自治体が外国人市民の就労、教育、医療、社会保障などの法律や制度に起因する諸課題を解決すべく、議論されます。
 この首長会議により、国・県・関係機関への提言や連携した取り組みを検討し、今後、我が国の国際化に必要不可欠な外国人市民との地域共存の確立を目指し ています。


 今後、日本に居住している外国人市民のお声にも、私達は積極的に耳を傾けていく必要があります。
 異なる考えを持つ方々とも建設的な議論を交わしていくことは、とても重要なことです。
 外国人市民との共生、そして国際結婚による多文化化、法的地位と社会的現実の乖離(かいり)といった状況のなかで、外国人市民の方々も重要な社会の一員 としてとらえることは、社会システムを再構築していく上でとても重要な課題だと改めて感じました。


 先にも触れましたが、足立区も外国人登録者数が、全国でトップクラスの自治体です。
 さまざまな歴史や文化を持つ国の出身の方々と、助け合い、協力し合うことによって、足立区に暮らす全ての人にとって「安心して暮らせる街づくり」を実現 するためにも、同じような課題を抱えている自治体と意見交換などをしながら、取り組みを進めていきたいと思います。


「外国人集住都市会議」会員都市(2008年4月現在)

 【静岡県】浜松市、磐田市、湖西市、富士市、袋井市
 【愛知県】豊橋市、豊田市、岡崎市、尾西市、小牧市
 【三重県】四日市市、鈴鹿市、伊賀市、津市
 【岐阜県】大垣市、可児市、美濃加茂市
 【滋賀県】湖南市、長浜市
 【群馬県】太田市、大泉町
 【長野県】飯田市、上田市
20080809

写真では、小さくて見にくいですが、ブラジル国籍の方が多いため、市役所などの案内板には、日本語・英語だけでなく、ポルトガル語でも表記してあります。