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代表質問の内容⑦【成人の発達障がいの支援策について】

今日も代表質問の続きです。

今回は、「成人の発達障がいの支援策について」のご紹介です。

今、世論でも「大人の発達障がい」が注目をされています。

学齢期では成績が抜群によく、生活面ではちょっと変わった人、風変わりな人と思われていた人が、社会に出てからなぜか対人関係がうまく築けない、職も転々として長続きしない人がいます。そのような人の中には、記憶力や技術力、周りの雰囲気や惰性に流されない合理的思考など優れた特徴を示す人がいます。

相手の表情や口調から意図やニュアンスを読み取ることが苦手で、本人特有のこだわりの強さや興味の対象の狭さといった特徴を示す場合もあります。

これらはいずれも脳機能の発達の特徴によるものと考えられています。

現在、大学では、幼少期に見過ごされてきた発達障がい傾向の学生に対して、支援を進める動きが出ています。

東京大学の学生相談ネットワーク本部の中には「コミュニケーションサポートルーム」が2010年10月に設置されました。緊密な人間関係を保ちながら研究を進めていく過程で、大学生活への適応障害を起こす学生が多々見受けられため、設けられたそうです。

表情や会話の流れに合わせて相手のメッセージを読み取れない。

温厚な人が多い反面、かんしゃくを起こしたり、興奮、パニック状態になる人も多く、また、うつ症状が出る場合もあるそうです。

慶應義塾大学では、学生たちが自主的にこの発達障がいについて研究を重ねています。

慶應発達障害支援会 (Keio Developmental Disorder Support:KDDS) は、2006年4月に慶應義塾大学文学部心理学専攻の学生を中心に発足された発達障害のある子どもたちへの支援を行う学生団体です。HPの内容によると、ここでは、応用行動分析学に基づく療育方法を用いて、発達障害児の支援を行っています(今度、お話しを聞きに伺いたいと思います)。心理学専攻の学生はもちろん他専攻の学生、文学部以外の学生、さらには大学の枠を超えて慶應義塾大学以外からの学生も参加しているそうです。

HPでこの内容を拝見させて頂いたので、慶應義塾大学にも早速、発達障がい支援についての取り組みをお聞きしてみました。

慶應義塾大学としては、受験勉強で勝ち抜いてきた人の中には、やはり発達障がい傾向の人たちが見受けられるとの話でした。

現在、大学としても慶応義塾大学附属病院との連携も含めて検討しているそうです。

発達障がい傾向のある学生に対して、支援策をどのように構築をしていくのか喫緊の課題になっており、大学として今後、取り組みを始めていかなくてはいけない重要な問題として、大学全体が認識しているというお話でした。

現在、早期発見、早期支援として、幼少期については療育へつながるシステムが構築されつつありますが、まだまだ整備が不十分な領域です。

以前もこのホームページ上で書きましたが、学齢期から成人期のグレーゾーンにいる人たちをいかに支援していくのかが重要な課題でもあります。

区として、全力で取り組んでいく優先度の高い問題です。

発達障がい傾向が見受けられる場合には、家族も含めた支援も同時に行っていかなくてはなりません。

今後も様々な所のヒアリングを行い、足立区から発達障がい支援策を強力に進め、構築していきたいと思います。

 

*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****

 

<長谷川たかこ>

次に、成人の発達障がいについて、質問をさせていただきます。

発達障がいについては、平成17年から施行されている発達障害者支援法によって、発達障がい者の自立と社会参加を目的として、都道府県・政令指定都市への発達障害者支援センターの設置や発達障害情報センターの設置など様々な取り組みが行われています。

足立区でも発達障がい児の早期発見、早期支援をライフステージに併せて取り組みを進めていますが、成人の発達障がいの早期発見・早期支援については、全国的に遅れている分野で支援体制が乏しい状況です。

目に見えない障がいのために、その存在が社会的にも十分に理解されていません。

東京都発達障害者支援センターによると、ここ数年、一般企業や大学からの相談件数が増加しているとの調査結果でした。内容は、処遇方法、医療機関等との連携、社会生活全般に渡り、就職や退職に関するものなど、多岐にわたります。また、足立ハローワークでは、学生サポートセンター(大学の就職支援担当部署)からの問い合わせが多く寄せられているそうです。

これらの事例でもわかるように、一定の年齢になるまで本人も気が付かないまま成人になり、社会に出てから対人関係がうまく保たれずに人間関係でつまずき、うつや引きこもりなどの二次障害を引き起こし、本人や家族が苦しんでいる現状があります。

成人の発達障がい支援策として、「普及・啓発」「相談支援」「発達支援」「就労支援」「家族支援」という5つの事業をまんべんなく、区として展開していくことが重要です。

また、心理的ケアを含む効果的な支援手法の検証が必要となってきます。そこで、

 【問】

東京都発達障害者支援センターや医師などの専門家や足立ハローワークなどを構成メンバーにした検討委員会を立ち上げ、関係機関との連携を強化し事例検証などを行い、足立区独自の成人の発達障がい支援プログラムの策定を進めて頂きたいと思いますが如何でしょうか。

 また、成人の発達障がいの支援策として、周りの人たちの理解がとても重要です。

 【問】

成人の発達障がいをテーマとした区民向けの講演会が平成23年度から毎年1回実施されています。今後は、広報やホームページなどを通じて広く周知啓発活動を行ったり、学生や企業も対象とした意識啓発活動・セミナー・シンポジウムなども含めて行っては如何でしょうか。  

現在、医療機関でも成人の発達障がいの診断は子供の発達障がいに比べて難しいため、扱う病院が全国的に少ないのが現状です。

都内には昭和大学烏山病院など、成人の発達障がいを専門に扱う病院があります。厚生労働省では現在、医療機関に対して、学齢期に発見されなかった発達障がい者に対して、アドバイスや専門医への紹介が行えるよう研修を行っています。しかし、これらの専門病院は、当事者に対する就労支援のトレーニングに特化しており、家族への精神的なケアや生活支援を含めた対応がなされていないのが現状です。

現在、佐賀県「NPO法人それいゆ」成人支援センターでは、自閉症や発達障がいを持つ子供から大人までを対象として、その家族への地域支援活動を行っています。県内外のモデルとなるべき、自閉症に特化した相談機能と療育機能を併せ持つ専門機関として位置付けられており、佐賀県と委託事業も行っています。

 【問】

区としても、成人の発達障がいの早期発見、早期支援につなげるために、医療機関やNPO法人などの専門機関にも迅速につながるよう、ネットワークの構築を進めていただきたいと思いますが如何でしょうか。

 【問】

家族に対する精神的なケアと家庭生活の不適応状態を軽減させることが重要です。そのためにも、家族への精神的ケアや当事者に対するスキルトレーニングの実践を促進し、成人の発達障がい者やその家族に対する精神的向上・生活向上を促す支援策を区として早急に進めて頂きたいと思いますが如何でしょうか。

発達障がいは治すのではなく、未発達な能力をスキルトレーニングで補うことが重要となります。

学齢期を過ぎた成人への発達障がいの支援策は手探りの状態で、全国的にも整備が遅れている分野です。

多くの方々は診断も受けないまま見過ごされ、二次障がいでうつや引きこもりを発症し、当事者やそのまわりの家族が苦しんでいる現状があります。

現在、最も注目されている成人の発達障がいの支援策を区として早急に整備されるよう求めます。       

 <福祉部長>

次に、成人の発達障がい支援策についてお答えいたします。

まず、成人の発達障がい支援プログテムの策定についてですが、障がい福祉センターでは、今年度から自立支援協議会の部会として「発達障がい者支援関係機関連絡会」を設置し、事例検討も含め大人の発達障がい支援について協議しております。現在の構成メンバーは、ハローワーク足立、NPO、保健総合センター、福祉事務所、教育相談センターですが、来年度は更に専門家等からの意見も導入できる体制を整備し、足立区における支援プログラムを検討してまいります。

次に発達障がいについての周知等についてですが、講演会の継続とともに、広報やホームページを活用し周知を進めてまいります。学生や企業については、大学の窓口を通じた講演会の案内、ハローワークとの連携により、意識啓発を図ってまいります。 

また、セミナー・シンポジウム等も段階的に実施を検計してまいります。

次に、早期支援のためのネットワークについてですが、障がい福祉センターで平成24年度から開始した医師による大人の発達相談では、日常生活や今後の方向性等について、医師が助言など直接支援を行うとともに、相談者の状況に応じて、治療の必要性や精神保健福祉手帳取得の可能性を見極め、専門医療機関への受診につなげています。

 今後もさらに外部の医療機関とのネットワークを強化してまいります。

また、NPO法人等との連携については、大人の発連障がいに取り組む団体等の活動を把握し、早期支援の目的に沿ったネットワークを構築してまいります。

 次に、家族や当事者の生活向上に対する支援策についてお答えいたします。                家族支援は特に重要なものと認識しております。

平成24年度は、区民や施設職員向けの講座等において障がいへの理解や支援について広く周知してきたところですが、25年度は、家族や関係者、当事者を対象とし、金銭管理のノウハウ等生活面での具体的な対応を内容とした実践的講座も実施し、生活上の困り感の軽減に努めてまいります。