カテゴリー記事一覧

【過去の活動報告】


【活動カテゴリー】


【過去の議会報告】


【議会報告履歴】



【さとゆみ暮らしのほっとステーション】カラーユニバーサルデザイン1

一昨年の7月、統一地方選挙後に葛飾区の都議会議員 佐藤由美さんから、カラーユニバーサルデザインの取り組みについてラジオで紹介をしたいとのお話がありました。

2回に分けてラジオに出させていただきましたので、ここでご紹介をしたいと思います。

 

【さとゆみ暮らしのほっとステーション】

さとう由美:みなさんおはようございます。「さとゆみ暮らしのほっとステーション」この番組のパーソナリティは、私、都議会議員さとう由美です。

普段なかなか大きく取り上げられないけれども、毎日の生活に大きく関わっていること、頑張って取り組んでいる方々をご紹介しながら、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

今月7月は、「カラーユニバーサルデザイン」について、皆さんにお届けしていきたいと思っています。

カラーユニバーサルデザイン、耳慣れない言葉かもしれません。色弱、色覚障害とも呼ばれていますが、そもそも色というのはものに張り付いているのではなく、光の反射からそれぞれの人によって見え方が違っているということ、そのうえで印刷物などに工夫をすることで、すべての人にとって見えにくさをなくし、情報を負担なく届けていけるということ、皆さんにお伝えしていきたいと思います。

今月は、お隣、足立区でカラーユニバーサルデザインの推進に取り組んでいる、長谷川たかこ足立区議会議員をゲストにお迎えしています。ごみの出し方の便利帳や日暮里舎人ライナーの駅の表示など、私たちの生活の身近なところで、取り組みを進めています。新鮮な感覚、皆さんに生まれることを期待しています。

 さとう由美: 「さとゆみ暮らしのほっとステーション」、本日はお話を伺いに来ています。足立区議会議員、長谷川たかこさんです。よろしくお願いします。

長谷川区議: よろしくお願いします。

さとう由美: 長谷川たかこ区議は、生まれて安心、暮らして安全、歩いて楽しい足立区を目指してこの5月に2期目当選され、活動を続けています。そうしてたで、カラーユニバーサルデザインの導入を働きかけ、推進しています。

この長谷川たかこ区議の行政街づくりへの、カラーユニバーサルデザインの導入の取り組みは、元三重県知事である北川正恭氏が審査委員長を務める、第5回マニフェスト大賞で、最優秀政策提言賞を受賞しました。このマニフェスト大賞は、地方政治で地道な活動を積む、自治体の首長、議員などの活動実績を表彰し、さらなる政策提言意欲の向上につながることを期待するものです。

昨年の第5回マニフェスト大賞では、党派を問わず、全国から過去最高の1291団体、1540件の応募がありました。こうした中で大賞を受賞した、全国で先駆的な取り組みです。

今月は、この行政街づくりへのカラーユニバーサルデザインをテーマにお届けをしていきたいと思います。まず、長谷川たかこさんからカラーユニバーサルデザインについてご紹介をしていただきたいと思います。

長谷川区議: 皆さま、こんにちは。足立区議会議員の長谷川たかこです。それでは、本日、カラーユニバーサルデザインについてお話をさせていただきたいと思います。

現在、統計では日本人の男性の20人に一人、女性の500人に一人の方に、色の区別がつき難いなどの遺伝による色覚障害があり、日常の様々な場面で不便を感じています。

また、先天的なものではなく、ご高齢者が白内障などの疾患により色の判別が困難になることもあります。日本全国で300万人以上いると推計される、これら色の感じ方が違う皆様も含め、すべての皆様が認識できる色使いの必要性を感じ、特に公共施設や広報などの印刷物において色使いに配慮した、行政街づくりへのカラーユニバーサルデザインの導入を議会で提案いたしました。

取り組みを始めてから4年が経ちましたが、現在全国のお手本となる先進区として足立区が注目されるようになりました。実は、私は議会で提案した当初は、区の職員の皆様の中でもカラーユニバーサルデザインという言葉を認識している方はほとんどなく、その対策も皆無といって良いほどでした。しかしその後、区の職員の皆様と協議を重ね、専門家による講演や、NPOとの共同事業などを通じて、現在では足立区役所や区民事務所の案内表示、区の広報誌、新設された区立学校の校内表示などが色使いに配慮されたものになるなど、日本でもトップレベルの取り組みとして着実に進んでいます。

その結果、足立区での取り組みは、昨年に行われた第5回マニフェスト大賞において最優秀政策提言賞をいただくなど、社会的にも認められるまでになりました。

さとう由美: こうした社会的に認められるにまでなった、このカラーユニバーサルデザインの取り組みですけれども、普段なかなか色の見え方が違っているということを私たちが認識するというのは、なかなか難しいことかなと思うのですけれども。この色が見える仕組み、色の違い、私たちが見ている色合いが人によって違う見え方をするという感覚は、どんな感じなのでしょうか。

長谷川区議: このお話をする前に、人にはそれぞれ色の見え方の多様性があることを認識していただきたいと思います。

皆さんは、色覚障害、色覚異常、色弱、色盲などと呼ばれている方々がいることはご存じだと思います。この言葉は色の見え方が他の人と違う方を指して使われます。私は色弱者という呼び方を用いたいと思います。これは、人によって、それぞれ色の見え方には個人差があり、色の見え方が違うことは決して障害ではないという認識を皆様に持ってもらいたいからです。

まず私がこのカラーユニバーサルデザインを取り組むきっかけをお話ししたいと思います。

それは区民の方との何気ない会話からでした。どこの自治体でも作成をしていると思いますが、足立区でも作成されている足立区の防災マップについて話をしていたところ、非常に見づらいという話を聞きました。最初はなぜこのマップが分からないのか、理解できませんでした。防災マップを見づらいと話した方は色弱者で、見えづらい色、分からない色について私に丁寧に説明をしてくれましたが、私自身自分が見ている色が今までの世界であって、赤と緑と黒の色の違いを混同してしまうなど、よく理解できなかったのが事実です。そして、自分で調べていくうちにネットなどのサイトで、色弱者の方々の見え方をシュミレーションした写真を見たときに、ようやくその方が言っていた見え方を理解することができました。

また、実際の生活での体験もお聞きすることができました。生肉と焼いた肉が同じに見え、焼き加減が分からないため、焼肉屋に行っても生肉を取ってしまうことや、色で区別されているコードの接続に苦労すること、赤い花や実がなっていることに気がつかないこと、自動販売機の売り切れランプが見えないことや、秋の色さまざまな紅葉が分からないこと、桜の花はピンクではなく白だと思っていたこと。様々な場面での色弱者の方の見え方や、日常生活の不便さを教えてくれました。

色弱者の方は他の人と色が違って見えるため、私たちが見ている世界とは違ったように見えています。人によって色の見え方の程度はさまざまで、多くの人は日常生活で不便は感じていても、慣れや経験などから工夫して生活をしているそうです。

さとう由美: 人によって見えない色があるということがあるということなのですね。

長谷川区議: そうなのです。

たとえば、通常の生活でも皆さんが目にしているクリスマスの緑や赤などの色合いは、色弱者の方にとっては同じ色のグラデーションになってしまうため、味気ないものになっています。

カラー印刷の発達で、新聞、雑誌、一般書籍、教科書、電光掲示板や携帯など、多くのものがカラー化してきていますが、一般の色覚の人の色の見え方を考えてデザインをしてしまうと、色弱者にとってデザイン性が損なわれてしまったり、逆に情報を読みとれずに不便を感じてしまっているケースも多くあります。

これは教育現場でも同じで、成人の色弱者の方はこれまでの人生経験である程度色を推測することはできますが、今現在、色覚検査がなくなってしまったことで、本人も気づかない状態で学校生活を送る中で、黒板に書かれた赤色のチョークの文字が見えない、絵を描くと人の肌を黄緑色に塗ってしまうということもあるようです。これらは、学習の障害になるだけでなく、配慮を怠ると差別やいじめなど、子供たちの心に大きな傷を残すことにもつながりかねません。

さとう由美: 確かに、私たちが学生の頃には色覚検査というのがありましたけれども、私の息子とかでもとくにそうした検査は特に受けてないですね。

長谷川区議: はい。以前は、文科省の指導の下、小学校や中学校の健康診断などで色覚の検査がありました。このラジオをお聞きの皆様の中にも、検査を受けたことがある方もいらっしゃると思います。しかし、差別を助長するなどの理由から平成15年以降は色覚検査が学校の健康診断の項目からなくなりました。

平成15年に、文部科学省が出した色覚に関する指導の資料では、教育現場における問題や対策は書かれていますが、実際に公立の小学校の先生にお話を聞くと、ほとんど学校内や教育委員会からの情報や指導がないために、どのような対策をしたらよいか知らないだけでなく、検査をしないためにクラスに色弱者の児童や生徒がいるのかさえも知らないのが現状だそうです。割合だけで言えば、40人のクラスに1人くらいは色弱者の児童・生徒がいることになります。

教育現場でも、授業や教材などの色使いに配慮することが必要です。

法律で定められている初任研修や10年研修、またその他の機会に先生に対して行われている研修などの中で、カラーユニバーサルデザインのことを学ぶカリキュラムを設けることはできないか、検討すべき課題でもあると考えています。現在の研修制度における研修内容に関しては、大まかなメニューは国が示し、それに沿ってそれぞれの都道府県や市区町村の学校設置者が具体的な研修内容を決定しています。研修項目として、国が示すメニューに加え、カラーユニバーサルデザインに関しても学ぶ機会を設けていくなど、先生たちの啓発と理解が必要だと考えています。

さとう由美: まず、子供たちがどういう状況にあるのか把握をしていくこと、そして検査をするだけでなく、先生が一人ひとりに配慮してフォローをしていけるそうした体制をまず作っていかなければなりませんね。

長谷川区議: そうなのです。そのような仕組みづくりがとても大切となってきます。私はこれまで国や文科省、教科書会社などにもカラーユニバーサルデザインの導入を求めてきました。

実際にここ数年、多くの教科書会社も多くの人が見やすい色使いに配慮した教科書を作るようになり、形や模様も多様して情報を伝える工夫をしたりする取り組みが進み、カラーユニバーサルデザインに配慮した教科書になってきました。 

遺伝によるため、社会の中で一定の割合を占めるこの問題は誰かが取り組まなければ、未来永劫続いていく課題です。

この問題の最大の解決方法は、多くの人が理解し気遣う心を持つことだと、私は考えています。今後も一人でも多くの方にご理解いただけるよう、私に出来うる取り組みを全力で行っていきたいと思っています。

さとう由美: 後半となる次回は、カラーユニバーサルデザインに関するさまざま取り組みについてお話を伺っていきたいと思います。本日はありがとうございました。

長谷川区議: ありがとうございます。