決算特別委員会の質問① : 区の行政評価のあり方
前回の決算特別委員会の質問の様子を、このホームページでまだご紹介していませんでしたので、今日からテーマごとに分けて、順次ご紹介していきたいと思います。
決算特別委員会の私の質問は、3回(3日間)ありました(それぞれおよそ20分)。
1回目の今日は、1日目の質問の中から「足立区の行政評価のあり方」について行った質問の部分をご紹介します。(ちなみに、決算特別委員会では質問のやりとりが出来ることが、本会議と大きく違います。)
区の仕事、事業には必ず経費がかかります。
その原資は、皆様からの税金です。
本当に区民の皆様のお役に立つ政策、区民の皆様のための政策にお金が使われているかを、予算の審議、決算の審議などを通してチェックすることは、議員として大切な役目のひとつです。
この他にも、有識者4名、区民8名からなる区民評価委員会があり、区の事業の評価を行っています。
足立区では、およそ800弱の事業が行われています。
区民評価委員会では、そのうち重点事業としておよそ80の事業を評価の対象としています。
800ある事業のうち、区側が重点事業として選定した80の事業の評価だけでは、行政評価としては十分とは言えないと考えています。
私も今回の質問にあたり、800ある全ての事業評価書を見ました。もちろん、1事業1分で見ても13時間以上かかってしまうので、斜め読みの部分もありましたが、事業の多さ、類似性、関連性の複雑さは、想像以上でした。
本来なら、800全ての事業を区民評価の対象として行うことが理想ですが、委員の皆様の時間の都合など、難しいことは私の経験からもよく分かります。
足立区のすべての事業を見直し、不要な事業は廃止し、必要な事業は創設・拡大するというのが目的であることは言うまでもありません。
そのため議員がチェックすることはもちろんのこと、区民が広く参加できる「区民参加型の事業仕分け」のような仕組みづくりも必要と考えます。
また、そのためにも、区が作成する行政評価の資料をもっと分かりやすくしていくことも必要です。
無駄をなくし、必要な事業に経費や人材を投入する「選択と集中」の考え方のもと、聖域をもうけることなく足立区の全ての事業を対象としたより多くの視点からの行政評価を求めていきたいと思います。
***以下、委員会の質問と答弁(抜粋)です。(読みやすいように、一部修正)***
<長谷川>
代表質問に引き続き質問の機会をいただきました。
この委員会は、平成22年度の決算について審議する決算特別委員会でありますので、なるべくいただいたこの平成22年度の事業評価の資料に基づいての質問もしていきたいと思っております。
足立区の事務事業評価調書は、この厚い冊子2冊にまとめられています。合計で800弱の事業があります。
1事業1分で見たとして、すべて見るには13時間以上かかってしまいますので、ある程度斜め読みの部分もありましたが、委員会の質問に当たり、すべでの事業について目を通させていただきました。
代表質問でお伺いしたことの補足、それから普段から提案していること、そしてこの評価資料から質問をさせていただきたいと思います。
まず、この事務事業評価調書と、区民評価委員会も含めて、行政評価のあり方についてご質問と提案をさせていただきたいと思います。
<長谷川>
この調書の中には多くの事業がありますが、中には、事業費よりも人件費の方が多く計上されている事業もあります。
人件費が入ると、本当にその事業に使われているお金、いわゆる真水の部分が見えにくくなります。中には、基金事業のようなものにいたるまで人件費の計上もありました。
もちろん基金の管理にも人手が要ることは確かですが、事業評価としてこの内容を拝見させていただいたときに、人件費0.05人とか0.04人などの数字に、余り意味があるものだと私は思っておりません。
どの事業に何人携わろうと、決められた職員の数で足立区全体としての事業が進んでいけば区民にとってはよいことではないでしょうか。
事業評価するときには、人件費を除いて、いわゆる真水の部分での事業費が前面に出た方がわかりやすいのではないかと私は考えます。
今後、この区民評価委員や一般の区民の方が見てわかりやすいように、この事務事業評価調書の書き方、それから見せ方、フォーマットの検討など行ってはいかがでしょうか。
【政策課長】
いまのご質問にありました人件費のことでございますが、私どもといたしましては、人件費も非常に大切なコストであるという認識がございます。
したがいまして、現在の調書につきましては、事業費と人件費両方含んだ総事業費という形でお示しをさせていただいているところでございます。
それから、調書のフォーマットでございますが、大きく分けて二つございます。重点プロジェクト事業の様式と、その他の一般事業、それから施策に関する様式がございます。
前者の方、重点プロジェクト事業の方につきましては、エクセルで作成しておりまして、修正が随時できるということでございまして、過去何度も改善を重ねてきております。
これにつきましては、完成されたということではございませんので、いろいろな意見を受けとめまして、さらにわかりやすく改善を続けていきたいと考えてございます。
もう1点、一般事業、あるいは施策の方のフォーマットでございますが、これにつきましては、電子システム化をしてございます。
このシステムにつきましては、予算システム、あるいは決算システムと連動してございますので、もし様式を変えるということになりますと、改修経費がかかるということで、これは機会を見て改善をさせていただきたいと考えてございます。
<長谷川>
見直しの部分も必要ではないかなと思っておりますので、お願いしたいと思います。
<長谷川>
次に、具体的に、内容を拝見させていただいた中で、調書の自己評価の中に、関連類似の事業との統合ができないかという項目がありました。
それを見ただけだと、統合の検討が可能との自己評価がある事業については、どの事業とどの事業が統合可能と考えているのかが分からない部分がありました。
統合の検討可能とされている事業について、この区民評価委員の皆さんには、どの事業と統合が検討できるのかその詳細までは示していらっしゃるのでしょうか。
【政策課長】
いま現在ある調書の中には、どの事業が該当なのかということはお示ししておりません。
したがいまして、所管とのヒアリングの中でそういったやりとりをさせていただいているというところでございます。
<長谷川>
今後、議員の立場からの事業評価のためにも、できればこの調書の中に、どの事業とどの事業が統合の検討が可能と評価しているのか具体的に書いていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【政策課長】
重点プロジェクト事業の方の調書につきましては、課長評価あるいは部長評価、こういったところに具体的に表記するよう、できるだけ周知徹底していきたいと考えてございます。
それから、事業評価調書につきましては、総合評価欄の中に具体的な該当事業を表記するよう周知徹底していきたいと考えてございます。
<長谷川>
その方が私ども議員にとってもわかりやすく見やすいものになりますので、ぜひお願いしたいと思います。
また、細かいことになるのですけれども、統合の検討が可能と考えている事業については、統合の相手方の事業も同じように考えていると解釈してよろしいでしょうか。
【政策課長】
統合につきましては、基本的には、同じ課の中あるいは部の中で類似事業の統合が行われることが多いということがございますので、その場合はきちんとやられていると認識しております。
それから、部を超えての統合も中にはあると思いますが、これにつきましては組織の再編整備に絡みますので、これについても部間同士でやりとりはされているという認識でございます。
<長谷川>
統合できるかできないか、評価者の上司である課長、部長は把握していらっしゃるということですが、実際に23年度事業にはどれぐらい反映をされているのか。
できれば、その統合によって22年度の事業が何事業減って、新しく何事業ふえたかが具体的にわかれば教えていただきたいですが、いかがでしょうか。
【財政課長】
23年度の当初予算のときに「予算のあらまし」というのをつくってございます。
その中に、新規拡充、あるいは縮小廃止の事業の一覧が出てございます。その中で、統合により廃止ですとか、統合という説明がございますので、廃止事業で、17事業その中に幾つか入ってございます。
あるいは縮小の事業のところにも幾つか入ってございますので、そのような形で例年示させていただいています。
<長谷川>
次に、この事務事業評価調書を拝見させていただいたときに、この資料が全体的に複雑でわかりにくいものになっているのではないかなと思いました。
例えば事務事業評価の資料だけを見ても、この分厚い評価調書が2冊と施策評価調書、それから区民評価委員報告書、そして主要施策の成果報告書と、幾つにも分かれていて、それぞれ意味がある分類ごとに分けられているというのは分かります。
しかし、例えば施策評価調書と事務事業評価調書は、同じ事業番号を使っていて対応はしているのですが、区民評価委員会報告書では別のナンバーリングがされていまして、どの事業がどの事業に対応しているのかが、すぐには分からないものになっています。
主要施策の成果報告書についても、どの事業に対応しているのか、どの施策の一部なのかが、すぐに見分けられるようにはなっていないのが現状ですが、ぜひその評価ごとの関連性がわかるように番号を統一させて、お互いを関連づけて、引用とか見比べができるような資料にもしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【政策課長】
施策番号に関連をつけるとか、よりわかりやすい工夫を重ねてまいりたいと考えてございます。
<長谷川>
次に、区民評価委員会での事業評価についてご質問させていただきたいと思います。
区民評価委員会の評価の対象というのは、平成22年度事業で80事業が対象となっていました。
これらは、重点プロジェクトということで選ばれているようですけれども、その選定というのは誰が行っていらっしゃるのでしょうか。
【政策課長】
重点プロジェクト事業の選定につきましては、当初予算編成の段階で、政策課、それと財政課が調整を図りながらいままで決定をしてまいりました。
今回の第二次重点プロジェクト事業につきましては、先般、区長と各部とのヒアリングを行いました。
その中で幾つかの段階を設けて決定してきているということで、今回は各部とのやりとりをさせていただいているということでございます。
<長谷川>
区民評価委員の皆さんの時間の制約というのはあるかと思いますが、80事業を評価していただくというのは、足立区全体の事業数から見て妥当な数だと思われますか。
【政策課長】
いま区民評価委員会の対象となっておりますのは、重点プロジェクト事業、つまり80事業でございます。
これはなぜそうしているかといいますと、区の羅針盤として重点的に取り組むべき事業、これについて評価をし、改善を重ねていく、より効果があるものにしていくということで、重点プロジェクト事業に絞っているわけでございます。
しかしながら、委員のご指摘も確かにそのとおりでございまして、今年度から、重点プロジェクト事業以外の事業につきましても、区民評価委員会による評価を行っていくということを試行しております。
しかしながら、いま区民評価委員会の委員につきましては、区民公募委員が8人、学識経験者が4人、計12人の委員構成になっておりますので、評価ができる量的な問題がございます。
この辺につきましては、委員の数についても検討していかなければならない課題であると認識してございます。
<長谷川>
この重点プロジェクトというのは、本当に足立区としてそのときの重要な施策の事業であって、それらを区民評価委員の方々に評価をしてもらうというのは、おのずと評価が高くなることは明らかなものであって、それをわざわざ評価してもらうまでもないのではないかとも思います。
ですから、ある意味800以上ある事業をすべて区民評価委員の方にお見せするぐらいのつもりで、委員の数をふやしたり、それから時間もふやし、それから例えば分科会で子ども施策に関してはこの期間でやっていきましょうという形でスパンを決めてやっていくなりして、多くの事業をいかに皆さんにお見せして評価をしていただくかが重要なポイントだと思いますので、その部分をぜひ見直しをしていただきたいと思います。
このような事業も、ぜひ何らかの形でオープンな場で、第三者の目でも評価してもらえるような仕組みをつくっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
【財政課長】
委員おっしゃるとおり、予算の事務事業で言うと800事業ございます。
現在、80事業だけでも相当詰めて区民評価委員の皆様に評価いただいています。場合によると仕事を休んでだとか、そういう場合も出てまいります。
800事業やるというのは、物理的にかなり困難であると思います。
一般事業の部分につきましては、従来、3カ年に分けて3分の1ずつ庁内評価を去年取り組ませて いただいております。
それでもかなりの数に上ります。我々なれた職員だけでやっても、相当な日数を要します。区民評価委員の方々にそこまで全部というのは、かなりの負担になりかねないと思っています。
また、重点プロジェクトにつきましても、内部だけではなくて、区民の目線で見ていただくということも大事かと思っております。
これは一般事業でも同じでございまして、財政課サイドなり何なりだけではなくて、区民の皆さんから見ていただくという視点もかなり必要だと思っておりますので、一般事業につきましても、ことし少し無理を言って、ない時間をいろいろやりくりしていただいて、場合によると本当に大変な中出てきていただいて、一部取り組ませていただいております。
ことしその試行版をやらせていただいて、結果がまとまりましたら、またご報告差し上げますけれども、それをもとに来年さらにブラッシュアップをしたいと考えてございます。
<長谷川>
先ほど課長は、重点プロジェクトだけではなく、今年度から少しふやしていますよというお話もあったので、その部分をこれから少しずつ拡充していけばいいと思います。
800すべて行うぐらいの勢いと言いましたけれども、それぐらいオープンな、開かれた区政であってもいいと思っています。
やはりしっかりとした検証をしないでいると、何年も続いているような事業がそのまま残っていったり、複数の類似の事業とか、これから必要な事業もたくさん出てくると思います
できるだけ広く公開することで見直しができるようなシステムを、すぐにというのはなかなか難しいと思うので、徐々に計画を立ててやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。