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代表質問の内容③【青年期・成人期の発達障がい特性がある当事者や その家族支援について】

引き続き、代表質問の内容をご紹介します。

今日のテーマは「青年期・成人期の発達障がい特性がある当事者やその家族支援について」です。知的障害を伴わない発達障害は目に見えにくい、分かりにくい障害です。そのため、生活面や学習面において、ある程度カバーできる面がある反面、発達障害が気づかれにくくなっています。幼少期から青年期にかけて、社会との適応に少なからず障害があったとしても、学力には優れ高学歴の人も多い為、当事者だけでなく保護者も障害を受容しないケースや当事者が障害に全く無自覚で、多少の生きにくさを感じていても特に困り感をもたないケースもあります。そのため、例えば当事者が家庭を持っても、親として、またパートナーとしての責任感の欠如や子どもに対する虐待、パートナーに対する暴力が引き起こされ、加害者となる当事者たちがいます。しかし、ここで加害者となっても本人なりの言い分があるようです。自分がしている行為は正当であり(原因と結果があって行っている)、自分をそのような行為に導く周りが悪いという理屈を通してきます。また、年齢を重ねるごとに年相応のふるまいができず、職を転々としたりして定職に就けずにいる人や家庭からも受け入れられずに、二次的な障害(人格障害や不適応障害、鬱)を誘発し引きこもりや自分の意に沿わないと家を何度となく飛び出し、クールダウンを必要とする成人期の発達障がい特性のある人たちがいます(生活面で破壊的行為が続き周りの人間が注意をしても、当人は自分はまともで知識人だと言い張り、発達障害を全く受容しないケースもあります。まさに周りの人たちはお手上げ状態です)。

今の社会では、発達障害という診断名がついても、また発達障害の特性が顕著に出ているようなグレーゾンにいる人たちに対しても、個々の障害の程度にあわせた具体的な支援が全くありません。そのため、発達障がい特性が強く出ている当人を中心とした家族が疲弊し、当事者に自覚を促し改善を求め、いざ病院に連れて行かせたとしても、本人が頑なに発達障害を受容しない場合には(明らかに発達障がい特性が強く出ていても)、医者は診断名を付けません。なぜなら、具体的な支援制度がないのに、診断名を付けては、本人にレッテルを張るだけになってしまうからです。現在、例えば、TOSCA等の公の相談窓口があってもそれはただの相談窓口だけであって、家庭内の疲弊している諸課題は一向に改善されない状況があります。

如何に当事者に発達障害を自覚させ、未熟なスキルを学ばせていくか。

当事者の障害の程度を家族が受容し、如何に当事者に対する接し方のスキルを家族が学んでいくか。

現在、制度の谷間に落ち、生きづらさを抱えている当事者そしてその当事者を支え、壮絶な経験をし続けている家族に対して、その具体的・効果的な支援を構築する必要性があります。如何に生きづらさが軽減される環境へとつなげることができるか、大変難しい課題です。しかし、私は生きづらさを抱えた人たちに対しての支援制度を必ず構築したいと思っています。

悩み苦しむ人たちに手が差し伸べられる制度を構築し、誰もが傷つかずに平穏に暮らせる世の中を作っていきたい、私はそう願ってやみません。

 

*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****

<長谷川たかこ>

次に、青年期・成人期の発達障がい特性がある当事者やその家族支援について質問をいたします。

発達障害は外見からはわかりにくいため、自分では一生懸命頑張っていても、周囲から「やる気がない」「変わっている」と誤解されがちです。また、個々に得意、不得意なことの種類も程度も様々で、障害特性の理解をさらに難しくしています。中でも知的障害を伴わない発達障害者は、幼児期や思春期に気になる言動があり本人が生きにくさを感じていたとしても、ある程度カバーできる面がある為、発達障害に気づかれにくくなっています。また、幼少期から青年期にかけて、社会との適応に障害があっても学力に優れ高学歴の人も多い為、親は、わが子がこんなに頭がいいのに障害なんてありえないと受容しないケースがあります。

 しかしそのため、より社会性やコミュニケーション能力が求められる青年期や成人期にかけて、対人関係でつまずき、社会に溶け込めない状況が明らかになっています。年齢を重ねるごとに年相応のふるまいを期待されるため、子供の頃に許されていたこともトラブルになりやすく、職を転々としたりして、定職に就けずにいる人や家庭からも受け入れられずに、二次的な障害を誘発し鬱や引きこもりを起こしている人たちがたくさんいます。発達障害は、周囲とのコミュニケーションが難しく人間関係がうまくいかないことや何度も同じ失敗をしてしまい行動の組み立てが苦手で、1度に2つ以上の事が出来ないなど、様々な特性を持ち合わせています。

東京都発達障害者支援センターTOSCAによると、青年期・成人期での相談内容は多種多様で、20歳~40歳代の人に関する相談が全体の約6割を占めているそうです。また、成人後に発達障害の診断を受けた人が多く、アスペルガー症候群などの高機能の自閉症スペクトラム障害の人が多いそうです。また、センターでの具体的な支援策は未だに整備されておらず、あくまで相談のみの対応になってしまっています。

成人期にも発達障害があるという事がマスコミなどを通じて広く発信されたことで、多くの方々がこの言葉を知るようになりました。

しかし、実際にはまだまだその認知度は低く、各自治体の支援も幼少期に留まっており、診断名のつかない成人期の発達障がい特性がある当事者や家族に対する具体的な支援までは至っていないのが現状です。知的な障害に関しては教育や療育の歴史がある半面、社会性の遅れに関しては未だにその方法論が確立されていない現状があります。

 

この社会の中で、青年期・成人期まで達した発達障がい特性がある当事者や疲弊している家族をどのように支援していくのか、まさに目の前につきつけられている喫緊の課題です。

確実に支援ニーズが高まっている中で、社会全体として発達障害を理解し、青年期や成人期の発達障害者を囲む周りの環境を整備する必要があります。

出来るところから一歩でも前に進めることが重要です。

現在、青年期・成人期の発達障害者を支援する当事者会イイトコサガシが2009年10月に設立されました。40都道府県43区市で500回以上ワークショップを開催しています。高い実績を挙げている当事者会でもあり、発達障害支援センターや大学や企業、医療機関などと80回以上の連携を行っており、各社新聞などにもその活動が何回も掲載されています。この当事者会は、意識的に社会的役割を担う参加型当事者会でもあり、現在、家族・支援者・そのほか興味のある人たちならだれでも参加ができるようになっています。代表者の冠地情さんは当事者の一人でもあり、自身もその特性から、ひきこもりや不登校、いじめなどの経験がある方です。

 【問】

このような実績のある当事者会と連携をし、青年期・成人期の発達障がい特性がある当事者や家族、またその支援者を対象としたワークショップや当事者による講演会を区主催で行い、生きづらさを抱えている当事者や困り感を持ち続けている家族に対しての支援を行って頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

【問】

またその際には、広報や区のホームページを活用した周知活動や男女参画プラザや子ども支援センターげんき、雇用生活総合相談窓口、ハローワーク、若者サポートステーション、高校、大学にも呼び掛け、平日夜間の時間帯や土曜日に開催し、生きづらさを抱えている多くの対象者を拾い上げる支援策を構築して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

 現在、埼玉県では今年3月に「青年期・成人期の発達障害を理解し支援を広げるサポートブック」を作成しており、広く啓蒙活動をしています。

【問】

足立区でも専門家と連携をし、青年期・成人期の発達障害特性がある当事者や困り感を持っている家族に対して、簡単なリーフレットや支援ガイド・マニュアルを作成し、男女参画プラザや子ども支援センターげんき、雇用生活総合相談窓口、ハローワークや若者サポートステーションや高校、大学に配布して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

 <福祉部長>

青年期・成人期の発達障がい特性を持った当事者及び家族支援についてお答えします。

今年度から、発達障がい者の対応に専門性を持つ区内の社会福祉法人に委託し、成人期の発達障がい当事者と家族を対象としたワークショップを始めました。実際の生活で直面するスケジュールや金銭管理、対人関係のコツ及びストレス対応についての体験型講座を、今年度、3回開催いたします。今後、当事者会をはじめ様々な団体と連携しながらさらに充実を図ってまいります。

発達障がいに関する講演会につきましては、これまで大学教授や医師に講師をお願いして開催してまいりました。今後、当事者を講師とした講演会の開催についても、検討してまいります。

これらのワークショップや講演会については、既に土曜日に開催しているところでありますが、平日夜間の開催についても、検討してまいります。また、今後の開催にあたっては、区内の若者サポートステーションや高校、大学など広く参加を募って参ります。

次に、リーフレットや支援ガイドマニュアルの作成につきましてお答えいたします。

発達障がい特性を持ち、会社や家庭などで生きづらさを感じている人が増えてきております。当事者、家族及び支援者が正しく発達障がいを理解し、その生きづらさを少しでも解消するため、現在、リーフレットの作成を進めているところでございます。できあがりましたら、区のホームページに掲載するとともに、区内の若者サポートステーションや高校、大学など広く配布してまいります。

青年期・成人期向けのガイドマニュアルなどの作成については、今後、他の先進自治体を調査し研究してまいります。