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予算特別委員会の内容⑥【「ユニバーサルデザインの教育」通常学級における特別支援教育の導入・多層指導モデルMIM(学習障がい支援)・小・中・高校の連携について】

今日は、引き続き予算特別委員会で行った質問をご紹介します。

「ユニバーサルデザインの教育」通常学級における特別支援教育の導入・多層指導モデルMIM(学習障がい支援)・小・中・高校の連携についてです。

4月より障害者差別解消法が施行されることに伴い、通常授業においても合理的配慮として特別支援教育の視点を取り入れた「ユニバーサルデザインの教育」に関する政策提言をしました。

文科省では通常学級に現在、全体で6.5%もの子ども達に発達障がい傾向があり、小・中学校だけでも全国に約66万人程度はいると言われています。足立区では、通常学級(45186人)に6.5%~20%の割合で在籍している発達障害傾向の児童・生徒の総数は約3000人~9000人強であり、その子ども達に特別な配慮が必要であると言えます。また、2002年の全国公立小中学校4万人を対象に調査を行った結果では、知的障害はないものの読み書きに著しい困難性を伴う子ども(学習障がい)が2.5%(約1千人)いるそうです。全国には小中学生に高校生を併せると35万人~50万人にその可能性を持っている子供たちがいるといわれています。

このことからも、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が「どの学級にも在籍している可能性がある」という意識をもつことが必要です。

現在、全国的にもインクルーシブ教育の取り組みが着目され、可能な限り、障害のある子どもとない子どもが共に学ぶことを指向し、それぞれの子どもに合った指導を提供し、どの子ども達も満足感や達成感を味わうことができる授業を行うことが重要と言われています。

如何に早期発見し、そのような特性を持った子供たちに早期支援を行うことができるか、重要な課題です。困難を抱えている子供たちに対して、しっかりと手が差し伸べられる支援施策をこの足立区から私は全力で構築していきたいと思います。

*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****

 <長谷川たかこ委員>

次に、ユニバーサルデザインの教育について、質問をします。

本会議でも以前から政策提案をさせて頂いております。

足立区では、平成28年度より順次各小学校に特別支援教室が設置され、発達支援が必要な児童が、原則として通常の学級に在籍しながら、必要な時間に特別な指導を受けることになりました。

足立区教育委員会としては、本年4月から始まる小学校における特別支援教室の設置を契機に、全教員へ発達障がいのある児童・生徒に対して理解を含めた発達障がい教育の研修を行い、教員の発達障がいのある児童・生徒への指導の充実を図る予定とお聞きしました。

既にご存じの事と思いますが、知的障がいのない特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合は6.5%と言われており、グレーゾーンの子ども達も含めると発達障がい特性のある子ども達は、13%~20%の割合と言われています。発達障がい傾向を持つ児童・生徒に対しての指導を求める潜在的なニーズの高まりがこの方向性につながったと感じています。

現状では、知的障害を伴わない発達障がいの場合には、特別な支援を要する必要性についての意識が希薄という点がります。

教員や保護者、周囲の理解不足が最も特別支援教育の推進にブレーキをかけていると専門家からも指摘をされています。

【問】

今回、特別支援教室導入に当たり、全教員が発達障がいのある児童・生徒への指導の充実を図るのであれば、インクルーシブ教育、つまり以前から申し上あげているユニバーサルデザインの教育を通常学級の中で行って頂きたいと思います。

このことについて、子ども支援センターげんき所長はどのようにお考えですか?

<子ども支援センターげんき所長>

確かに、今回の特別支援教室につきましては、これまでのような一定の小学校ではなくて全小学校でそういった教育を行うという事でございますので、当然、担当の教員だけではなく担任の教員とか全てがこの発達障がいについての理解を深めていって、学校全体でこういった子供たちの支援をしていくものでございます。

ですので、お話しにございますように、これからさらに教員たちの知識とスキルを高めていかなくはいけない、そのように考えております。

<長谷川たかこ委員>

ユニバーサルデザインの教育というのは、やはり教員自身の意識改革と、より高度な専門性を身につける必要があるため、研修システムなどが大変重要となってきます。

私自身、何回も視察に伺っていますが、代表的な例としては、日野市の公立小中学校国立の筑波大学附属小学校で導入をされています。

【問】

今後、足立区でも日野市や筑波大学附属小学校などが行っている先進的な研究成果を導入して頂きながら、専門的な知識を備えた教員の育成と組織的な支援体制の確立を図って頂き、「足立区版ユニバーサルデザインの教育」を行って頂きたいと思いますが如何でしょうか。

<教育指導室長>

長谷川委員お話のように、今後、特別支援教室を実施して参りますので、通常の教室においても特別支援、学習障がいのあるお子さんに配慮していくというものでもありますので、是非、教員の研修も定着をさせていきたいと思っています。

また、そのような中で、学習の環境等についても、適した環境づくりに関しては先進的な地区の事例を参考にしながら、本区の教育力の向上に努めて参りたいと思います。

<長谷川たかこ委員>

【問】

そうしますと、例えばモデル校を決めてそこを重点的に行うではなく、広く足立区全体でその教育を行っていくという事でよろしいでしょうか。

<教育指導室長>

来年度、既に23校、特別支援教室を実施しますので、そのような中で情報共有を行いながら、全校でより良いものを広めていくというような形をとっていきたいと思います。

<長谷川たかこ委員>

合理的配慮という視点で、是非ともユニバーサルデザインの教育を足立区で広げて頂きたいと思います。

【問】

現在、区では、研究交流事業として、特別な支援を必要とする児童への教育内容、方法などについて文教大学と協定を締結しているということをお聞きしましたが、その具体的な内容を教え下さい。

<こども支援センターげんき所長>

今、お話しがございました研究交流事業ですが、そんなに大きな規模ではございません。年によって違いますが、数人のお子さんにつきまして、学校などからの申請に基づきまして文教大学の先生と教え子の学生が、そのお子さんにとってどういうやり方の教育が一番効果があるか、そういったことを研究する事業でございます。

<長谷川たかこ委員>

【問】

そうしますと、例えば、文教大学と連携をしながら、先ほど申しましたユニバーサルデザインの教育をどのように行っていくとか、そういう研究をすることは今後、可能でしょうか?

<こども支援センターげんき所長>

今、申し上げましたように、現在、こういった形でやってはおりますが、将来的にどのような形がいいのか、またこれは別に検討していきたいと考えております。

<長谷川たかこ委員>

文教大学のような発達障がい支援を行っている大学があるならば、相互に強力をし合いながら、どのような方向性を持てるか検討して頂き、積極的に建設的な方向性を持って頂きたいと思います。

次に、多層指導モデルMIMについて伺います。

文科省の調査では全国公立小中学校4万人を対象にして調査を行った結果、知的障害はないものの読み書きに著しい困難性を伴う子どもが2.5%約1千人いるとの報告がありました。また、全国には小中学生そして高校生を併せると35万人~50万人にその可能性を持っている子供たちがいるそうです。

しかし、全国的に数が多いであろう学習障害の子ども達に対する指導が具体的には進んでいないため、またその数も把握されていないのが現状です。

学習障がいの専門家に詳しくお話を伺ったところ、学習障がいは、早期に学校の現場で発見し、早期支援に結びつけることが大変重要との話でした。小学3年生まで引きずることは学業不振につながり、二次的な学校不適応などが生じ、手遅れになりかねないと専門家は指摘しています。

現在、足立区では小学校全校でMIMが使用されるようになりました。

このMIMという多層指導モデルは、「読み」につまずきを示す学習障がい児や学習面に困難さのある子どもたちのために開発された教材です。

【問】

MIMの使用により、全小学校で学習障がいの子ども達がどれ位いるのか、把握できたかと思いますが、如何でしょうか。

<教育指導室長>

本区においてMIMに関しては、児童理解、基礎学力定着に関する児童理解の一つの手法として取り組んでいるところです。学習障がいの児童がどれだけかというところは、ちょっと私どもは把握する観点が違うと考えております。だだ、いわゆるサードステージ、一番指導に時間がかかるお子さんたちは、約2割程度いるということがわかっているところでございます。

<長谷川たかこ委員>

そうすると、足立区でも一定程度の割合でいるという事がやや把握できているのかと思います。

学習障がい児の多くは通常の学級に在籍していることから、これらの児童生徒に対する指導は、通常の学級における指導を基本に対応していくことが求められます。専門家からは、学習障がい児の指導を担任のみに委ねるのではなく、学校全体で取り組むことが重要であると指摘されています。

【問】

全小学校でのMIMの実践報告、それから校内研修会等を通じて学習障がい児の抱えている困難性について、教職員が共通理解を深めることが重要と感じますが、足立区ではそのような取り組みを行っていますでしょうか?

<教育指導室長>

一つ、校内においては、特別支援コーディネーターがおりますので、特別支援コーディネーターを中心に共有化を図っているところでございます。

区全体としては、MIMの研修会を年3回実施しておりますので、実践例等の紹介をして、より活用のしやすいよう研修をしているところです。

<長谷川たかこ委員>

【問】

学習障がいの子ども達を見る場合に、特定の専門家が見る必要性があるとも言われています。例えば、教育学のみではなく、心理学や医学など、様々な分野についての知識が必要であると言われていますが、足立区ではそのような専門職員はいらっしゃるのでしょうか?

<教育指導室長>

特別支援教室が実施されるようになって、定期的にそのような方が巡回をしてくれる形をとっていますので、今よりも進んでいくというふうに考えております。

<長谷川たかこ委員>

学習障がいの子ども達を支援するというのは、沢山の課題があると感じているところです。学習障がい児の抱えている困難性の課題を今後、当区で研究を深め、対応をして頂きたいと思います。

次に、高校についてお聞きしたいと思います。

足立区には、文科省指定の特別支援教育の研究開発指定校の都立足立東高校があります。

都立足立東高校では、平成20年から発達障がいがある生徒に対する進路決定に向けての支援方法の開発がされています。

具体的に言いますと、発達障がい特性の強い子ども達に対して、どのような対応をするのか、教員間でルールを統一化しているというお話しでもあります。

【問】

是非とも、小・中学校の発達障がい児・者に対する支援策を考えるときに、この都立足立東高校の先生方をお呼びしながら、その対応について研究をして頂きたいと思いますが、如何でしょうか?

<教育指導室長>

先ほどご紹介いただきました日野の事例等も参考に、また足立東高校の事例なども参考にして、研修等の機会がございますので、必要に応じて派遣要請をして参りたいと思います。

<長谷川たかこ委員>

足立区として、組織的な支援体制というものがとても重要となってきます。組織体制と関係機関との連携、情報の収集なども含め、今後、積極的に研究を深めて頂きたいと思います。

宜しくお願い申し上げます。