決算特別委員会の質問③ : 受動喫煙防止対策
引き続き、決算特別委員会の質問の内容のご紹介です。
今回は、区の受動喫煙防止対策についての質問です。
実は、自動喫煙対策については、時間の都合上、2回に分けて行いましたが、それらをまとめてご紹介します。
足立区では、2012年4月より、区の施設での前面禁煙が実施されます。
もちろんたばこの健康への影響に配慮したり、受動喫煙を防止する手立ては必要だと思っています。
実際、神奈川県をはじめ、条例で公共の場所での喫煙を制限する自治体もあります。
私自身はたばこを吸いませんし、公共の場所での分煙などの受動喫煙防止の取り組みは進めるべきと思います。
しかし、区の施設での全面禁煙(建物内だけでなく、敷地内すべてでの禁煙。喫煙所もなし。)というのは、少し行き過ぎではないかと考えています。
区の職員や区役所などに用事でいらっしゃる方の中にも、当然喫煙者はいらっしゃると思います。
受動喫煙を防止する方法としては、喫煙所などを設けて分煙を行うことで、対応できるのではないでしょうか?
実際、たばこの健康への被害についてはさまざまな研究が進められ、報告もありますが、たばこの喫煙そのものを禁止する法律はありません。(未成年は除く)
また、受動喫煙の防止に取り組む厚生労働省も庁舎内は禁煙ですが、たばこを吸う職員や来庁者のために、敷地内(建物外で屋根つき)には喫煙所を設けています。
厚生労働省が所管の「健康増進法」の中では受動喫煙を防ぐ必要な措置を講ずることへの努力義務が定められていますが、受動喫煙とは「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう」と定められています。
これは、もちろん喫煙自体を禁止するものでもありませんし、屋外(出入り口など室内に準じるところを除く)での喫煙までも禁じるものでもありません。(屋外は受動喫煙の定義にあてはまりません)
区は、健康増進法やその後出された局長通達をよりどころに、受動喫煙防止のために区の施設内(建物内外)での喫煙を禁止する方向ですが、そもそも法律や局長通達にいう「受動喫煙」とは、先の定義によるもので、施設内の屋外での喫煙まで禁止するのは行きすぎだと感じています。
実際に、区の取り組みの中でも、「喫煙者への配慮をする」としていますが、どこにそれが反映されているかが見えてきません。
喫煙が健康に害のあることは、さまざまな報告があり理解しますが、個人の自由を考えず、代替措置をとることなく、条例や区の規則でやめさせるというのは少し乱暴です。
もちろん「受動喫煙防止」が必要なのは、いうまでもありません。
例えば、受動喫煙防止などのために、条例などで喫煙できる場所をある程度制限するまでは理解できますが、「屋外を含めた区の施設内のすべて」は、喫煙者にとって過度なストレスを生じさせる可能性があります。
技術的にも分煙の方法はかなり進んでいるという事例もたくさんあります。
ぜひともたばこを吸わない人の健康への配慮と同時に、喫煙者への配慮も含めた対策をおこなっていただきたいと思います。
*****以下、委員会の質問と答弁(抜粋)です。(読みやすいように、一部修正)*****
<長谷川>
次に、受動喫煙防止対策事業についてお伺いしたいと思います。
これも評価調書の139ページに載っているものですが、喫煙しない人の受動喫煙というのは防ぐべきでありまして、そのために条例をつくって、公の場所での喫煙を禁止している自治体もあるくらいですので、足立区でも受動喫煙防止に向けた取り組みを進めるというのが大前提であるということは、まず私、述べさせていただきたいと思います。
その上で、この事業を見ますと、講演会などの普及活動には主眼を置かれているようです。
11月から禁煙特定区域に指定されている五反野駅周辺で問題となっている喫煙所の件もですが、禁止してパトロールするだけでは、なかなか禁煙というのは徹底されないと思います。
やはり便利な場所、それから使い勝手のいい場所に喫煙所があれば、おのずと分煙は進むと思います。
目の前に喫煙所があるのに、喫煙禁止の場所でわざわざたばこを吸う人は少ないと思います。
本庁舎は、平成24年から喫煙に関しては全面禁煙になるということでお話はお聞きしていますが、区の職員の皆様の中にも喫煙者の方はいらっしゃると思います。
ですから、すべて禁止ではなくて、喫煙スペースを設けることによってお互いの権利とか主張を認め合って、みんなが気持ちよく分煙に取り組めるような対策をすべきと私は考えますが、いかがでしょうか。
【衛生管理課長】
いまご質問の受動喫煙対策でございますけれども、平成22年11月に区長決定をいただきまして、ガイドラインとして発表させていただいてございます。
その中で、区の施設の受動喫煙対策は、分煙ではなくて禁煙とするということを決定させていただいてございます。
委員ご提案の分煙についてでございますけれども、このガイドライン策定の過程の中でそういった議論も出ましたけれども、受動喫煙対策には、分煙では受動喫煙対策にはならないという結論に達しまして、来年の4月1日より、敷地内については全面禁煙とさせていただくということでございます。
あわせて、この受動喫煙対策について、区施設が前もって範を示すということで、この受動喫煙の趣旨を進めていきたいということでございますので、そういったことでご理解をいただきたいと考えてございます。
<長谷川>
ただ、区の職員の皆さんで、たばこ愛好者たくさんいらっしゃるかと思うんですけれども、吸っていらっしゃる方というのはどれぐらいいらっしゃるんでしょうか。手を挙げていただければありがたいなと思いますが……(挙手する者あり)
やはりゼロではないということよね。
ガイドラインで規定されたというのはわかりますが、禁煙というのも当事者の皆さんにとってはかなり苦しいところでもあると思います。
実際に病院に通って禁煙をなさる方もいらっしゃるぐらいですから、その部分は少し見直しがあってもいいのではないかと思いますが、区長いかがでしょうか。
【衛生管理課長】
禁煙対策に乗り出すということで、実は1年かけて準備期間を設けさせていただいてございます。昨年の11月に発表させていただいて、この1年かけて分煙に本庁舎についてもさせていただいてございます。
この1年かけて禁煙に努力をしていただいて、全面禁煙に職員も行動をとっていくと、こういったことで準備期間も設けさせていただいているということでご理解いただければと思います。
<長谷川>
次に、健康増進法や同法に基づいて厚生労働省保険局長が出した通知もみましたし、その中には、官公庁や医療施設においては全面禁煙が望ましいというふうになっているのは、私も、その内容を見て、知りました。
しかし、健康増進法第25条で、受動喫煙というのは「室内またはこれは準ずる環境において他人のたばこの煙を吸わさせること」と定義されておりまして、厚生労働省の局長通達も、この定義にのっとって出されているということを、厚生労働省の担当者に、確認をさせていただきました。
つまり、通達などで全面禁止と言っているのは、あくまで建物内や、それに準ずるところでありまして、敷地内ではないということでした。
これも同じく厚生労働省の担当者に確認しましたので、間違いありませんし、現実に、厚生労働省は、建物内は全面禁煙ですけれども、建物の外の敷地内には喫煙スペースを設けているということでした。
つまり、健康増進法や局長通達に基づいて区役所の敷地内すべてを禁煙にするというのは、やや少し拡大解釈ではないのかなと、私は感じました。
受動喫煙防止の対策は必要ですけれども、イコール、敷地内もすべて禁煙というのは、やはり正しくないのではないのでしょうか。これは、法律でも通達でも求められているものではありません。
足立区の衛生管理課の資料にも、いただきましたけれども、全面禁煙化することの問題点として、喫煙者のストレス解消策が課題であると記されていました。
健康増進法や厚生労働省の局長通達の趣旨、そして、喫煙者への配慮から、来庁者や通行する方から遠く離れることを大前提にした敷地内に喫煙スペースを残すことを、再検討されてはいかがかと思いますけれども、どうでしょうか。
【衛生管理課長】
先日もお答えを申し上げましたけれども、拡大解釈という、いま委員のご意見でございますが、決して拡大解釈をしているつもりはございません。
これは望ましいというのは、国も、実は自分のところで吸っておりますから、そういった答えになってくるのかなというふうに、私どもは考えてございます。
もう一方で、私どもとしては、望ましいということは、でき得る限りこれに近づけろという意味にとるのが、これ常識だというふうに考えてございます。
それと、この間も申し上げましたけれども、健康を害するというのは、受動喫煙だけではなくて、喫煙をすること自体にも、これは健康にとって有害なものがあると、がんの発生率もかなり高いと、こういった点も踏まえますと、そういった点で、公共施設がまずは範を示すと、こういった考え方でございますので、これをいまの段階で、1年もたって、これを覆すような考え方になるということは、一歩後退に値いたしますので、そういう考えはございません。
<長谷川>
厚生労働省のこの担当者にお聞きしましたが、国では、喫煙を禁止していません。
喫煙を禁止もしていませんし、法律でも通達でも禁止していない。
あくまで受動喫煙防止です。この受動喫煙の防止というのは、「室内またはこれに準ずる環境において他人のたばこの煙を吸わさせること」を言うということで、建物内の話を言っていて、敷地内の話はしていないということを、私は担当者の方からお聞きしました。
私が、どうしてここまで申すかと言いますと、いま五反野駅や、これから梅島などの禁煙特定区域にされるということで、区民の方から、喫煙場所をつくってほしいということで、たくさんの問い合わせを私自身いただいております。
それから、この平成24年度、施設内を全面禁煙にすると、敷地内含めての禁煙ということで、やはりでは区の職員の皆様、それから、ここに来庁される区の区民の皆様はどうなのかと思いまして、お話などもお聞きしたところ、やはり喫煙ルームを一つ設けてほしいというお声をたくさんいただいていますので、この場で、こういう形でお話をさせていただきました。
ですから、これは後退するとか、そういうことではなく、これは国の法律、それから通達でも定められている趣旨に沿った形で、喫煙ルームを一つ敷地内につくるという方向性を持たれることは、これは一歩後退だとは私は思いません。
むしろそれは、皆さんが望まれることだと思いますので、ぜひそういう方向性を持っていただきたいと思っております。
<長谷川>
次に、五反野駅や梅島駅をこれから禁煙特定区域に指定されるということで、例えば違法な喫煙防止また分煙の推進のために、禁煙特定区域内で駅や商店街などの人が多く集まる場所に、喫煙スペースを民間事業者が今後設けた場合に、設置の補助や助成をするような事業を足立区で進めてはいかがかと思いますがいかがでしょうか。
【区民課長】
現在、禁煙特定区域内には、民有地を含めまして喫煙所を設けさせていただいております。こちらの民有地につきましては、無償でご協力をいただいているということもございます。
いまご指摘の喫煙所の設置の補助、助成でございますが、いまのところは考えてございません。
ただ、千代田区で助成をしてございますので、これから調査研究をしてまいりたいと思います。
【衛生管理課長】
ガイドラインのちょっと趣旨が、ご理解いただいていない部分もあろうかと思いますので、もう一度だけ申し上げますけれども、まず、定義としては、禁煙を原則として、建物及び敷地内を含めたすべてのものをするというふうにしてございますけれども、その中で、区道と区道に準ずる駅前広場等は別の定めがございますので、このガイドラインからは外すと、こういう状況になってございますので、いまの関連でご質問されていますけれども、まずは分けていただきたいということ。
それから、もう1点、屋外であっても、この一定の新しい分煙効果の判定基準というのを厚労省から出ていますけれども、きちっとその数値を判定できる形にするためには、入り口の近くであってはならないとか、かなりそういった内容が含まれてございまして、これを全部満たすということは、かなり難しいものがあるというふうに考えてございます。
<長谷川>
ガイドラインのこの件については、しっかりと把握をさせていただいているので、それはわかっております。
それと、厚生労働省のこの通達の件ですけれども、室内またはこれに準ずる環境、この準ずるというのは、施設の出入り口を指しているんですが、これ以外のところ、例えば区役所内で言えば、出入り口ではないところがたくさんあるわけです。
そういうところに、一つ喫煙部屋を設ける。いまは高度な技術がありますから、例えばツードアにして、中の空気が外に出ないようにするような仕組みというのもできるわけです。また、例えば、エアカーテンをかけるなど。
私自身、国会や議員会館などの中も拝見させていただいていて、そういう仕組みというのも拝見させていただいているので、100%できなくはない。
これは足立区として後退することではなく、むしろ実際の喫煙者の方々への配慮というものを足立区はすべきじゃないかなと思いますので、この提案をぜひ前向きに考えていただきたいと思いますし、例えば放置自転車問題でもいえることだと思うんですけれども、便利で使いやすい駐輪所ができれば違法駐輪が減るのと同じで、便利な場所に喫煙所ができれば、おのずと違法な喫煙も減るわけです。
禁止して監視のパトロールをするだけではなくて、禁煙スペースを設けることが、本来の国が通達している目的に、より近づくのではないかと思いますので、ぜひ、ご検討をお願いしたいと思います。
【衛生部長】
前提として、喫煙が健康に害があるといった大前提がございますので、衛生部として、受動喫煙防止の趣旨でございますが、根本には、喫煙は体に害といったところはご理解いただきたいと思います。
<長谷川>
喫煙が害であるというのはわかっています。
それは、国の方でも健康増進法など、いろいろと法として定めていますけれども、喫煙が害だ、喫煙をしたらいけないということを法律で規定しているわけでもなく、通達もしていないんです。
私は、厚生労働省の担当者からもお話は聞いていますし、実際、厚生労働省は、これから先も敷地内に喫煙スペースは、そのまま設けておきますという見解でした。
ですから、やはりしっかりと喫煙する方々への配慮ということを、役所として考えていかなくては、私はいけないと思っております。