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足立区千寿小学校 MIM実践モデル校(読みのアセスメント・指導)視察

 今日は、学習面でのつまずきや習得の困難性を持つ子供に対して早期の指導を行っている、足立区千寿小学校に視察に行きました。この視察は私が現在進めている、発達障害施策の構築に向けての一環です。

 発達障害の中には、知的障害を伴わない学習障害(LD)をもつ人たちがいます。学習障害(LD)は、知的な発達全体の遅れではなく、認知発達の部分的な遅れや偏りから起こります。 ここでいう認知とは、子どもが見たり、聞いたり、さわったり、運動をしたりするときに感じるさまざまな刺激を、脳の中に取りこむ高次な知的な働きを指します。推理や思考等も認知過程の一部です。

発達障害は外見では見えない、分かりにくい障害の一つです。

そのため、親の目から見てもよくわからない障害特性といえます。

現場での視察や様々な専門家からの見聞により判断すると、発達障害特性を持つ子供たちは男の子が圧倒的に多いようです。 この傾向は、発達障害特性、アスペルガーADHDや高機能自閉症など、他の軽度発達障害にも共通することとして、男児に多く見られるという特徴があるようです。そのため、幼少期からの成長過程が、男の子だから発達がゆっくりしているようだとか、やんちゃだとか発達的に幼さが残りやすいなど、生活面での引っかかりや育てにくさがあったとしても、発達障害は子どもが元来持ち合わせている性格的なものとして捉えられやすく、そのような育てにくさがあったとしても些細な発達過程の一部として見られてしまい、見過ごされやすいという現状があります。

この千寿小学校の田村校長先生は足立区にMIM(ミム)を導入された第一人者です。足立区舎人小学校へやってきたのが、今から2年半前。舎人小学校へ赴任されてから1年を経過した頃に、「読み」のつまずきを示す子ども達の気になる点をどのように克服していくかを検討したそうです。
6年生の段階でも「っ・ょ・ゅ」や「う・を」の違いが分かっていない子ども達が多数いるそうです。「きゃ・きゅ・きょ」の特殊音節やお父さん→「おとうさん」を「おとおさん」と言ったように読みと書きの違いができない子ども達もいるそうです。また、読みに困難を示す子ども達には、語をかたまりとして捉えることが苦手で言葉や文章を流暢に読むことを苦戦してしまいます。

このMIM(ミム)では、2種類の1分間テストを実施して、その結果により子ども一人ひとりの実態を把握して、個々に応じた指導を行うことを目指しています。
例えば、「まくら」「まっくら」という言葉や「ねこ」「ねっこ」を説明カードで絵と文字で視覚に訴え、次に声を出して読ませ、さらに手を叩いて動作化したりして体を使って覚えさせる手法をとっています。 西東京市の公立小学校では、既にこのMIM(ミム)を導入しています。校長先生は実際に現地に足を運ばれ、その指導方法を見てきたそうです。
このやり方は、指導経験のない若手の教師でも、より効果の高い指導を一人ひとりの子ども達に提供できると校長先生は熱く語っていました。

一学年2~3割ほど、課題のある生徒がいると校長は見ています。

このMIM(ミム)を導入することで、学習障害(LD)など,学習面に困難さのある子どもたちがわかる・できるものへと導かれる教材の一つであると感じました。ただしこの学習方法は一部の子ども達にとって有利なものではなく、通常の学級における一斉授業の中ですべての子ども達に対する効果的な指導方法の一つにもなっています。また、この授業の中で学びきれない子ども達に対する補足的な指導を行う事にも繋がり、それでも伸びが厳しい子どもに対しては週に1回学習支援コーチがつくことで、個に特化した集中的な指導が実施されます。つまずきにいち早く対応することで学力全体を向上させる効果が期待できるものです。

昨年は4校がこのMIM(ミム)のモデル校だったそうですが、今年は千寿小学校・千寿本町小学校・弥生小学校・中川東小学校・舎人小学校の5校がモデル校となったそうです。このMIM(ミム)は学研から出ており18000円で購入することができます。

学年が上がることで、この学習障害(LD)の特性を持つ子供にとっては学習面での困難さが顕著に表れます。高学年になればなるほど、親もこの実態を受容しなくなるそうです。以前、ディスレクシアの第1人者でもある鳥取大学地域学部 医学博士の小枝達也教授からも話を伺いましたが、小学1年生の段階でいかにスクリーニングをして、そのような子供たちに対する適切な支援を行うことができるかが最も大切だと言われました。小学3年生では手遅れになりかねないとおっしゃていました。指導から実際に治療を要する必要性のある子ども達がいる深刻な問題であるそうです。

学習障害(LD)を抱えている子供たちを早期に発見し、適切な支援が行えるような取り組みの構築とそしてユニバーサルデザインの教育という観点から、誰もが「わかる・できる授業」が展開できるよう、私もさらに深く研究を進めながら、その効果的な支援方法・指導方法を足立区に導入して行きたいと思います。

本日は、大変貴重なお時間を頂きまして、田村校長先生からたくさんのお話をお聞きすることができました。本当にありがとうございました。

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通常学級の指導で異なる学力層の子ども達のニーズに対応したMIM(ミム)という学習教材です。学研から出ています。18000円。

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このような、ワークシートを使用します。