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足立区議会民主党会派視察⑤ 京都府「発達障害者支援事業」について

民主党足立区議会の会派で行った視察の続きです。

視察3日目、朝から京都府庁です。

京都府庁での視察は、発達障害者支援の事業内容についてです。

発達障害については、発達障害支援法が平成17年から施行され、京都府においても発達障害者の自立と社会参加を目的として、発達障害者の早期発見・早期療育の支援と共に学校教育における支援、就労の支援、発達障害者支援センターの設置などが行われてきました。平成22年には障害者自立支援法と児童福祉法が、平成23年には障害者基本法が改正され、発達障害者がそれぞれの法律の「障害者」や「障害児」に含まれ、障害福祉サービスなどの対象となることが明確にされました。

今年度、京都府発達障害者支援体制整備検討委員会では、関係機関や市町村から新たな委員の参画を得たうえで乳幼児期から成人期を通じた適切な支援が継続的に受けられるよう、中長期的な視点に立って発達障害者支援のあるべき姿について検討し、今後5年間を目途として取り組むべき対策の方向性を示されました。

京都府では、発達障害者を取り巻く状況を考察しています。

自閉症・アスペルガー症候群等の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害者については、障害の現れ方や程度は多様ではありますが、これまでの取り組みや調査の結果から京都府内の発達障害者数が報告されています。

乳幼児期

京都府における年中児スクリーニング(5歳児健診)の結果を見ると、「要支援5.0%」「管理中4.6%」と判定された児童の割合は9.6%、「園支援」と判定された児童の割合は16.3%となっているそうです。また問題なしは、74.1%。

要支援…集団行動、対人行動及び個人行動の問題が大きく、それがしばしばみられ集団における困り感が強い者

管理中…すでに医療機関などを受診している者

園支援…個人の特性はあっても、困り感は見られないか、ごく軽微であり経過観察でよい者

上記の結果から、京都府内の就学前3歳~5歳の「要支援」「管理中」の児童数は約6000人、1学年に約2000人と推計されるそうです。また、京都府内の就学前3歳~5歳の「園支援」の児童数は約10500人、1学年に約3500人と推計されます。

学齢期

文部科学省の「通常学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」の結果を見ると、学習面か行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合は6.5%となっているそうです。

知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示すと担任教師が回答した児童生徒の割合(小・中学校の通常学級)平成24年度

学習面か行動面で著しい困難を示す…6.5%

学習面で著しい困難を示す…4.5%

行動面で著しい困難を示す…3.6%

学習面と行動面共に著しい困難を示す…1.6%

上記の結果から、京都府内の小・中学校の発達障害の可能性がある児童生徒数は約13500人、1学園に約1500人と推計されるそうです。

京都府としてはこの結果をもとに、保護者、生徒、支援員のバックアップを考えているそうです。

成人期

成人の発達障害者数は不明

京都府における発達障害者支援については、保健・医療・福祉・教育・就労等の様々な支援が行われているところであり、支援の連携を図るために「支援ファイル」や「移行支援シート」の活用が進められていました(埼玉県庁でも同様のシートを発行しています)。

事後支援に関わる専門的な分野では、発達障害傾向が認められたとしてもその後の当事者への指導が徹底されていないという問題があるそうです。確かにここでの話を振り返ってみると、千葉県発達障害者支援センターでも、専門的な研修を職員が受けたとしてもその後、本当にそれが生かされているのかが検証できていないという話しがありました。スクリーニングをしても事後対応が出来ていない。指導をする側が研修制度を受けても効果が発揮できていないという状況があるようです

上記の推計を見てもわかるように、小・中学生の児童生徒の6.5%もの発達障害の可能性があるなど、多くの発達障害傾向のある人たちが社会で生活をしています。しかし、それは外見では全く分かりません。

その為、行政・企業・国民の発達障害の理解が不十分でもあり、発達障害者への支援は、様々な関係機関が連携・協力して行う必要性があるものの、保健、医療、福祉、教育、就労、行政などの支援体制や連携体制はまだまだ整備が乏しく不十分な状態です。

京都府においては、保健、医療、福祉、教育、就労、行政などの市町村などと連携・協力をして今後5年を目途に優先順位を付けながら発達障害者への早期発見・早期療育・学校教育における支援、就労の支援、生活の支援、支援体制の整備や人材育成、発達障害の理解促進などに取り組んでいくそうです。

しかし、優先順位はどのライフステージも同じように高く、どこを先にやるという話しではないと私は考えています。どこの自治体でも一番最初に行っているのが幼少期からであり、成人期の発達障害支援策はどうしても後手でその部分だけがごそっと抜け落ちています。青年期の発達障害者支援策が成人期の発達障害者支援策を構築する、そのヒントが隠されていると私は思っています。

 2次障害を抱え、就労意欲の低下によるひきこもりや周りの家族を疲弊させる状態まで陥っている家庭内不適応状態でいる当事者やその家族に対してどのように救っていくのか、これは緊急度の高いレベルのものであり、決して優先順位の低いものではありません。

私の研究はさらに続きます。