決算特別委員会の質問④ : 早寝早起き朝ごはん事業の評価
引き続き、決算特別委員会での質問のご紹介です。
今回は、足立区の主要政策の一つでもある「早寝早起き朝ごはん」事業についてです。
子ども達の心身共に健康に育つためには、「早寝早起き」で生活のリズムを整えると同時に、「朝ごはん」をしっかり食べ、活動の準備を整えて学校に行くことが必要です。
我が家でも、「早寝早起き朝ごはん」は、しっかり意識して子育てをしています。
この事業の重要性は誰にでも理解できると思いますが、区がどのように事業を展開し、その結果をどのように評価し、次年度の事業に生かしていくかを正確に検証することは、この事業に限らず、とても大切なことです。
今回の成果報告書を見ると、「50%で改善が見られた」と、なっていました。
しかし、より詳細な報告をみると実際には、「45%で改善がみられた」とのことのようです。
なぜ、45%でなく50%と報告書に記載するのかも十分に疑問ですが、その45%の内訳をみて、もっと驚きました。
改善が見られたとされる45%の28園の中には、早く寝るが遅く起きるようになった、要するに「早寝遅起き」、遅く寝るが早く起きるようになった、要するに「遅寝早起き」、この二つの回答があった園も、早寝早起きについて改善があった園としてカウントされていました。
これは「早寝早起き」の主旨から考えると、決して改善ではないはずです。
特に遅寝早起きに関しては、子どもの睡眠時間が大きく減っているわけですから、早起きには違いないから改善だというのは、かなり乱暴だと感じました。
本来の目的は、子ども達の生活リズムの改善にあるのにも関わらず、「早寝」や「早起き」という言葉だけに注目して、実際には「遅寝」や「遅起き」にも関わらず、改善があったと報告する評価のあり方は大いに疑問です。
実際のアンケートの生データを見てみると、早寝遅起きになった児童は84名、全体の7%にしかなっていません。
私の個人的な見解ですが、本来の目的の子どもの基本的な生活リズムを身につけるという趣旨から改善と言えるのは、「早く寝て早く起きるようになった」、あと「寝る時間は変わらないけれども早く起きるようになった」、「早く寝るけれども起きる時間は変わらないという」、このアンケートに入っている三つの回答ぐらいではないかと思います。
その基準で見てみると、このアンケートから実際に導き出される「改善」と言える数字は、早寝遅起き3園、早く寝るが起きる時刻は同じが1園、寝る時刻は同じで早く起きるが1園の62園中の五つの園で、これは「全体の8%」にしかなりません。
アンケートに答えた子どもの数で見ると、アンケートに答えた子ども1,136人中275人という「全体の24%」です。
当初、成果報告書にあった「50%が改善」という文言からは、大きくかけ離れています。
ちなみに「遅く寝て遅く起きるようになった」と答えた園は、62園中31園にものぼり、半数もありました。
行政評価の方法のひとつとして、アンケートなどの数字で示すことは重要ですが、間違った印象を与えるような集計の仕方、好評の仕方には問題があります。
今回は、たまたま気になり、アンケートの生データを入手して確認しましたが、成果報告書だけをみると、私自身「50%で改善が見られたよい結果」としか思わなかった可能性もあります。
事業そのものも大切ですが、
・その事業がどのような結果をもたらしたか?
・今後、継続にあたって、どの点を改善していくべきか?
も、同じくらい大切です。
それこそがまさに「行政評価」であり、その評価をするためには「正確なデータの分析」が必要です。
今回のような「いい結果」を見せるような集計の仕方ではなく、本当の行政評価ができる正確な集計データの公表を求めていきたいと思います。
*****以下、委員会の質問と答弁(抜粋)です。(読みやすいように、一部修正)*****
<長谷川>
本日も、22年度の事業について、成果報告書や行政評価調書に基づいてご質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
初めに、主要施策の成果報告書の1ページにあります「早寝早起き朝ごはん事業」についてお伺いします。
これは主要施策にも入っていることからもわかるように、将来の足立区を担う子どもの育ちに関する重要な事業です。
早寝早起き朝ごはんという子どもたちの規則正しい生活は、健康面、精神面にもプラスになり、また、落ちついた生活は学力の向上にもつながっていく可能性があり、必要なことだと思います。
そこで、主要施策の成果報告書を見ると、事業に参加した保育園62園に対して、22年の6月と23年の1月のアンケートの結果として、50%の保育園で子どもの就寝または起床の平均時刻の改善が見られたとの結果が載っています。
しかし、私が担当部署から別途アンケート結果が載った資料をいただいたところ、就寝時間、起床時間が早くなったと答えた園が28園で、全体の45%となっています。これは改善が見られたという園が50%ではなく、正確には45%ということでよろしいでしょうか。
まず、ご確認をさせていただきたいと思います。
【子ども家庭課長】
主要施策の方には概数ということで50%というふうに記載をさせていただいてございまして、委員のご質問のとおり、詳細の部分では45%というところでございます。
<長谷川>
次に、アンケートの分析の仕方ですが、45%で改善が見られたということですが、アンケート結果資料をよく見ますと、6月より1月の方が遅く寝て遅く起きるようになったと答えた園が62園中31園あり、実に半数以上にも上るという実態がありました。
つまり、この事業の評価をするための6月と1月のアンケート結果から、早寝早起きどころか、全く正反対の遅寝遅起きになってしまったと答えた園が全体の半数あります。
成果報告を見ると、半数近くで成果が上がっているように見えますが、実際には、早寝早起きの事業の取り組みにもかかわらず、むしろ悪くなったというふうに答えた園が半数以上あったわけです。
しかも、改善が見られたとされる45%の28園の中には、早く寝るが遅く起きるようになった、要するに早寝遅起き、遅く寝るが早く起きるようになった、要するに遅寝早起き、この二つの回答があった園も、早寝早起きについて改善があった園としてカウントされていました。
特に遅寝早起きに関しては、子どもの睡眠時間が大きく減っているわけですから、早起きには違いないから改善だというのは、かなり乱暴だと私は思います。
成果報告書に改善があったとカウントされている早寝遅起き、遅寝早起きというのも、本当に子どもたちの生活リズムの改善と考えていらっしゃいますでしょうか。
【子ども家庭課長】
比較をした時期の問題でございますが、1月というのは、寒くなってきまして、なかなか布団から出られないですとか、あるいは委員のおっしゃるとおり、遅く寝るということも、クリスマスプレゼント等で、現場の声を聞きますと、ゲーム等のプレゼントで、なかなか、遅く寝るような時間になってしまったということの実態ございます。
ただこれは園についての平均の評価でございますので、その中の詳細がわかりづらいということで、この段 階から、個々のお子さんについてもどうだということの調査を開始したところでございます。
<長谷川>
個々の子どもたちの統計も、いただいております。
その統計でも、実に早寝遅起きになった児童は84名、全体の7%にしかなっていません。
本来の目的の子どもの基本的な生活リズムを身につけるという趣旨から、私の個人的な見解ですが、改善と言えるのは、「早く寝て早く起きるようになった」、あと、「寝る時間は変わらないけれども早く起きるようになった」、「早く寝るけれども起きる時間は変わらないという」、このアンケートに入っている三つの回答ぐらいではないかと私は思います。
このアンケートから実際に導き出される結果は、早寝遅起き3園、早く寝るが起きる時刻は同じが1園、寝る時刻は同じで早く起きるが1園の62園中の五つの園で、つまり、これは全体の8%にしかなりません。
子どもの数で見ると、アンケートに答えた子ども1,136人中275人という全体の24%が、本来の実数値です。
区長は、このアンケート結果から、この事業により改善されたと言えるのは、どの分類の回答だと思われますでしょうか。
また、この結果から、この事業の成果報告にある半数近くが改善されたという、このデータの取り方、分析の仕方をどう思われますでしょうか。
【区長】
申しわけありません。細かい分析のアンケートの内容までは、私、目を通しておりませんけれども、いまのおっしゃるとおりの数字だとするならば、そういった委員がおっしゃるところの懸念は当然のことかと思います。
<長谷川>
この事業というのは、23年度も続いていると思いますが、根本的にやり方を考えないと、結局、この22年度と同じやり方を踏襲する結果になるのではないかと思います。
区長には、あらかじめ資料は午前中に提出させていただきましたけれども、もう既に23年も半分を過ぎてしまっていますが、22年度のこの結果を再評価した事業の見直し、そして、より効果の上がる方法への事業の見直しをすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
【子ども家庭部長】
この生活リズムの取り組みについては、平成20年度から実施をしているところでございます。
毎年、どのようにしたら、実際に子どもの生活リズムが向上するのか、それについては、毎年、検討を重ねながら、現時点に至っております。
例えば子どもたちにカレンダーをつけてもらうであるとか、あるいは保育園、幼稚園で、朝食の朝ご飯の絵をかいてもらって、それを展示し、保護者の方に啓発していく、そういった取り組みを続けているところでございます。
委員のご指摘を踏まえまして、今後も、できるだけ成果の上がるような取り組みを続けていきたいというふうに考えております。
<長谷川>
私も、小学生の子どもを育てている1人の親でもありますけれども、この事業の必要性というのは、とても大きいと考えております。
これは今後も進めていく事業であると私も思っておりますので、応援はしたいと思っております。
そのためにも、ぜひ事業設計を改めて、検討していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。