代表質問の内容⑦ : 放射線対策・帰宅困難者対策
引き続き、代表質問の内容のご紹介です。
今回は、保育所・幼稚園などの「放射線対策」と東日本大震災でも課題となった「帰宅困難者対策」です。
放射線対策については、例えば、雨どいや側溝などの「ミニホットスポット化」しそうな場所の重点的な調査などを、議会で何度も対策を求めてきました。
代表質問では、足立区が保育園や幼稚園、学校の校庭などで定期的に行っている調査で、区の定める基準値以上の結果が出た場合の対策について、お伺いしました。
基本的には、表土を除去する方法を取り、その処理は原子力開発機構の情報に基づいて、安全性を重視した処理をするようです。
しかし、区の担当者のご説明では、その処分方法について当該施設の職員や保護者にしっかり周知されていないようでした。
また、処分場所についても公表しないというお話もありました。
適正に処分されるのであれば、区としてそれらの情報は公開すべきだと考えます。
情報公開をしっかり行うことこそ、保育園・幼稚園、学校に通う児童の保護者の皆様、そして周辺の住民の皆様の不安を払拭し、理解を得ることが出来ると思います。
放射能の問題は、全国で住民の不安や過剰反応、風評被害などをもたらしています。
そのようなことを避けるためにも、すばやい対応としっかりとした情報公開を求めました。
次に、東日本大震災の際には、区内でも北千住駅周辺を中心に、かねてから危惧されていた帰宅困難者が出ました。
帰宅困難者への対策は大きく2つあります。
ひとつは、歩いて自宅に戻ろうとする方(本来なら、無理に帰ることは控えるのが望ましいのですが)に対する道中での支援。
もうひとつは、自宅に帰ることが出来ない人への対応です。
前者については、東京都がコンビになどと「災害時帰宅ステーション」の協定を結び、帰宅者を支援する取り組みがあります。
実際に、東日本大震災の際にも、幹線道路沿いのコンビになどでは、机や椅子などを準備して、対応された店舗もあるようです。
しかし、どの店舗や事業所が東京都と協定を結んでいるかを、所在自治体である足立区が把握していないという問題があることが分かりました。
帰宅者の安全の確保と事故防止のためにも、足立区としてもそれらの情報をしっかりと共有し、東京都と連携した体制作りを求めました。
また、後者の駅周辺の帰宅困難者(滞留者)です。
東日本大震災では、首都圏で特に懸念されていた駅周辺での滞留者問題が、足立区でも北千住駅や綾瀬駅などの大きな駅で起こりました。
帰宅困難者を収容できる避難所は開設されたものの、避難所の数、備品、開設の判断、タイミング、周知・誘導方法など、検討すべき課題が多く残されました。
この問題は、区だけでなく、学校関係者、周辺事業者、鉄道事業者、地域住民の皆様のご協力も不可欠です。
考えられうる様々なケースを想定して、出来る限りの準備を行うという防災の基本に立ち、改めて、区の体制の整備を求めました。
*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****
<長谷川>
次に、放射線対策についてお尋ねいたします。
足立区では、継続して基準を上回った保育園、幼稚園、学校の校庭や砂場の土や砂を除去して、放射線量を下げる対策をとっていただいています。
また、その除去した土の処理方法については、99%以上放射線を遮断できるという原子力開発機構の情報に基づいて、シートに包み、校庭などの地中に埋めているとお聞きしています。
【問】
保護者の不安を取り除くためにも、該当保育園、幼稚園、学校関係者には、その処分方法の安全性などをしっかりと説明、周知することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
【問】
また、保護者や学校関係者の皆さんには、どのように報告をしたのか。もしまだ行っていないのであれば、学校の関係者、保護者に周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、地域住民の不安の解消のためにも、これらの対策をした施設に関して、区としてしっかりとした情報公開と説明をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(答弁)
【教育長】
私からは、保育園、幼稚園、小・中学校における放射能対策についてのご質問に関しまして一括してお答えをさせていただきます。
小・中学校の砂場の砂の入替えにつきましては、夏休み期間中に作業を完了しました。
今回の区の取り組み内容に関しましては、先日、保護者あての通知を行ったところでございます。
また、保育園、幼稚園におきましては、放射線測定結果についてわかりやすい掲示と保護者説明を行ってまいりました。現在実施しております砂の入替えに関しましても、処分方法の安全性と砂の埋設場所についての周知を図ってまいります。
なお、小・中学校、保育園の取り組みに関しましては、速やかに区のホームページを通じまして、砂の処分方法や安全性、砂の埋設場所等情報提供を行ってまいります。
<長谷川>
次に、区の防災対策についてご質問いたします。
今回の東日本大震災では、足立区も多くのことを学びました。被災地での大変な苦労、足立区で起きた混乱などを今後の対策に生かしていかなければなりません。
そのような観点から、幾つかお伺いします。
今回、足立区が直面した大きな問題の一つに、帰宅困難者の問題があります。
帰宅困難者の支援のために、東京都は、コンビニエンスストアなどと災害時帰宅ステーションの協定を結んでいます。24時間開いており、商品が並ぶコンビニは、帰宅困難者には大変心強いものです。
【問】
足立区では、東京都の災害時帰宅ステーションを把握していないとのことですが、それらについての情報を共有し連携をすること、また利用者、区民に情報提供できる体制が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
【問】
また、できればコンビニに限らず、デパート、スーパーやドラッグストアなど、物資だけでなく、休憩所となるテントなどの設置が可能な広い駐車場を持っている店舗と、足立区独自でも協定を結ぶことも有効だと思いますが、いかがでしょうか。
次に、東日本大震災の影響で、北千住駅周辺に多くの帰宅困難者が滞留しました。
今回、北千住駅周辺で発生した帰宅困難者対策として、近隣の学校や通りの学校などを避難所として開放し、その告知は、あだちシティビジョンや区の職員が路上で行ったとのことですが、それでは周知に限界があったのではないかと思います。
【問】
より広く情報提供や告知をするために、鉄道会社や近隣の事業者と協力をして、避難所に関する情報を駅のホームや構内、また店舗内で放送してもらうなどの取り決めをしておいてはいかがでしょうか。
これにより、駅構内や施設内での滞留者が減り、結果的に事故やトラブルも防げるはずです。
【問】
また、事前の準備として、職員による誘導のためにあらかじめ避難先を表示した看板などを準備してはいかがでしょうか。
(答弁)
【危機管理室長】
私からは、防災関係についてお答えします。
まず、東京都がコンビニエンスストアの災害時帰宅ステーションの協定を締結していることは了知しておりますが、その内容にはコンビニエンスストアの出店状況や営業時間等の情報が含まれておらず、帰宅困難者に対し、情報提供できる体制には至っておりません。
今後、都、県等の広域的な体制を強化する必要があると考えております。
また、広域展開する集客施設等は、帰宅困難者などの防災対策に有効であります。区といたしましても、都、県と事業者との広域連携や区が既に締結する協定などの状況を踏まえ、連携を深めてまいります。
また、駅や大規模集客施設では、災害時の避難誘導等のために放送設備を設置しており、今回の帰宅困難者対応においても活用されたところです。災害時などに様々な情報提供の活用が期待できますことから、関係事業者に協力を求めてまいります。
次に、看板や案内表示につきましては、大規模災害時に必ずしも職員が直ちに掲出できるとは限らないことから、避難所開設に合わせた役割分担や設置のタイミングなど、運用面を含めて検討してまいります。