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平成30年3月9日予算特別委員会の内容⑥【妊娠期から出産、子育て期までの切れ目のない支援について】

足立区では、妊娠初期の段階での保健師による相談支援が一部の場所に限られており、その後の支援もハイリスクの絞込みの対応となっています。妊産婦全員を対象にした保健師による相談体制を整備すれば、将来的にリスクを持つ方が初期の段階で回避することできます。

東京23区の調査では、うつ病などによる妊産婦の自殺がこの10年で63人という報告がされています。妊娠中に自殺をした妊婦は妊娠2か月と最も多く、出産後に関しては、産後4ヶ月で自殺した人が多いそうです。妊娠中や周産期のメンタルヘルス対策は重要です。特に心身ともに妊産婦は弱くなっています。相手の言動にとても敏感で傷つきやすくなっているのもこの時期です。

妊産婦が住み慣れた場所で安心して子育てをするためには、子育てのサポートの拠点が日常生活の中にあり、妊娠から子育てを包括して支援を受けられる一貫した支援システムを構築することが求められます。

私の妊娠・出産・子育ての経験からも、この施策は強力に推し進めていくべき重要課題の一つです。

23区中19区の自治体が、「ゆりかご・とうきょう事業」を行っています。また、この事業が外れている港区、中央区では、少子化対策として国の補助金を活用したり、区独自の自主財源で、それなりの手当てをしています。中央区は既に国の補助事業を活用して、妊婦に対するタクシー券の贈呈や出産祝いとして3万円の買い物券を贈呈しています。更に中央区では、国の補助金を活用して産後ケア事業も開始するそうです。港区においては、不妊治療の補助金も5年でトータル150万円の支給、出産費用の助成も最高60万円までを支給しており、妊婦に対してコミュニティーバスの無料乗車券の発行をしています。

現在、足立区と荒川区では未だに国や東京都の事業を活用しておらず「妊娠出産に関する施策」に対して、その理解が極めて乏しいと言わざるを得ない状況です。

早急に妊婦に対する全員面接と同時に育児パッケージなどの配布を行い、妊婦やこれから生まれてくる赤ちゃんに対する支援を手厚くし、妊娠から子育てまで途切れることなくワンストップでサービスが提供される支援施策を私は強力に推進していきたいと思います。

 

*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****

☆「妊娠期から出産、子育て期までの切れ目のない支援」について

<長谷川たかこ委員>

午後一番で質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

妊娠期から出産、子育て期までの切れ目のない支援について伺いたいと思います。

まず、最初に、「ゆりかご・とうきょう事業」は、政府が出産、子育てまでの切れ目のない支援として打つ打ち出したものであり、モデルとなったフィンランドでは、妊娠から出産、子どもが生まれた後も、基本的には6歳まで切れ目なくサポートを提供する総合的な支援サービスです。

妊娠がわかったとき、まず足を運ぶのは病院であり、その後、母子手帳をもらいに自治体の役所に行きます。妊娠届の窓口にやってくる女性たちの気持ちや事情は、それほど単純ではありません。そのため母親の心身の健康状態や家族関係、世帯の経済状況など、子どもの健康以外の複雑な要因については、役所の窓口で記入する最初のアンケートのみで浮き彫りになってくるものでもありません。

以前、区の妊娠届け出状況の資料を取り寄せて調査をしてみましたが、全体の59.3%の方々が区民事務所で妊娠の届け出をしているため、妊娠初期の保健師による相談は40.7%の人しか受けていない状況でした。届け出の妊娠の週数は、11週までの提出が92.4%と高く、つわりが一番ひどい状況の中で届け出をしています。

妊娠11週までは、つわりがどんどんひどくなっていく状況なので、自宅から近い交通の便などが良いなど、一番体の負担の少ないところに妊婦さんたちは選んでいきます。

その状況が、区民事務所での届け出数が高いという結果につながっているのではないかと思われますが、区の見解をお願いします。

【保健予防課長】

長谷川委員おっしゃるとおりだと思います。

<長谷川たかこ委員>

保健師の面談がなかった人たちは、アンケート付きの妊娠届け出を役所がチェックし、リスクがあると判定された方々には後付けで連絡がいき、ハイリスク対応の支援に回るそうです。相談体制、リスクの高い人たちのみを対象とするのではなくて、全員対象にすることで育児と子どもの健やかな成長を阻む様々な問題の予防、早期発見につながることが期待されます。

ちなみに、東京23区中19区で行われているネウボラ支援事業は、健康な妊婦だけでなく、ハイリスクの妊婦も含めて総体的に妊婦全員の支援を手厚くしているところです。

妊娠中や出産前後、乳児期、就学前にかけて、子育てをする家族の暮らしにおいて、どこにつまずきや問題があるのか、リスクは何か、母子手帳を取りに行った最初の段階から個別に妊娠期から継続的にサポートをしてもらえる全妊婦の寄り添い型支援を構築していただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

【保健予防課長】

区といたしましては、長谷川委員ご紹介のASMAP事業に関しまして、平成28年度より開始しておりまして、妊婦の方、支援が必要な方に関しましては、個別かつ寄り添い型支援を実施しているところでございます。

<長谷川たかこ委員>

ASMAPのやり方はわかるんですが、そうではなくて健康な妊婦たちに対しての個別支援というのを全面的にやっていただきたいということで質問させていただいおります。いかがでしょうか。

【保健予防課長】

対象者を絞らせていただいている理由としましては、集中的に支援を実施することによって育児環境又は妊娠環境の格差、その是正を目指して今、区として取り組んでいるといった理由から、対象者を絞らせていただいている次第です。

<長谷川たかこ委員>

ただ、ネウボラ事業っていうのはハイリスクのみならず、健康な妊婦も含めてやる事業です。

東京23区中19区が足立区と同じようにハイリスクも含めた形でやっている現状の中で、足立区はその一つが欠けているんです。

ですから、ネウボラ事業を是非やっていただきたいと思います。

昨日ニュースで、乳児2カ月の赤ちゃんがお父さんの虐待で亡くなったというニュースが流れました。足立区内で起きたことですが、そのお子さんの家庭はハイリスクとしてASMAPの中に入っていたのでしょうか。

【保健予防課長】

今、その件に関しましては、警察が入って調査しておりますので、詳しい話は控えさせていただきますが、ハイリスクというような形での支援対象ではなく、対応としましては、当該家庭に対して電話での育児環境の確認をさせていただいたというのが、こちら区としての関わりとなっております。

<長谷川たかこ委員>

そういうご家庭もあるわけですから、全妊婦、それから出産した後のお母さんに対しても、是非とも寄り添い支援事業というものを行う意義というのは、今回の事件を見ても高いと思われますが、そう思いませんでしょうか。

【保健予防課長】

今回の事例に関しましては、新聞報道等を見ますと、一番大きく関わっていたのが父親ということです。全妊婦、面接等、お母さんへの関わりだけでは防げなかった、そういった事例ではないかというふうに考えておりまして。ただ、今回の事例を踏まえて、区としてどういった行政支援が在り方として可能かどうか検討した上で、また、あわせて、東京都のほうで行われる虐待死亡事例検討委員会の報告を待って、体制の強化等努めてまいります。

<長谷川たかこ委員>

私は、このネウボラ事業を足立区でやることによって、虐待も含めた形での出産後のハイリスクを軽減することができるものだと思っております。

「ゆりかご・とうきょう事業」によって、各自治体に拠点づくりや育児パッケージ事業を推進している中で、今、お話ししたように東京23区中19区が既にこの事業を行っている、または行う予定です。平成30年度からは、渋谷区もネウボラ事業を行うそうです。

足立区を除く残りの3区、中央区、港区、荒川区、こちらを調査してみました。

中央区は既に国の補助事業を活用して、妊婦に対するタクシー券の贈呈や出産祝いとして3万円の買い物券を贈呈しています。更に中央区では、国の補助金を活用して産後ケア事業も開始するそうです。港区においては、不妊治療の補助金も5年でトータル150万円の支給、出産費用の助成も最高60万円までを支給しており、妊婦に対してコミュニティーバスの無料乗車券の発行をしています。

中央区も港区も、少子化対策として国の補助金を活用したり、区独自の自主財源で、それなりの手当てをしています。

母親になって、自治体から育児パッケージや買い物券などの贈呈があると、やはりうれしいものでもありますし、パートナーと子どもが生まれることの幸せをお互いに共有しながら、自分が住んでいる自治体からも家族支援を受けているという動機付けにもなります。

墨田区においては、保健センター2カ所、保健計画課、子育て支援総合センターの計4カ所で予約をとり、妊娠届を提出した際に育児パッケージを渡しています。

多くの自治体が、「ゆりかご・とうきょう事業」を行っている中で、足立区においても、いまだに国や東京都が強力に進めているネウボラを行わないというのは、「妊娠出産に関する施策」に対して、その理解が極めて乏しいと言わざるを得ないと思います。

早急に妊婦に対する全員面接と同時に育児パッケージなどの配布を行い、妊婦やこれから生まれてくる赤ちゃんに対する支援を手厚くしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【保健予防課長】

区といたしましては、面接可能な保健センター等での届け出を推奨しているところでございますが、長谷川委員ご指摘のとおり、区民事務所への届け出が6割弱となっている現状におきましては、全員面接(東京都のネウボラ事業を受けるにあたっての要件)は困難な状況です。

次に、育児パッケージの配布についてですが、東京都の補助基準が、妊婦における全員面接となっているところから、足立区においてはその補助基準を満たしていないこと、また区といたしましては物の配布ではなく、家庭訪問に代表されるような妊婦の方への直接的な寄り添い支援に財政的、人的資源を集中していることから、育児パッケージの配布については現在のところ考えておりません。

<長谷川たかこ委員>

出産後の家庭訪問というのは、どの自治体でも必ずやっているものですし、それは国が推奨しているものなので、それは当然のものだと思います。

中央区は既に国の補助事業を使って、その育児パッケージの部分を賄っているというご回答いただいております。足立区でもやろうと思えばできると思うんですが、増田課長は以前、「このネウボラ事業をやりたいんだ」というお話、私はいただいているんですけれども、どうして増田課長はやりたいと思っているのに、されないのでしょうか。 

【保健予防課長】

ネウボラというものは、そもそも相談する場といった意味合いのあるものです。私がやりたいと言ったのは、そういった相談するシステムを足立区で構築してみたい、そういった意味合いで発言させていただきました。

<長谷川たかこ委員>

であるならば、是非とも全妊婦を対象にして、ハイリスクのみを初期の段階で抽出するのではなく、長い目で見て出産後に、いついかなるときにハイリスクになるとも限らない出産後のお母さんや、それから子育てを支援するパートナーに対しても、寄り添い事業を行うべきだと思います。

昨日の、あのような痛ましい事件があった中で、足立区においては事件がとても多いので、是非、ネウボラ事業も含めた形での事業を強力に進めていただきたいと思います。

それとまた、若い人たちの転入、定住定着を促進させるためにも、やはりこれは早急に構築すべきだと思うんです。東京23区中19区がやっている中で、私の娘ももう二十歳過ぎまして、これから結婚してどこに住むか、そういう話を娘たちとすることもあります。その中で、子育て支援を手厚くやっているところに私たちは住みたいと話しております。

ネットを見れば23区の子育て支援がわかる中で、足立区として、大変、子育て施策が乏しく足立区が妊婦さんに理解がないと思われる状況の中で、ネウボラ事業を強力に進めることが必要だと思いますが、区長の見解をお聞きします。

【衛生部長】

先ほど、今、ASMAP事業に力を入れていると言いましたが、事件等を受けて体制の強化を図っていくということを申し上げました。

そのようなこともありますので、他区の状況等を調べながら、その内容については検討して、どういう対策がとれるかということについて進めていきたいと思っております。

<長谷川たかこ委員>

区長は男性、女性というふうに言われるのが嫌かもしれません(区長から、そのような発言が過去に何回かありましたので)が、やはり私は区長が女性区長として10年間務めて頂いている中で、女性施策を一番に進めていただきたいというところで期待しております。

是非、区長もご検討いただきたいと思います。