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千葉大学医学部附属病院 精神神経科 「発達障害グループ」

今日は午後から千葉大学医学部付属病院の精神神経科の「発達障害グループ」の視察に行きました。

千葉大学医学部付属病院の精神神経科の「発達障害グループ」は、今年から始まり、毎週金曜日の13時から15時までの2時間の全12回を予定しています。今日は9回目のSessionになります。おもにPDD広汎性発達障害の方を対象とした就労支援のためのグループワークです。

PDD広汎性発達障害とは、幼児期から対人やコミュニケーションの障害や特定の様式へのこだわりを特徴とした障害です。そのため、学校や職場で周囲とのやり取りに困難を感じたり仕事を計画的にこなしたりすることが難しい方も多くいます。

発達障害グループのSessionは以下の通り進みます。

Session1 発達障害とは?  発達障害の特徴についての理解

Session2 時間の管理     生活リズムを整える計画を立てる

Session3 リラクゼーションの仕方 リラックスの方法を身に着ける

Session4~6 対人技能トレーニング①~③ 「人の話を聞く」「挨拶」など基本的なコミュニケーションスキルについて考え、実際にやってみて練習をする

Session7~8 問題解決方法①~② 日々の困りごとに自分で対処していく方法を身につける

Session9~10 感情のコントロール①~② 怒りや不安などの感情をコントロールする方法を身に着ける

Session11 仕事に就く・続けるために 仕事を探す流れや利用できる制度を紹介する

Session12 全体の振り返り 

対象者は千葉大学医学部付属病院精神神経科に通院して、広汎性発達障害(もしくはアスペルガー障害)の診断を受けている、年齢が18歳以上40歳未満で就労やそのほかの社会的な活動への参加を希望している方となります。

臨床心理士に伺ったところ、現在参加者は4名(男女比は1/2)とのことでした。皆さん独身との話でした。家族や本人が困り感を持ち始め、千葉大学の病院で診断名が付いたそうです。

発達障害の診断基準は、「就学前から、視線を合わせない」など幼少期の頃のことを細かく聴取し、判断をするそうです。

臨床心理士の話によると、このSessionによりいろいろな状況が見えてくるそうです。

例えば、睡眠時間のとり方が皆さん一番苦労をしていてなかなか生活リズムが取れないことや自分のリラックスをする方法がわかっていなかったり、状況設定を行いその解決方法を探る場面では、フラッシュバックをしてしまうことがあるため、やり方にも工夫が要るなど、現場での苦労話をお聞きしました。

この問題解決方法は、当事者が柔軟な姿勢を見せない限り大変困難を伴うものです。

つまり、当事者が自分を変えようという気持ちを強く持たない限り、成功しないものと考えます。

何故なら私が知る範囲では、当事者の中には「ルールを守らない人が許せず、相手が誰であれ、又状況がどんなものであれ、注意したり怒ってしまう。」(言っている事は正論の場合が多いけれども、それがその状況にあっていない場面が相当数ある。譲ればいいところも譲れず、どうでもいいような内容で当事者は怒りだす)ということを繰り返し行う人もいます。そのような場面で怒るのではなく、相手に対して寛容な気持ちで接する術や、違う角度から物事を見ることが必要だということを丁寧に丁寧に説明をしても、その場を和ます術を全く理解しようとしない、わかろうともしない、頑固一徹、自分は正しいことをしていて、これが正義だということを振りかざし、延々と主張するという当事者の方に何度も遭遇をしたことがあります。

千葉大学医学部付属病院では、臨床心理士がファシリテータ―※となり問題解決方法を7つのステージごとに進めています。

※ファシリテータ―…議論に対して中立な立場を保ちながら話し合いに介入し、議論をスムーズに調整しながら合意形成や相互理解に向けて深い議論がなされるよう調整する役割を負った人。

ステージ1 問題の特定…問題解決方法で取り上げる問題、変えたいことを特定する

point   自分で変えることができそうな問題を選ぶこと

                  (重要な問題より対処できそうな問題を選ぶ)

       大きな問題は複数の小さな問題に分割する

       曖昧な問題はより具体的に明確にする

ステージ2 達成可能な目標の選択…問題に対して何を変えたいのかを考える

point       SMARTな目標を立てる

S(Specific):明確である…何が目標かについてはっきり定義されている

M(Measurable):測定できる…目標が達成されたか否かを明確に判断できる

A(Achievable):達成可能である…達成することができそうな目標である

R(Relevant):問題と関連がある…目標が問題と関連している

T(Timed):期限がある…目標が達成されるまでの期限設定がある

ステージ3 解決方法の算出(ブレインストーミング)

Point できるだけ多くの解決方法を考えること

     考えた解決方法は組み合わせたり修正したりできる

     解決方法を出し切るまでどの方法を選択するか判断しないこと

ステージ4 解決方法の評価

Point 「効果」「手間」「気持ち」の3つのポイントに注目して評価する

効果…その方法を実行したら目標を達成することができそうか

手間…その方法は時間やお金、労力がかからないか

気持ち…その方法を実際にやってみたいと思うか

ステージ5 解決方法の決定

Point 目標が達成できそうで、かつ実行できそうな解決方法を選ぶ

ステージ6 解決方法の実行

Point 具体的にスッテプに分けて実行の計画を立てる

ステージ7 実行した結果の評価

Point 実行して目標が達成できたかどうかを評価する

     目標が達成できなかったらその理由を検討する

 

上記の説明の中で私はやはり一番家族支援が最重要だと感じました。

何故なら、この内容を素人ができるはずもありません。

しかも発達障害傾向が顕著に見えている成人の発達障害当事者と向き合った場合、本人がその困り感を持っていない場合には、全く容認せず、家族は変だと感じ、しかし当事者はまともだと言っている中で、家族が大変疲弊している状況下、誰がこの役を担うのか。

その当事者を抱えている家族が個人でこれを行うことはまったくもって不可能です。

そのためにも、家族の訴えに対し、家庭訪問が行える支援制度を私は構築すべきだと考えます。

2011年より、発達障がい者に自立支援医療が適用されるようになり、発達障がいの診断のみでの訪問看護支援が導入されています。
足立区では、発達障害での枠だけでない訪問看護支援を受けている人は9000人が支援を受けているそうです。しかし、実際に発達障害で訪問しているのは聞いたことがないとの話でした(利用者は統合失調症の方々が多い)。そして、この千葉大学医学部付属病院でも、統合失調症の人はいても、発達障害で訪問看護を受けている人はいないそうです。

しかし兵庫県立大学の文献には広汎性発達障害の成人期の当事者を抱えた家族に対する取り組みが記述されています。私はこの文献を読み、訪問看護を通じて成人期の発達障害当事者、家族支援を行うことこそが、有効的な解決策の一つであり、家族だけでは乗り切れない困難さを克服する唯一の手段だと確信しています。

訪問看護のスタッフの役割は以下の通りです。

社会とのつながりの支援
生活の構造化やリズムを整える支援
社会的スキルの獲得の支援
対人スキルの向上の支援
二次的な精神症状の支援
身体管理についての支援
理解者として寄り添う支援
成功体験を支援する関わり
家族支援  など・・・

千葉大医学部付属病院で臨床心理士とも話し合いましたが、診断名がつけられず困っている当事者や最も疲弊してしまっている家族に対する支援は、訪問看護という側面で行うことが効果としては大変高いものだと感じています。家族の過大なストレスと当事者の2次的な精神症状を緩和させるためにも、訪問看護のサポートが必要であると感じた次第です。

この瞬間にも、当事者を抱えた家族は壮絶な苦しみと辛さを抱えています。

家族支援までつながる支援の一つとして、訪問看護の役割についても今後、千葉大学医学部付属病院のほうでもご検討していただきたいと切に願っています。

本日は貴重なお時間をいただき、更なる政策立案の糧をいただきました。

本当にありがとうございました。