カテゴリー記事一覧

【過去の活動報告】


【活動カテゴリー】


【過去の議会報告】


【議会報告履歴】



代表質問の内容⑪【発達障がい児・者に対する支援策の取り組みについて】

前回に引き続き、今回は「発達障がい児・者に対する支援策の取り組みについて」行った代表質問をご紹介します。代表質問では、今日が最後の内容となります。

小中学生では、文科省や学識者によると通常学級に在籍している発達障がい傾向の児童・生徒は通常学級に6.5%~20%の割合でおり、足立区においては、現状約3000人~9000人位の子ども達に特別な配慮が必要とされます。

青年期・成人期の発達障がい特性がある人たちを含めると、足立区ではその数は数万人に上り、その方々に対する支援が必要です。

区では、個別の教育支援計画を作成し、一人ひとりの障がいの状態などに応じたきめ細やかな指導・支援を、関係機関と連携し移管して行えるよう取り組んでいるとの回答でした。

しかし、現場の学校では手薄さが表に出てしまっている状況です。個別支援計画書を2年間も提示されていない児童がいます。現状では、足立区における診断名の付かない知的障害を伴わない発達障がい特性を持った子供に対して、充分な支援はなされていません。

特別支援教育の視点のユニバーサルデザインの教育を要望しましたが、以下の回答にあるように、「足立スタンダード」で行っているから…と、大変耳を疑うような答弁でした。足立スタンダードは道半ばの事業であり、足立スタンダードで行っているので、ユバーサルデザインの教育は不要であるという話しなのでしょうか?「インクルーシブ教育」や「授業のユニバーサルデザイン化」の定義を教員の皆がまったく共有をしていない状況であるにも関わらず(現場の校長先生からもお聞きしている次第です。)なぜこのような回答が教育行政から出てくるのか。教育行政の皆様には、「通常学級における特別支援教育とはどのようなものか」をしっかりと研究して頂きたいと強く要望します!

特別支援教育を視点に入れたユニバーサルデザインの授業の導入も含めた実効性ある整備とは、ユニバーサルデザインを意識した授業構成であり、
1.時間の構造化
2.場の構造化
3.刺激量の調整
4.ルールの明確化
があって成り立つものです。足立区では、学習定着状況を図り、学力という部分に関しては力を入れていますが、上記の1~4が全く欠けています。

例えば、全教室では徹底して落ち着ける環境を整えるような工夫をすることが必要です。 

・教室の中はすっきりとシンプルで余計なものは置かない
・黒板の横の壁にはカーテンをつけ、掲示物を隠す
・棚にもカーテンをつけ、目隠しがされている(周りの刺激に配慮したもの)
・提出物は整然と整理されるように、専用の箱が用意されており、視覚ですぐにわかるように箱一つ一つにシールが貼ってあるというような配慮をする
・日常の学校生活内での通風、換気、室温、音などにも配慮する
・ちょっかいを出す、話しかけるなど、刺激し合う子をお互いに離れるような座席位置にするなどの配慮をする
さらに、学校の活動面では、見通しがもてるように子ども達に意識を促す取り組みが求められます。例えば、
・一日の予定を確認し、子どもの状況や学習内容に合わせて、カードを使って提示
・ICT(情報通信技術)を活用し、視覚的にわかりやすく示す

先ずは学校内の環境を整備することで、子ども達の安心感と学習意欲を高める結果にも繋がっていきます。早急にできるところから取り組みを進めて頂きたいと思います。

今後もユニバーサルデザインの教育も含めた政策提案を強力に投げかけていきます。

以下、代表質問の内容と、その答弁です。

*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****

<長谷川たかこ>

次に、発達障がい児・者に対する支援策の取り組みについて質問、提案をいたします。

発達障がい児・者及び家族支援の取り組みは、早期発見・早期支援が重要です。

現在、足立区では、保育園における4歳児を対象に心理士及び作業療法士が行動観察を行い、該当児の保護者に、発達に課題があることに気づく取り組を行っていますが、区立保育園、こども園に通園している幼児が対象で、その他の幼児に対するスクリーニングやその支援には至っていません。

また、小中学生では、文科省や学識者によると通常学級に在籍している発達障がい傾向の児童・生徒は通常学級に6.5%~20%の割合でおり、足立区においては、約3000人~9000人位の子ども達に特別な配慮が必要とされます。

青年期・成人期の発達障がい特性がある人たちを含めると、足立区ではその数は数万人に上り、その方々に対する支援が必要です。

現状では、足立区における診断名の付かない知的障害を伴わない発達障がい特性を持った子供に対して、充分な支援がなされていません。区内に通う小中学生の保護者からは、学校側の理解が乏しく、適切な支援が行き届いていないとの苦情が多数寄せられています。

1.このような状況下で、区として関係機関、特に保育園・幼稚園の職員、小中学校の学校関係者に対して、障がい特性に関する理解と普及啓発活動、成長段階に合わせた適切な支援をして頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

2.特に障がい特性が見え隠れしている子ども達に対して、バックアップ体制を強力に進めて頂きたいと思いますが、区の見解を求めます。

【子ども家庭部長答弁】

障がい特性に関する理解と普及啓発活動及びバックアップ体制について一括してお答えいたします。

現在、区内全ての小・中学校に特別支援コーディネータを指名しております。毎月1回以上開催する校内委員会において、特別支援教育コーディネーターを中心に、特別な教育的支援が必要な児童・生徒の対応について、共通理解を図っております。また一人ひとりの指導目標や内容、方法などを示した個別指導計画や、乳幼児期から中学校卒業後まで一貫した支援を行うための目標や内容などを盛り込んだ個別の教育支援計画を作成し、一人ひとりの障がいの状態などに応じたきめ細やかな指導・支援を、関係機関と連携し移管して行えるよう取り組んでいるところです。

教育委員会としましては、今後も特別支援教育コーディネーター研修を実施し、教員が障がいのある児童・生徒を支援するために必要な基礎的な知識及び実践的な対応力を身に付けさせるとともに、特別支援教育コーディネーターが中心となって、校内における障がい特性に関する理解の充実を図るよう努めてまいります。

<長谷川たかこ>

3.また、特別支援教育を視点に入れたユニバーサルデザインの授業の導入も含めた実効性ある整備を早急に構築して頂きたいと思いますが如何でしょうか。

【学校教育部長答弁】

ユニバーサルデザインの授業の導入も含めた実効性のある整備についてお答えいたします。

教育委員会では、どの子にも分かりやすい授業づくりをするために、ノート指導や黒板に書く項目などを統一する授業モデルである「足立スタンダード」を示し、全校で実施しています。この取り組みは、授業のユニバーサルデザイン化の視点に立ったものであると考えております。さらには学力のポトフォリオを基に、児童・生徒一人ひとりの学習定着状況を把握し授業改善を図っていくと共に、習熟に応じた指導を積極的に導入し、個に応じた指導を充実させております。

今後も各種研修会を通して、現在の取組みの定着を図ってまいります。

<長谷川たかこ>

国では、発達障がい者の地域支援体制の取り組みの一つとして、都道府県・指定都市で、ペアレントメンターの養成とその活動を調整する人の配置、アセスメントツールの導入を促進する研修会などを実施しています。

ペアレントメンターとは、障がいのある子どもの親が同じ立場の親に対して、相談や地域情報の提供や専門機関への紹介などを通して行う当事者支援活動です。

発達障害児の数から言うと専門家による支援だけではニーズを補うことは困難であり、当事者による当事者支援も必要と思われます。また親の障害理解や受容に対してもメンターの効果が大きいと言われています 。

また、ペアレントメンター活動は自閉症スペクトラムだけでなく、知的障害やてんかん、精神障害や身体障害に対しても有効であると言われています。

4.そこで、足立区でも専門家をお呼びして、親の会などの協力を得て、ペアレントメンター養成講座を開催して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

5.また、ペアレントメンターのスキルのある支援者による、ピアカウンセリング活動が行える仕組みを構築して頂きたいと思いますが如何でしょうか。

【福祉部長答弁】

発達障がい児・者に対する支援策のうち、ペアレントメンターの養成及び活動についてお答えします。

発達障がい児・者の家族支援として、同じ子育て経験を持つ親が、対等な関係で相談に当たることは、当事者ならではの実体験を通しての助言や支援が行えることから、有効であると考えています。現在、親から親への支援は、肢体不自由と知的障がいの分野で行っていますが、発達障がいの分野についてもペアレントメンターを養成し、ピアカウンセリングなどの相談支援活動が実施できるような仕組みを検討してまいります。 

 <長谷川たかこ>

障がい特性がある人たちが抱える問題は、多様です。当事者や家族が抱える問題を解決するためには、その経験値を積んだ人たちで構成される枠組みでなければできない支援がたくさんあります。本当の苦しみを経験しているからこそ、支援する側に立つことができる人たちがたくさんいます。自分一人で抱える課題ではなく、その解決のために一緒に取り組める仲間を作ること、支え合うための共助の枠組みを構築することも重要です。

そのためにも、まさに自助・共助・公助の枠組みの中でペアレントメンターを足立区で構築し、より具体的な支援を行える仕組みを作って頂きたいと強く要望いたします。

私はこれからも区民の皆様のお声を糧とした政策実現に向けて、足立区から全国を変えていく原動力を区民の皆様と共に築いて参りたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。