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東京都発達障害者支援センター TOSCA の視察

今日は東京都発達障害者支援センター TOSCAに視察に行ってきました。

この施設は、自閉症などの発達障がいの当事者とその家族が安心した暮らしを営むことが出来る様、総合的な支援を行う地域の拠点として、平成14年度に国の新施策として発足されました。

このセンターは、平成15年1月に社会福祉法人嬉泉が東京都より委託を受けて事業を開始(当初の名称は「東京都自閉症・発達障害支援センター」)、平成17年4月に施行された「発達障害者支援法」により位置付けられた専門機関です。

都内では「発達障害者支援センター」は1か所のみです。

所在地は、世田谷区船橋1-30-9(小田急線千歳船橋駅徒歩5分)です。

利用対象者は東京都在住で、発達障害者支援法において定義されている発達障害者(自閉症、アスペルガー症候群やその他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など)の本人とその家族、医療や教育、福祉、或いは行政機関など発達障害にある人に関する人が対象となります。

ここでは、

・発達障害に関わる相談や問い合わせへの対応、

・関係機関・団体との連絡・連携

・啓発セミナーや育成研修の実施、機関コンサルテーションなどの依頼への対応を行っています。

 

相談の具体的内容としては、学童期での親の主な訴えは以下の通りです。

学校生活に関して諸種の困難があり、どうしてよいかわからない。

・授業についていけない。勉強をしない。班活動や部活、行事に参加できない。

・友達や先生との関係が築けない。

・忘れ物が多い、提出物が出せず、注意を受けることが多い。

・他児や教師への暴言・暴力などにより注意を受けるが改善できない。

・学校に行きたがらない。学校に行かない状態が長期化している。

家庭内において、子供にどのように対応してよいかわからない。

・ゲームやテレビばかりに夢中で生活時間が乱れがち。

・こだわりや決め事が多く、対応に疲れてしまう。

・無制限にお金を使う。注意をすると暴力をふるう。

・家族間の関係調整が難しい。

発達障害の子どもへの対応がよい学校や自治体を知りたい。

 

また、青年期・成人期での相談内容は以下の通りです。

相談内容が多様。

20歳~40歳代の人に関する相談が全体の約6割を占めている。

知的障害者手帳の対象となる人は全体の1割未満である。

アスペルガー症候群などの高機能の自閉症スペクトラム障害の人が多い。

成人後に発達障害の診断を受けた人が多い。

 

発達障害者の当事者の立場から見た心の動きは以下のようです。

・納得がいかないことを強いられてきた

・いじめられても逃げられない

・他人の話が分からず、自分もうまく話せない

・思うようにならなかったり、誤解されたりする

・気になることが多く、不安になりやすい

・自分の理解者がいない、家族間でも孤立している

・友達ができない

 

これを逆に第3者からその当事者を見るとこのようになるそうです。

・人の気持ちがわからない

・自分の気が済むようにこだわりを通す

・家族の生活や態度にあわせられない

・気になる行動が多い、すぐに怒る、パニックになる

・フラッシュバッグの原因がわからない

・どのように対応してよいかわからない

成人期まで達している当事者に関しては、その程度が重ければ重いほど、支援者がすぐにでも家庭に入り、家族間の調整をしなくてはいけない状況です。また、職場においても、同様の事態が起きています。ただし、そのような特性を持つ人に対しては、厄介な人、面倒な人、変わった人とみなし、雇用者にその知識と理解がなければ、雇い主は解雇してしまいます。職場での人間関係のトラブルも多いはずです。

社会全体として発達障害をもっと知り、成人期の発達障害者に対する支援ガイド・マニュアルを作成し、啓蒙をしていくことがまず最初に出来るところの取り組みだと感じました。

国会議員の議員連盟に参加をし、厚生労働省からの話を聞いても、その年度ごとの報告要旨には成人期の発達障害者支援は早期発見・早期対応になっていますが、その支援方法が全くといっていいほど確立されていません。しかも専門的な医師に聞いても、あくまで幼児期が主ですからとしか答えが返ってきません(厚労省が出した報告要旨について伺っても)。

社会的な整備が整っていないために、医師もそのような状況下では診断名をあえてつけない場合も多々あり、診断名がつかずグレーゾーンのまま悩み苦しんでいる当事者や家族が沢山いる状況です。

その為、家庭生活も破綻し、社会生活もまともにできない当事者をどのように支援し対応をしていくのか、もともと生まれつきの脳の機能障害のために薬で完治するものでないため、本人の認知のゆがみを補う訓練が必要です。しかし、知的能力が高い場合には、学歴も高く、そのため当事者の自尊心も高く、絶対に自分が発達障害であることを認めようともしません。そのような当事者も含めた支援策をどのように構築できるのか、さらに研究を深めていきたいと思います。

本日はお忙しい中、東京都発達障害者支援センター長や主任支援員の皆様から長時間に渡り、いろいろなアドバイスをいただきました。本当に感謝しております。

今日いただいた内容をさらに掘り下げて、しっかりとした政策をつくり、足立区から整備が乏しい発達障害者支援策を強固に構築していきたいと思います。