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一般質問の内容⑦【外国人住民の医療支援について】

前回に引き続き、今回は「外国人住民の医療支援について」行った代表質問をご紹介します。

多文化共生社会を語るときに、課題の一つとして挙げられるのが、「言語・コミュニケーション」や「異文化理解」の問題です。多くの外国人が母語や母文化が異なる医師の診断を受けることになることから、現在、日本語を母語としない患者のために、協力病院に通訳を派遣する医療通訳派遣システム構築事業を行っている自治体があります。また、市立病院や保健センターなどに通訳を配置するなど、医療における「言葉の壁」に独自に対応している自治体もる中で、医療通訳者の資格や身分、報酬などは、法廷通訳者に比べていまだ確立されていないのが現状です。

医療は人の命にかかわる重要なことがらであることから、単に「言葉」の問題だけでなく、「コミュニケーション」、「異文化理解」の視点から、今回、私は予算措置も含めた、公的な医療通訳派遣制度の整備を求める政策提案をしました。

 

以下、代表質問の内容と、その答弁です。

*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****


7. 外国人住民の医療支援について

<長谷川たかこ>
次に、医療現場において、言葉の問題が深刻化しつつある現状について質問を致します。
日常的な日本語が出来ても、専門用語の難しさ、痛みや不安による言語力の低下などによって、医師と十分にコミュニケーションが取れなくなることが想像できます。医師の言葉がわからない、処方箋が読めない、病院システムがわからない中で治療を受ける患者とその家族の心細さは計り知れないものがあります。

 

「医療通訳」は医療従事者ではありませんが、こうした医療者と患者のコミュニケーションの橋渡しをする役目を担うものです。医療通訳は、医療用語に精通していることはもとより、場合によっては生命に関わる責任も生じることがあるため、通訳者には、非常に豊富な経験や守秘義務の厳守などが求められます。医療現場は専門用語が多く、通訳ミスがあると患者に正しいインフォームドコンセントが行えないという事態も生じます。また、通訳ミスによる医療過誤が起きたとしたら、責任問題が生じます。
現在、救急車には通訳アプリが入ったタブレット端末が備えてある場合もあるそうです。しかし、細かな患者の変化を把握するには医療通訳が必要との指摘があります。

 

【問】足立区における、外国人住民の緊急搬送に伴う迅速な医療通訳派遣の現状とその課題について伺います。

<衛生部長>
次に、外国人の救急搬送時の通訳状況についてお答えします。
23区では、消防、救急につきましては、東京消防庁が管轄しているため、外国人の救急搬送の現状について確認をいたしました。まず、日本語ができない外国人の場合、119番通報をすると通訳センターに回線をつなぎ、英語、韓国語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の5か国語について通訳が可能となっているということです。

 

救急隊員は、5か国語のコミュニケーション支援ボードを使い、イラストで症状を把握するとともに、救急現場でよく使用されている言葉を記載した11か国語に対応しているコミュニケーションマニュアルなどを用いてコミュニケーションをとっているのが現状であるということですが、現時点では、大きな課題はないとのことです。

神奈川県ではNPOとの協働による「医療通訳派遣システム事業」を行い、医療通訳ボランティアを募集・育成しています。また、大阪府枚方市では委託して、市内の対象医療機関に医療通訳ボランティア(枚方市医療通訳士)を派遣しています。


【問】足立区でも、NPOとの協働・委託事業を行い、区内の医療機関に医療通訳ボランティアが派遣できる体制を構築して頂きたいと思いますが、区の見解を求めます。
【問】人道的見地からも外国人住民の医療支援について、体系的な取り組みと検討が必要です。外国人住民に対する医療支援の課題とその解決に向けた取り組みについて、医師会、病院などの医療機関、医療通訳者、外国人支援団体などによる研究会を組織し、構築することを求めますが、区の見解を伺います。

 

<衛生部長>
次に、医療機器への通訳ボランティア派遣について、お答えします。
現在、足立区には、医療通訳ができるNPO団体やボランティアは登録されていません。他自治体での先進的な取り組みを参考に、今後の研究課題とさせていただきます。
また、外国人住民への医療支援につきましても、通訳ボランティア同様、課題の整理と関係機関との連携について今後、研究して参ります。