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代表質問の内容⑥【不妊治療・不育症治療への支援事業について】

代表質問、最後の内容です。

今日のテーマは、「不妊治療・不育症治療への支援事業」についてです。

 少子化という言葉が使われるようになり、随分経ちますが、子どもは足立区の未来、日本、そして世界の未来を担っていく大切な存在です。特に資源のない日本においては、人材こそ最大の資源です。足立区は「子ども政策」を重要な政策として位置付けられています。

私が議員になってからこの6年間、生まれる前からの切れ目ない子育て支援施策として、不妊治療の助成事業を提案してきました。

今回の代表質問では、不妊治療の助成事業に加え、さらに不育症に関する支援制度の新規の政策提案を行いました。

ゴールが見えそうで見えない、ゴールに届きそうで届かない、不安と焦りで毎日を過ごしているご夫婦を応援するためにも、足立区がそのゴールに導く一助を構築し、子どもが欲しいと願う全てのご夫婦が、出産をあきらめることなく、前向きに妊娠・出産できる環境をこの足立区から整備していきたいと私は強く思っています。

区長はじめ、区の執行機関の皆様には、積極的にこの問題に踏み込んでいただきたいと切に願っています。

 私は、67万人の人口のこの足立区を原動力として、悩み苦しんでいる多くの人たちが救われる先進的な取り組みを区行政の執行機関の皆様と協力をしながら、この足立区から構築し、国を変えていく礎を強力に推し進めていきたいという強い信念でこの代表質問に臨んでいます!

*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****

 <長谷川たかこ>

次に、不妊治療・不育症治療への支援事業についてお尋ねいたします。
区長は「子ども政策」を重要な政策と位置付けられています。未来を見据えた政策という点においても、足立区の将来を担う子どもたちを大切に育んでいくことは、非常に大切なことです。

赤ちゃんが欲しいと願っているのになかなか授からない、もしかしたら不妊症かもしれないと人知れず悩んでいる人は少なくありません。子どもは自然に授かるものという考えをお持ちの方が多い中、不妊症の深刻な悩みは、一般の方には到底理解しにくいものです。不妊症は10組に1組という頻度の高い病気です。しかし、このことは広く一般には知られていません。

近年、晩婚化が進む中、女性の年齢が高まるにつれて、妊娠の可能性はどんどん低くなっています。女性の妊娠する力は年齢と共に緩やかに低下しますが、自然の状態で30歳を超えると年に約3%ずつ妊娠率は低くなり、35歳では25歳の女性に比べて約50%の妊娠率となります。40歳以上の妊娠率は生殖補助技術を使っても低い状態になってしまいます。

不妊治療の進歩は目覚ましいものがあり、ここ10数年で体外受精や顕微授精を始めとする生殖補助医療技術により、現在、日本で生まれてくる子どもの50人に1人はこの生殖補助医療技術による妊娠です。自然妊娠では15%~35%の確率ですが、体外受精での成功率は20%~30%です。以前なら決して妊娠できなかったカップルにも、子どもが生まれ、妊娠できる可能性は広がってきています。

このことからも、全国の不妊症のご夫婦に赤ちゃんを授けることが出来れば、約30万人の出生数が増えると言われています。

不妊治療は特殊の事のように思われがちですが、一般の診療と同じで、必要最低限の検査で不妊の原因を調べることから始めます。原因が特定されれば、その原因に応じた最適な治療方法が用意されます。この不妊の原因は一つとは限らず、また治療方法も複数選択肢が用意されています。

一般不妊治療では、一部保険適用となることもありますが、適用される回数には限度があります。タイミング療法では3000円から8000円、人工授精では1万5000円から3万円ほどの費用が掛かり、体外受精などの高度医療に関しては、健康保険は全く適用されず、治療費は全額自己負担になります。そのため、高度医療費の費用は、体外受精が1回に30万円から50万円、顕微授精が1回につき35万から60万円かかります。体外受精や顕微授精は1年に2回から3回挑戦すると年間100万円を超える費用が掛かります。

不妊治療は、1回当たりの治療費が高額なだけでなく、治療に時間もかかるなど、経済的に大きな負担となるために、不妊治療を受けられないご夫婦もたくさんいます。また、治療を受けたカップルの10組に1~2組は年齢的なことや経済的なことで、結果を出せないまま泣く泣く治療をあきらめざるを得ないのが現状とのことです。

現在、自治体によっては、国が定めた制度にさらに上乗せをして不妊治療にかかる費用を一部負担する助成金制度が設けられています。不妊治療費の助成をしている自治体は東京23区では、10区あります。

文京区では3年前から特定不妊治療を受ける夫婦のために低利融資制度を新設しました。所得制限は設けず、多くの区民の方々が利用できるように設けられました。不妊治療費の融資制度は全国の自治体で初めての試みとのことです。

文京区では、区内在住で63医療機関で治療する夫婦が対象で、治療費の融資を金融機関に斡旋し、利子の一部を助成しています。限度額は1回の治療につき50万円以内で最大5回(250万円)までの低利融資制度を受けられるそうです。

また他にも、品川区では、不妊の検査、タイミング法・薬物療法・人工授精などの一般不妊治療にかかる医療費を所得制限なしで助成を行っています。港区では、特定不妊治療費の1回の助成金限度額が30万円で、この申請条件に所得制限は設けてありません。

また、近隣の千葉県我孫子市・松戸市や神奈川県の12市町村でも5万円~10万円の助成金が支給されています。

また、さらに神奈川県大和市・綾瀬市(この2市は一般不妊治療も行っている)などの6市では、不育症治療も併せて助成をしています。

お隣、葛飾区では、医療保険が適用されず高額な医療費がかかる特定不妊治療、体外受精及び顕微授精に要する医療費の一部を助成し、不妊治療にかかる経済的負担を軽くしています。平成19年から6年間、10万円の助成をしていましたが、高額な医療費に対する区の助成金額が少ないと区民からの要望が寄せられ、議会でも議論になりました。そして、この事業の見直しと更なる拡充がされ、今年度からは、5万円の上乗せをし、15万円の助成事業を開始しています。過去3年間の申請件数は、平成22年度では199件、平成23年度220件、平成24年度262件とうなぎ上りで、平成25年度は8月末時点で、既に118件と今年度は今まで以上の件数になる勢いです。この事業を行うに当たっては、葛飾区長の「生まれる前からの切れ目ない子育て支援施策」が反映しています。

足立区が葛飾区のように不妊治療に15万円の助成事業を行えば、東京都の事業と併せて30万円の助成額になります。これにより、この足立区でも経済的な理由で今まで高額な体外受精や顕微授精などの特定不妊治療に手が伸ばせなかった方々も、積極的に治療を行うことができます。

不妊治療や不育症治療に関する費用面の問題には、国としてもまだまだ見直しが必要だとは思います。しかし、全国的にも他の自治体では、このように子ども施策の一環として不妊治療を助成する自治体が増えています。

足立区は他の自治体とはそれぞれの財政的な事情などが違うことは当たり前ですが、先進的な取り組みをしている自治体から学ぶことも重要です。

経済的な理由で今まで泣く泣く子どもをあきらめざるを得なかったご夫婦に対しての直接的な支援として、足立区が踏み込むべき最優先施策の一つです。

足立区としても、いつまでも保険適用を国に要望するだけでなく、是非とも先進的に行っている自治体の評価を行いながら、足立区もトップ ランナーの仲間入りを果たしてもらいたいと思います。

 【問】

そこで、区として特定不妊治療に対する低利融資制度を新設することは如何でしょうか。

【問】

また、一般不妊治療や特定不妊治療にかかる医療費の一部を助成するなど積極的に不妊治療に関する施策を行うことをぜひ進めていただきたいと思いますが、如何でしょうか。

また、妊娠しても流産や死産を2回以上繰り返す「不育症」に関しても、支援が必要です。厚労省研究班の調査では、国内に140万人の患者がいると推計されています。適切な治療をすれば85%の方が無事に出産にたどり着けるそうです。昨年度からは、厚生労働省は、自治体が相談員を配置する場合、国が費用の半分を補助しています。全国的にも、不妊治療と不育症治療の両方を助成する自治体も増えてきています。

不育症はカウンセリングなどの心のケアが有効であると聞いています。岡山県では、不妊症や不育症のため子どもを持つことができないご夫婦に対して、「不妊・不育とこころの相談室」を開設し、不妊症や不育症に悩んでいるご夫婦の精神的、経済的負担を軽減する事業を行っています。

足立区では、産科医療機関への周知啓発推進活動や母子保健バックにチラシを入れるなどの取り組みを行い始めています。しかし、精神的なサポートも含めた本格的な取り組みはこれからの状態です。

不妊症や不育症に悩む一人でも多くの区民の皆様が、安心して不妊治療や不育症治療に取り組める環境づくりをこの足立区からも整備していくことが必要です。

 【問】

足立区として、保健総合センターを活用し、医師会との協力や保健師に対する研修を行い、それに対応できる人材を育成し、「不妊・不育の専門相談窓口」を開設するのは如何でしょうか。

【問】

また、同じく保健総合センターで不育症学級を開催することや、これから結婚を望むカップルに対して「不妊症や不育症」に関する講演会を開催し、周知啓発活動を区として積極的に行うのは如何でしょうか。

ゴールが見えそうで見えない、ゴールに届きそうで届かない、不安と焦りで毎日を過ごしているご夫婦を応援するためにも、足立区がそのゴールに導く一助を構築し、子どもが欲しいと願う全てのご夫婦が、出産をあきらめることなく、前向きに妊娠・出産できる環境をこの足立区から是非とも整備して頂きたいと思います。

 私は、67万人いるこの足立区を原動力として、悩み苦しんでいる多くの人たちが救われる先進的な取り組みを区行政の執行機関の皆様と協力をしながらこの足立区から構築し、国を変えていく礎を強力に推し進めていきたいと思います。

  <衛生部長>

私からは、不妊・不育症治療への支援事業のうち、まず、特定不妊治療に対する低金利融資制度の新設に関するお尋ねにお答えいたします。

特定不妊治療に対する低金利融資制度の意義は認識しておりますが、先行している自治体では融資実績がきわめて少ないのが実態です。融資制度を利用される方にとっては、金融商品としても活用しやすいことが重要であることから、今後、区内金融機関の意見も踏まえながら研究してまいります。

次に、不妊治療に係る医療費の助成についてですが、少子化対策は一地方自治体の問題ではなく、国がその責任において対応することが第一義的には必要であると考えております。従いまして、医療費助成制度につきましては、現在の所実施することは考えておりません。

次に、「不妊や不育の専門相談窓口」設置に関するご提案についてですが、不妊や不育症につきましては、現在、各保健総合センターで個別相談に応じておりますので、先ずは、医師会を通じて区内の専門医の状況を踏まえ、対応方針に関する研究を重ねながら、専門相談窓口の設置について検討していくことが必要であると考えております。

次に、不育症・不妊症学級の開催と啓発についてのご提案ですが、先ず講演会につきまして、母子保健事業全体の中で、今後検討してまいります。また、啓発につきましては、引き続き妊娠届時の母子保健バッグ配布の際や母親・両親学級、ホームページなどを通して、広く区民に対して疾患の周知を図ると共に、個別の相談に関する情報提供を充実することにより、これまで以上に不安なく、妊娠・出産できる環境を整えていきたいと考えております。