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代表質問の内容③【「子ども・子育て支援新制度」における無償化について】

10月から始まる「子ども・子育て支援新制度」では、幼児教育・保育の無償化により、5年間は内閣府令で定めている基準を満たさない認可外保育施設であっても補助を受けることができる対象となります。

このような措置により、保育需要が喚起され認可保育所等が不足する現状で、その受け皿として認可外保育施設が増え、保育の質が十分確保されないままの保育が拡大、常態化する恐れがあります。

例えば、乳幼児1人当たりの面積だったり保育士人数が不足していたり、災害時の備えが怠っていたりと国が定める基準を満たさない認可外保育施設を増大させることとなり、無資格者による保育の常態化とそれによる保育事故が増大する可能性があります。

子供たちの安心・安全を担保するためにも足立区として条例を定め、その裁量で無償化の対象となる認可外施設の範囲を限定できるようにすることが必要だと私は考えます。しかし、一方で指導監督基準や認可基準に達していない施設に対する区の支援も必要です。今後、認可外保育施設に対する認可化を促進するための支援を区として強力に行い、全体の底上げを図っていく施策も同時に推し進めていきたいと思います。

 

*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****

 

☆【「子ども・子育て支援新制度」における無償化について】
<長谷川たかこ>
保育は公的責任において保育制度を構築し、質が担保されるものでなくてはなりません。しかし、今年の10月から始まる「子ども・子育て支援新制度」における無償化により、5年間は内閣府令で定めている基準を満たさない認可外保育施設であっても補助を受けることができる対象となる経過措置が取られています。このような措置により保育需要が喚起され、認可保育所等が不足する現状で、その受け皿として認可外保育施設が増え、保育の質が十分確保されないままの保育が拡大、常態化する恐れがあります。

政府が公表している「保育事故報告集計」によると、2004年から2017年の14年間に保育施設等で亡くなった子供たちは198人にのぼります。死亡の約8割が睡眠中に発生し、約8割が0~1歳児です。死亡事故発生率を認可保育所と認可外保育施設で比較をすると、認可外保育施設の死亡事故の発生率が25倍以上と高くなっています。

死亡事故を起こした施設は立ち入り調査で基準違反の指摘事項が多く、認可外保育施設の立ち入り調査は年1回行うことが原則となっていますが、立ち入り調査自体が不十分な中で、全国的にも調査した施設の4割越えが国の指導監督基準に違反しているとの結果が出ています。

さらに、待機児童が多い地域では、認定を受けながらも非正規雇用や保護者の健康上の理由から就労時間が短くなることで、入所選考・利用調整において順位が低く扱われ、結果として低所得者層が認可保育所に入所できない事態が生じす。認可外保育施設は公費補助がなく高額な保育料になりがちで、以前ならあきらめた層が今回の無償化措置によって、安全性にリスクが高い認可外保育施設を利用せざるを得ないケースが想定されます。

今回の無償化により、認可外保育施設の利用費が補助されることから、従来よりも認可外保育施設の利用が促進されることが予想できることから、基準を満たしていないリスクの高い認可外保育施設でも認可施設と同様に安全・安心だと間違った認識で利用されることが懸念されます。

基準を満たさず、安全性が担保できない認可外保育園まで一律に無償化の対象とすることに「保育の質が守れない」との全国市長会からの声により、市区町村が独自に条例を定めれば、その裁量で無償化の対象となる認可外施設の範囲を限定できることとなりました。すでに、待機児童が多い自治体でも条例制定を目指す動きが出ており、杉並区や世田谷区、埼玉県和光市、朝霞市、大阪府吹田市などは既に条例を制定しています。

【問】
そこで、足立区においても、幼児教育・保育の無償化は、子どもの保育の質と安全が確保されることが第一であることを念頭に置き、子どもの重大事故を無くすためにも、区として早急に「無償化」対象の認可外施設に対する条例制定を行うべきと強く求めますが、区の見解を伺います。

<教育長答弁>
私からは、子ども・子育て支援制度における無償化についてお答えします。
先ず、認可外保育施設に対する条例制定でございますが、区としましては、現時点では条例を制定することは考えておりません。
その理由としましては、待機児童が解消されておらず、やむを得ず認可外保育施設に入所されている方もいるためです。
ただし、無償化の対象施設となるためには、認可外保育施設から区への「確認申請書」が必要となりますので、この機会を活用し、各施設の状況確認を行い、保育の質の担保に努めて参ります。

<長谷川たかこ>
【問】
5年間の経過措置の間も、区内の無認可保育施設への予告なしの立ち入り調査の実施やその結果の公表などを徹底し、認めがたい劣悪な施設があればそれを排除するよう東京都に働きかけ、東京都と区が連携した指導監督体制の強化や、新たに届け出をする認可外施設への確認も含めた実効的な指導監督ができる仕組み、体制を確保すべきです。これらを網羅した形で足立区が関われる仕組みを早急に構築すべきと考えますが、区の見解を求めます。

<子ども家庭部長回答>
認可外保育施設への指導監督等における区のかかわり方についてお答えいたします。
認可外保育施設の指導監督権限は東京都にございます。しかし、区としても利用者に補助する立場であり、保育の質の確保に努める必要があると考えておりますので、東京都が実施する指導監督に引き続き、協力していくとともに、区が関われる仕組みについて検討して参ります。

<長谷川たかこ>
【問】
万が一、重大事故が起きた場合の補償内容に格差が出ないよう、全ての無償化対象施設に対して、公的保険(例えば、日本スポーツ振興センター災害共済給付)への加入義務付けを図るべきと考えますが、如何でしょうか。

<子ども家庭部長答弁>
無償化対象施設への公的保険加入義務化についてですが、公的保険の加入を義務化する権限は区にはございません。
ただし、東京都が認可外保育施設に対して行う指導監督要項において、賠償責任保険加入など補償を速やかに行う備えができているかが評価基準となっていますので、それを満たすことができるよう、東京都とも連携し助言して参ります。

【問】
さらに、指導監督基準や認可基準に達していない施設への支援を区として強化し、認可化を促進するなどの全体の底上げを図る働きかけを区が全力で行うことを強く求めますが、如何でしょうか。

<子ども家庭部長答弁>
次に、基準を満たしていない施設への支援についてですが、無償化の対象施設となる為の認可外保育施設から区への「確認申請」を活用し、各施設の状況確認を行って参ります。また、無償化の手続きに際して、直接、利用者の生の声を確認するなど、施設の運営状況の把握に努めて参ります。そのうえで、引き続き、都が行う立ち入り調査、巡回指導に同行し、基準を満たすよう助言を行うと共に、各種研修への参加を呼び掛ける等、認可外施設全体の底上げのため、支援を行って参ります。