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代表質問の内容⑪【中国残留帰国者支援について】

血縁の故郷は「日本」、育った故郷は「中国」という境遇にあり、中国の文化・習慣で育った帰国者の皆さんが、日本での生活になじむのは大変なことです。足立区内の中国残留帰国者数は現在、110世帯156名です。東京23区内でも、多くの方が足立区で生活をされています。私は区議会議員1期目よりこの問題に取り掛かり、帰国者の方が日本に帰国され、日本の文化や言葉を学ぶために最初に入る施設や支援施設の視察、厚生労働省や東京都をはじめ、多くの自治体(行政)へのヒアリング、そして実際に足立区に在住されている帰国者の皆さんと直接お会いして何度もお話しをお聞きしてきました。

その中で、中国残留帰国者の皆さんの居場所作り、ネットワーク作りが大変重要であり、それらを基盤とした地域の皆さんとの交流と絆を深めていく必要性があることを強く実感しました。帰国者の皆さんの支援策を模索しながら、これまでも帰国者の方を対象とした機関紙中国帰国者だより「故郷ふるさと」の発行や、地域活動への参加などを提案し、それらが実現し少しずつではありますが取り組みは確実に進んでおりました。

しかし、今、直面しているのは、コロナ禍による地域活動の停滞とそれによるコミュニケーション不足、そして高齢化による介護の問題と新型コロナ感染症対策や災害等の避難行動等に関する周知・啓発などの問題があります。

*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。***** 

【中国残留帰国者支援について】

 <長谷川たかこ議員>

【問】現在、支援相談員3名の対応で年に1回以上の訪問調査と電話・窓口相談を行っている状況です。日本語が不自由なうえ、高齢になると困りごとがあっても自分で電話をしたり窓口に足を運ぶことさえもできなくなります。コロナ禍であれば、なおのこと、困り感を抱えていることは想像に難くない状況です。現在の訪問回数などを見直し、月に数回の訪問と週に1回以上の電話での聞き取りを行うことを求めます。自主財源を付け、積極的に区が関わり、中国残留帰国者に対するさらなる手厚いケアを行うことを強く求めますが、区の見解を伺います。

【福祉部長:答弁】

中国残留帰国者支援についてお答えいたします。先ずさらなる手厚いケアについてですが、現在、実施しております全世帯対象の本人確認証更新手続きに併せ、困りごと相談アンケートも行っておりますが、現時点では、訪問回数や電話での聞き取り調査に関するご要望はございません。引き続き、支援相談員による中国残留帰国者へのケアは、国の配置基準による現行の人員体制で実施して参ります。

<長谷川たかこ議員>

【問】新型コロナ感染症対策や災害時における避難行動などについて、中国帰国者だより「故郷ふるさと」に情報を掲載し、支援相談員からの説明とセットにして、より丁寧な周知・啓発を行うよう求めます。区の見解を伺います。

【福祉部長:答弁】

新型コロナ感染症対策や災害時における避難行動などの周知・啓発についてですが、(委員ご提案の通り)次回発行の中国帰国者だより「故郷(ふるさと)」以降、関連情報を連載していくことを予定しており、支援相談員による丁寧な相談・案内と併せて周知・啓発を行って参ります。

<長谷川たかこ議員>

現在、帰国者の高齢化に伴い、医療だけでは限界があり、介護の必要性が問われています。足立区においては、全国的に見ても中国残留帰国者が多く居住している自治体です。昨年、中国語ができる通所のディサービスが2つ設立されました。現在24名の方々が通所されておりますが、156名もの中国残留帰国者がいる足立区においては、まだまだ少ない状況です。
【問】帰国者の皆さんが高齢化する中、老齢年金の満額支給や支援給付金の支給などにより経済的には対策がとられるようになったとはいえ、日本語が十分話せないことによる医療・介護での意思疎通や老人ホームでの孤独といった不安が増しているとの話が私に多く寄せられています。中国語、中国文化、残留帰国者の境遇に理解のある2世、3世の方々の協力が求められます。事業所に中国残留帰国者についての理解を求める周知啓発を行い、区が補助している『介護職員初任者研修』を活用して、帰国者2世・3世の就労に繋がる働きかけを区が積極的に行って頂きたいと思います。日本語が不得手な帰国者2世・3世であっても中国語で受講できる体制を是非とも構築して頂きたいと強く要望致しますが、区の見解を求めます。

【福祉部長:答弁】

帰国者2世・3世の就労に繋がる働きかけについてですが、介護職員初任者の資格取得も可能とする「介護人材雇用創出事業」や資格の有無に関わらず求職のマッチングを行う「介護の仕事相談・面接会」を活用し、就労に繋がるよう支援して参りました。

次に、日本語が不得手な帰国者2世・3世であっても中国語で「介護職員初任者研修」が受講できる体制の構築ですが、帰国者2世3世が中国語で研修を受講できるためには、民間の研修期間において介護に関する豊富な知識を持ち中国語が堪能な人材を確保する必要があるなど、課題が多いことから今後の研究課題とさせていただきます。

<長谷川たかこ議員>

【問】さらに医療・介護においては、中国残留帰国者のみならず、「在日外国人」の高齢者が安心して医療・介護サービスを受けられるように「多民族・多文化・多言語」共生社会を支え異文化に通用する「多文化医療 ・介護・社会福祉専門要員」の養成を求めます。区の見解を伺います。

【福祉部長:答弁】

「在日外国人」の高齢者のための「多文化医療・介護・社会福祉専門要員」の養成についてお答えいたします。

医療・介護現場の様々な場面での多言語対応のため、今後、外国人材のさらなる活用が必要です。まずは、医療・介護・福祉分野における多文化共生につきまして、介護事業所やNPO、ボランティア団体など、多様な主体と意見交換し、理解促進を図って参りたいと考えております。

<長谷川たかこ議員>

【問】中国残留帰国者は「血縁のふるさとは日本でも、育ったふるさとは中国」という特殊な事情を持っています。中国残留帰国者問題は、歴史的な背景や生活習慣、 言葉の問題、生きがいや精神的な豊かさの共有、地域との相互理解が必要です。外国人施策とは切り離し、帰国者問題として東京都とこの課題を共有し、区と 東京都が連携してこの課題を解決することが求められます。そのためには、区営住宅 もしくは都営住宅内に中国残留帰国者のエリアを設けて頂き、お互いに支え合いながら生活できる地域を構築することが大切です。 NPO中国帰国者・日中友好の会からも強い要望があがっており、このような一体感 を持った施策を足立区で是非とも展開し実現して頂きたいと強く求めます。区の見解を伺います。

【建築室長:答弁】

区営住宅もしくは都営住宅内に中国残留帰国者エリアの設置についてお答えいたします。区営住宅の入居は原則公募が条件となっており、退去後の住宅を定期的に募集していることから帰国者エリアを確保するために一定の住戸を長期間空けておくことは困難であります。このため、現時点では中国残留帰国者のエリアを設ける施策を打ち出すことは難しいと考えております。

まお、都営住宅内に中国残留帰国者のエリアを設けることについては、東京都に要望を伝えて参ります。

<長谷川たかこ議員>

【問】私が以前、議会提案をした際には、区の執行機関の皆様のご理解とご尽力のお陰で、様々な自治会・町会などで中国残留帰国者の皆様との交流会が実現しておりました。しかし、現在、コロナ禍の中でコミュニティがストップしております。コロナが収束した際には、足立区内の自治会・町会に積極的に働きかけ、中国残留帰国者の皆様との交流会をぜひとも行って頂きたいと強く要望致します。自治会・町会の皆様に中国残留帰国者の歴史的背景を知って頂き、納涼会などのイベントに帰国者の皆様が気軽に参加できる仕組みを区が主導して構築し、地域コミュニティの実現を図ることを強く求めます。区の見解を伺います。

【福祉部長:答弁】

中国残留帰国者との交流会の実施と地域コミュニティの実現についてですが、従来は料理教室を開催し地域との交流を図っておりましたが、残念ながら、コロナ禍のため令和2年2月を最後に開催できない状況が続いております。

今後は帰国者の方々のご意見、ご希望を丁寧に伺いながら、文化交流イベントの開催などを検討して参ります。またその際には、区内の町会・自治会のほか、介護事業所など様々な方々にも積極的に働きかけを行い、地域コミュニティにおける中国残留帰国者支援への理解促進を図って参ります。

<長谷川たかこ議員>

「足立区で生活する全ての人が安心して暮らせる、やさしい街づくり」を私はこれらかも全力で構築していきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。