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第5回 授業のユニバーサルデザイン研究会 全国大会②

本日も、筑波大学附属小学校で行われた第5回授業のユニバーサルデザイン研究会 全国大会に出席をしました。今日で2日目。今日は朝9時から16時まで、公開授業や協議会、東京学芸大学名誉教授 上野一彦先生からの基調講演もありました。

全国から1000名の教師が集まり、会場は満員で人で溢れていました。お話によると、来年はさらに1000人増やし、2000人規模の研究会を行いたいと考えているそうです。今回、定員オーバーで入れなかった方もいるそうです。

現在、通常学級の中に発達障害傾向の児童・生徒が6.5%います。

特別な支援を必要とする子供には合理的配慮が必要です。このような子供たちに対する学習上や生活上の困難さを改善・克服するための配慮として、例えば、適切なコミュニケーションの取り方の困難さだったり、言語発達の遅れや異なった意味の理解であったり、手順や方法に独特のこだわりがあるなど、学校生活内においての学習内容の取得の困難さを補完する指導が必要となります。

文科省の特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループでは、この合理的配慮について、「障害のある子供がほかの子供と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子供に対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」としています。

この合理的配慮の観点は、

・学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮

・学習内容の変更・調整

・情報・コミュニケーションおよび教材の配慮

・学習機会や体験の確保

・幼児童生徒、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮

などが示されています。 

この「合理的配慮」は、指導内容の焦点化や動作化、視覚化などを個別に取り入れることが重要とされています。また、指導の中でどのように特別支援教育の観点を導入していくのか。この2つの融合をうまく仕掛ける授業づくりが重要です。インクルーシブ教育※の構築の一役としてユニバーサルデザインの教育を導入することで、教科学習が高いレベルを維持したまま、どの子どもたちにも分かる・できる授業を提供することにつながっていきます。

※インクルーシブ教育…障害の有無によらず、誰もが地域の学校で学べる教育

教師は教材をそのまま扱うのではなく、教材に仕掛けを作ることで、何をどのように教えるかが大切であると桂先生はおっしゃられていました。

筑波大学附属小学校 桂聖先生が提案する「10のしかけ」は以下の通りです。

1順序を変える

2選択肢をつくる

3置き換える

4隠す

5加える

6限定する

7分類する

8図解する

9配置する

10仮定する

この仕掛けは、昨日の算数の模擬授業でも同様に行われていましたが、「隠す」「順番を変える」「置き換える」などを使って教科書の教材を教材化することで、子供達に「イメージしながら考える活動」に変化させていくことができます。子供達はこの仕掛けにより、ぐっと授業に集中し、面白さを感じているようで、全員参加の授業が見事に展開されていました。

このしかけに教師が取り組むことで、子供達がより関心をもって授業に参加するようになり、手を上げる、立ったり座ったりする、操作する、ペアで話す、書くなどを組合せたさまざまなバリエーションなどが生まれ、どの子供達も楽しむことができるようになります。

この「指導方法」と「授業展開」を教師が真剣に考え取り組むことこそが、子供達のわかる・できる授業につながっていくのではないでしょうか。

また、発達障害傾向を持つ子供に対する社会性(ソーシャルスキル)は大変重要で外せないポイントです。

では、この社会性(ソーシャルスキル)をどのように学校生活の中で教えていくのか?

子供達はこの楽しく前向きな環境で馴染んでいくそうです。前向きに楽しくなければ、子供たちの成功体験には全くつながっていきません。また、さらに、知的好奇心を加えた学問をする姿勢と正解であることへの理解とその正解を納得しながら到達する思考プロセスが重なることで、子供達の成功体験が育っていくそうです。

「発達障害の子供に対してのわかる授業を行うこと」は、結果として「どの子供達にも分かる・できる授業」へとつながっていきます。わからない・できないを正直に言い合える授業作りが大切です。そこでは、わかる・できる子供達に対するヒントにもつながります。

このユニバーサルデザインの教育の進め方は、特別支援教育だけに有利に働くものではないとはっきりと学識者が力説されていました。

以上のような観点からも、ユニバーサルデザインの教育が公教育の中でも行えるシステムを構築することが重要となってきます。それぞれの子供達の学びの特徴は個性の一部であり、その個性的な(例えば、発達障害)子供達を理解することはすべての子供達を大切にする指導に通じていきます。

「障害とは、理解と支援を必要とする個性である」

東京学芸大学名誉教授 上野一彦先生がおっしゃていました。

私も娘たち(中1と高1)の学校生活を通じて、親の目線からも様々な課題が現場で生じていることを、日々、感じています。

通常学級内において、指導を求める潜在的なニーズは明らかに高まっています。

通常学級の中で、その個人差による対応ができるサービスをどのように展開していくのか。

全ての子供たちにとって、合理的な配慮と基礎的な環境の整備が整う公教育を私も足立区から強力に築いていきたいと思います。

本日は、たくさんの気づきとアドバイスをいただいた基調講演・模擬授業だったと思います。今後も、さらに大学関係者の皆様とも直接お会いしながら、様々な角度からお話を伺い、足立区版の「ユニバーサルデザインの教育」の導入についてさらに詳しく検討を重ねていきたいと思います。

 

本日は、貴重なお話をお聞きすることができました。関係各所の皆様、お疲れ様でした。