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代表質問の内容④【「ユニバーサルデザインの教育」について】

代表質問の内容の続きです。

今日は、私が常日頃からライフワークとしている、「ユニバーサルデザイン」についてです。

今回のテーマは発達障害という観点から、特別支援教育の視点を取り入れた「ユニバーサルデザインの教育」に関する政策提言をしました。

文科省では通常学級に現在、全体で6.5%もの子ども達に発達障害傾向があり、小・中学校だけでも全国に約66万人程度はいると言われています。グレーゾーンの子ども達も含めると13%~20%いると言われており、この数値から、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が40人学級では5人~8人、30人学級では3人~6人在籍している可能性があり、足立区では、通常学級(45186人)に6.5%~20%の割合で在籍している発達障害傾向の児童・生徒の総数は約3000人~9000人強であり、その子ども達に特別な配慮が必要であると言えます。

このことからも、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が「どの学級にも在籍している可能性がある」という意識をもつことが必要です。

通常学級に多く在籍している発達障害の特性を含め、何かしらの配慮を要する子ども達に対して分かりやすい指導を受けさせ合理的配慮を心掛けることは、結果的に「全ての子ども達にもわかりやすい授業」を提供することになります。このような多角的な取り組みを学校全体で推進することで、先生方の意識を「ユニバーサルデザイン」というキーワードを持って、同じ方向性、目指すビジョンを明確にすることができます。これらの環境を整備するにあたっては、難しいものは何もなく、また予算がかかるものではありません。ユニバーサルデザインの教育は、教員等の意識や練度、校内の支援体制、研修システムなどの如何によって、それが発揮されます。

現在、全国的にもインクルーシブ教育の取り組みが着目され、可能な限り、障害のある子どもとない子どもが共に学ぶことを指向し、それぞれの子どもに合った指導を提供し、どの子ども達も満足感や達成感を味わうことができる授業を行うことが重要と言われています。このようにユニバーサルデザインの教育を進めていくことは、結果として「どの子どもにも分かることを目指すこと」とインクルーシブ教育の視点がイコールとなるものです。

学習環境を整え、児童が安心して過ごせる学級づくりを強力に進めることこそが、未来ある子ども達にとって担税力ある人材として育ってくことに繋がると私は確信しています。現在、区の教育委員会では、先日も日野第3小学校で行われたユニバーサルデザインの教育の研修会に参加をし、日夜、研究をして下さっています。足立区からこの取り組みを強力に推し進め、特別支援教育の視点を持ったユニバーサルデザインの教育の考え方を導入した授業改善が足立区すべての小中学校で行われるよう、今後もさらに働きかけていきたいと思います!

*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****

 <長谷川たかこ>

次に教育の観点からご質問をいたします。

文部科学省が平成24年12月に公表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」の報告によると、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害(注意欠陥・多動性障害ADHD、高機能広汎性発達障害PDDなど)と思われる状態の児童生徒の割合は、全体の6.5%であることが明らかになりました。

その内、授業時間内に個別の配慮・支援を受けている子供たちは45%、授業時間以外の配慮が26%、現在も過去も支援を受けていない子どもは39%にものぼり、この調査の考察には「学習面、行動面で困難を示す児童・生徒を取り出して支援をするのではなく、それらの児童・生徒が理解しやすい配慮した授業改善を行うことが大切」との見解を示しています。

文科省では通常学級に現在、全体で6.5%もの子ども達に発達障害傾向があり、小・中学校だけでも全国に約66万人程度はいると言われています。グレーゾーンの子ども達も含めると13%~20%いると言われており、この数値から、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が40人学級では5人~8人、30人学級では3人~6人在籍している可能性があり、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が「どの学級にも在籍している可能性がある」という意識をもつことが必要です。足立区で通常学級(45186人)に6.5%~20%の割合で在籍している発達障害傾向の児童・生徒の総数は約3000人~9000人であり、その子ども達に特別な配慮が必要であると言えます。

日野市では、平成22年度に東京都日野市の全小中学校25校・全教師約650名が参加をし、通常学級内での特別支援教育の実践の現状と報告、到達点をまとめた書籍を発行しました。執筆者は東京都日野市公立小中学校全教師と教育委員会、日野市教育委員会の特別支援教育の助言をしている小貫悟明星大学准教授です。
学習環境から指導方法に渡るまで、発達障害などの傾向のある子ども達に対し、通常学級で配慮ある取り組みの実践事例集を東京書籍から「通常学級での特別支援教育のスタンダード」として一冊の本にまとめ、広く全国に向けて発行しています。
平成19年度から全国でスタートした特別支援教育に対して、日野市では、いち早くその前の年の平成18年度から取り組みの検討を始め、市の教育委員会の中に特別支援教育推進チームを立ち上げ、明星大学と連携をし、各学校の巡回相談を強化し、どこの学校であっても特別支援教育に関わる悩みがある場合には、その内容に応じて行政や専門家などが相談にあたるという目標達成に向けた体制を整えました。

この日野市では、特別支援教育の視点を全ての児童生徒の指導に生かす取り組みを始めたことにより、一人一人の教育のニーズを把握した適切な教育支援が行われており、障害の有無にかかわらず、全ての児童生徒の指導に効果を発揮しています。

現在では、インクルーシブ教育の取り組みが全国的にも着目されており、可能な限り障害のある子どもとない子どもができるだけ同じ場所で共に学ぶことを目指し、それぞれの子どもが、授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごし、生きる力を身に付けていける環境を整える「ユニバーサルデザインの授業」が全国各地で行われています。

 例えば、日野市だけでなく、国立の筑波大学附属小学校や埼玉県戸田市立笹目小学校がその実践として代表的な学校です。

通常学級内において、発達障害傾向を持つ児童・生徒に対する指導を求める潜在的なニーズは明らかに高まっています。その個人差による対応をどのように構築していくのか。この世界的、未来的潮流の中で、すでに現場ではこうした方向性が求められています。

 【問】

先ず、発達障害傾向の子ども達が通常学級に約6.5%~20%近く在籍しており、特別な支援を必要としている子ども達がいる現状を区としてどのように受け止め支援をしていくつもりなのか、見解をお聞かせください。

このような状況下の中で、通常学級の担任の先生の多くは、授業をどのように進めていけばよいのか悩んでいる現状があります。


【問】

学校の先生方に対して、発達障害等の理解を深めて頂くためにも、学識者をお呼びして、講演会や研修会を行って頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

 【問】

通常学級に6.5%~20%の発達障害児がいることを踏まえ、学識経験者、特別支援学校教員、教育指導室や子ども支援センターげんきなど区教委による研究プロジェクトチームを立ち上げて頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

 足立区全小中学校ですぐにでも取り組みを始めるべき最重要課題です。

 特別支援教育の視点を持ったユニバーサルデザインの教育の考え方を導入した授業改善を図ることは、「どの子どもにもわかる・できる授業」を目指すことに繋がり、結果的に「全ての子ども達にもわかりやすい授業」を提供することになります。

このような多角的な取り組みを学校全体で推進することで、先生方の意識を「ユニバーサルデザイン」というキーワードを持って、同じ方向性、目指すビジョンを明確にすることができます。

 【問】

通常学級に特別支援教育の視点を加味し、発達障がいなどの支援が必要な子ども達が学びやすい授業を改善するための「ユニバーサルデザインの教育」を導入するべきであると考えます。これらの環境を整備するにあたっては、難しいものは何もなく、また予算がかかるものではありません。ユニバーサルデザインの教育は、教員等の意識や練度、校内の支援体制、研修システムなどの如何によって、それが発揮されます。広く発達障がい児への支援施策として、是非、この「足立区版ユニバーサルデザインの教育」を進めて頂きたいと思います。先ずはモデル校を決めて実施し、検証を重ね、「足立区版ユニバーサルデザインの教育」を構築して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

 <教育長>

 通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある児童生徒に対する支援についてお答えいたします。

現状の発達障がいの傾向については、区としても、長谷川たかこ議員ご質問の通りと認識しております。

各学校では、特別支援教育コーディネーターを中心とした校内委員会において、児童生徒への対応の仕方や保護者・関係機関との連携について共通理解を図っています。

また、教育委員会では、特別支援教育の充実に向けた研修会の企画・運営や、臨床心理士などによる巡回支援などを通して各学校の特別支援教育を支援しており、今後も取り組んで参ります。

 <教育指導室長>

次に、教員の研修についてお答えいたします。

現在、特別支援教育コーディネーター研修や教育相談研修において、学識者や研究者を講師として招聘し、研修会を行っております。今後も同様の研修を行い、発達障がいへの理解及び特別支援教育の推進に努めてまいります。

 <子ども家庭部長>

私からは、通常学級での発達障がい児支援にかかわる研究プロジェクトチームについてお答えいたします。

研究プロジェクトチームの立ち上げは、現時点では考えていませんが、特別支援学級設置 校長会と子ども支援センターげんきが連携を密に対応しておりますので、学識経験者や特別支援学校教員から必要に応じて情報を収集してまいります。

 <教育指導室長>

次に「足立区版 ユニバーサルデザインの教育」についてお答えいたします。

教育委員会といたしましては、どの子供にとっても分かりやすい授業を目指し、教員に対して、子ども達一人ひとりの実情を把握し、個々に応じた教材を準備したりするよう、教職員研修や学校訪問などの際に指導をしているところです。このことは、特別支援教育の視点を生かした指導と同様でありますので、ユニバーサルデザインに特化したモデル校の設置は特に考えておりません。今後も、「どの子供にもよくわかる授業づくり」を目指し、取り組んでまいります。