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埼玉県戸田市立笹目小学校 授業のユニバーサルデザイン視察①

今日は上沼田小学校の視察を後にして、午後から埼玉県戸田市立笹目小学校で行われているユニバーサルデザインを基盤とした学校づくりの視察をしてきました。笹目小学校は開校140周年の歴史ある学校で、3世代にもわたる人たちがこの学び舎で過ごされているとお聞きしました。

笹目小学校は、以前、私が参加をした筑波大学附属小学校で行われた授業のユニバーサルデザイン研究会で校内研究として発表をされている学校です。

毎月1回筑波大学附属小学校で行われているユニバーサルデザイン研究会の定例会にも参加をしているそうです。この研究会には、公立小学校の教員の皆さんが100名ほど集まり、そこで熱心にユニバーサルデザインの教育について議論を交わしているそうです。

笹目小学校は昔から地域的な特色のある学校で、一人親や外国籍の子供が多く住んでいるそうです。勉強を教えても、「どうせわからない。できない。」と最初から言う子ども達が多く、学習意欲も低く自己肯定感が低いお子さん達が多数いたそうです。平成20年に一番子供たちがとっかかりやすい、またどのような先生が教えても学びやすい体育の研究から始めたそうです。体育の授業に「わかる・できる」授業を試みて、子ども達の成功体験を少しずつ与える取り組みを始めたそうです。

そのような過程の中で、今の現小学校長が赴任され、校長先生もユニバーサルデザインの教育の視点をお持ちで、今までこの学校の心ある先生方が行ってきた考え方と校長先生との目指す方向性がぴったりとあてはまったそうです。

特別支援教育の視点を持ったユニバーサルデザインの教育の考え方を取り入れ授業改善を図ることは、どの子どもにもわかる授業を目指すことに繋がると教頭先生はじめ、担当の先生が熱くおっしゃっていました。

授業とは基本的には通常の学級における各教科などの授業を念頭に置いて一斉型の授業が展開されるため、個別化が難しい状況ではありますが、その中でどの子どもにも分かる授業の実践を高めていくことが重要であるとのお話しでした。

ここ近年、インクルーシブ教育の取り組みが着目され、可能な限り、障害のある子どもとない子どもが共に学ぶことを指向し、それぞれの子どもに合った指導を提供し、どの子ども達も満足感や達成感を味わうことができる授業を行うことが重要と言われています。このようにユニバーサルデザインの教育を進めていくことは、結果として「どの子どもにも分かることを目指すこと」とインクルーシブ教育の視点がイコールとなるものです。 

この環境を整備するにあたっては、学校などの施設や設備に関することのほか、教員配置や教員研修、自治体における教育指導システム、教育課程の基準などが検討され、制度や予算によっても設定されるものと思われがちですが、ユニバーサルデザインの教育は教員等の意識や練度、校内の支援体制、研修システムなどの如何によって条件整備が可能であるとのお話しでもありました。

「教師は授業で勝負をする」

校長先生もこの指針でこのユニバーサルデザインの教育を強力に推進しています。

授業以外にも環境整備や学級づくりを始めとした各種の取り組みとして、保護者も含めた教育相談体制の充実や厳しい状況下にある子どもや保護者に対して少しでも寄り添う支援を行って行きたいとのお話しでもありました。また、笹目小学校では、教員自身の振り返り用の「ユニバーサルデザインチェックシート」を行ったり、「笹目小学校子ども教育宣言」等の取り組みなどを教員・保護者に強く発信されています。 

このような多角的な取り組みを学校全体で推進することで、先生方の意識がユニバーサルデザインというキーワードを持って同じ方向性、目指すビジョンがはっきりとしてくるそうです。

この取り組みを行って3年目となるそうですが、学校の成果としては戸田市内12校ある小学校の中で「授業がわかり、興味・関心や意欲を持って取り組んでいる児童生徒の割合」調査で、今年の6月の調査結果では、その数値が市内でもトップクラスであったそうです。

また、全国学習状況調査名の結果では、関心意欲調査の向上に併せて、徐々に向上し、今年度は全国平均を上回ったそうです。

教師の授業づくりや学級づくりに力を入れた成果がまさにここに表れています。

授業内容のレベルを低く設定するのではなく、教科学習として高いレベルを指向しながらも、どの子ども達にも満足させる授業を展開することが重要だとおっしゃってました。

この笹目小学校のユニバーサルデザインの取り組みについては、私が日頃からお世話になっている明星大学人文学部心理学科准教授の小貫悟先生がご指導に入られていました。小貫先生は日野市の取り組みについても尽力されている方です。

今回、この笹目小学校のユニバーサルデザインの授業の取り組みを拝見させていただき、通常学級に多く在籍している発達障害の特性を含め、何かしらの配慮を要する子ども達に対して分かりやすい指導を受けさせ合理的配慮を心掛けることは、結果として全ての子ども達にとっても分かりやすい授業になるという視点を再確認させていただきました。私は足立区からこの取り組みを足立区の子ども達の実態に合わせたものに調整をし、さらに研究を進めながら構築していきたいと思います。

学習環境を整え、児童が安心して過ごせる学級づくりを強力に進めることこそが、未来ある子ども達にとって担税力ある人材として育ってくことに繋がると私は確信しています。

本日はお忙しい中、ご丁寧に対応をして下さった田島教頭先生はじめ、このユニバーサルデザインの教育を強力に推進し、構築された実力ある山下先生、そしてたくさんの資料を提供して下さいました青柳校長先生に感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。