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足立区議会民主党会派視察③ NPO法人それいゆ 発達障がい成人支援センター 

今日は民主党会派視察2日目です。

今日は早朝からNPO法人それいゆ 発達障がい成人支援センターの見学会に参加をしてきました。今日の見学会は10時~17時まで行われました。

 NPO法人それいゆは、自閉症協会佐賀県支部が母体となっており、自閉症や発達障がいを持つ子供やその家族への地域支援活動を行っており、県内外のモデルとなるべき、自閉症に特化した相談機能と療育機能を併せ持つ専門機関として位置付けられています。

 また、成人支援センターでは、自閉症や発達障がい、その他、認知に障害のある人の就労に関する支援を行っています。「生活」「就労」「余暇」と障がいのある人の生活全般に渡る支援を行っており、障害のある人が社会経済活動に参加する能力を身についけることを目標に活動をしているそうです。

 NPO法人それいゆは、佐賀県と委託事業も行っています。

今回の見学会では、佐賀地域支援センターに移動し、当事者である20代の成人の発達障がい者の女性の方のお話も聞いてきました。

 この方は大学院まで出ている20代前半の方です。しゃべりも普通でしたが、終始、人の顔を見ずに話していました。(発達障がいの特徴として、人の顔を見て話ができないことも挙げられます。)大学院まで出ていて学歴はある方ですが、日常生活や社会生活がうまくできないそうです。毎日見ているニュース番組も、人事異動でキャスターが変わった時には、一日体調が悪くなってしまうそうです。

 今回の説明会の中で、予め自閉症の説明を受けました。

本人は怠けているわけではないのに、怠けているように見えてしまう。覇気がない。将来のビジョンが見いだせない。喜びや悲しみの感情がうまく表現できない。悲しみの状況には怒りに変わることもある。感情のコントロールができない。人の顔を見て話ができない。

など自閉症特有の特徴があるそうです。

今回、当事者の方の話しを直接目の当たりに聞き、物事の受け止め方、感じ方が通常の物差しでは測ることができない特性をもっていると感じました。

 このNPO法人それいゆの事務局長 江口寧子さんからも専門的な話を聞きました。

本人に自閉症を自覚させようとしても、どんなに説明をしても受け入れられず、本人の自覚を促すのに3~4年かかることが普通にあるそうです。また、親に伝えても全く受け入れない状況があるとの話でした。親が子どもの障がい受容など簡単にできるはずもないそうです。

 当事者だけでなく、その当事者の家族もまた相当なエネルギーが要されると言っていいと感じています。しっかりとした療育が行わなければ、一生、普通でない行動を繰り返し、家族もまた迷い、心配と不安を引きずることになります。当事者の家族でしか、この思いはわからないものだと思います。ただ一つの救いは、この置かれた立場を理解してくれる支援者に出会うことが慰めと励ましになります。

 発達障がいは、成人期にもやっと、医学的にも目が向けられるようになりました。しかし、まだまだ受け皿がないために、医師の診断を促しても診断がつかない状況があります。

事務局長の江口寧子さんからのお話しでも、実際に、自閉症的特徴を有している人を病院で受診させても、診断が難しく、診断がつかずにそのまま引きこもり状態に戻ってしまうことがあるそうです。

同様の話をウィズユーの施設長からも聞きました。また、保健師や実際の医療に携わっている医師からも同じ話を聞いています。

要は、受け皿がないので診断を付けても本人にレッテルを貼るだけで、解決には至らない現状があるということです(脳の機能障がいであり、薬で治るものではありません)。

 行政と当事者の家族、そして専門家との連携で支援体制を整備していくことが重要です。

このビジョンは中・長期的なものとなりますが、先ずは先進的な取り組みを行っている、佐賀県庁やNPO法人それいゆの協力を借りながら、今後、支援制度の仕組みを構築し、それに対応できる専門家を育てていかなければなりません。

 発達障がいが否定されずに、個人の特性として社会に受け入れられ、その当事者が家族と幸せな生活ができる支援制度を足立区から目指していきたいと思います。