代表質問の内容②【子どもの養育支援について】
前回に引き続き、今回は「子どもの養育支援について」行った代表質問をご紹介します。
平成24年4月1日より民法の一部が改正され、協議離婚の際には子の監護者(親権者)だけでなく、「面会交流」や「養育費」についても定めることとされ、その取り決めにあたっては、この利益を最も優先して考慮しなければならない旨が明記されています。しかし、強制力はなく、記入がなくても受理されるため、その実効性が疑問視されています。
夫婦が別居や離婚に関する取り決めをする際に、養育費や面会交流の取り決めを促す「養育プラン」や、離婚に伴う親権や養育費の支払期日や面会交流の頻度や方法、連絡の取り方などを取り決める内容を書き込める「合意書」のひな形を区として作成し配布を行うことや立会人を付けた形での面会交流の場所の設置を区として用意をすることは、必要なことだと考えています。
日本では家族間の問題には行政が踏み込むべからずという昔ながらの風潮があるようですが、子どもの貧困化が叫ばれている昨今、子どもの利益を最大限優先して、行政主導で行うべき支援がここにあると私は強く主張します。
ちなみに、行政が養育費の確保などの対策を図ることは欧米では一般的であるそうです。
足立区として、是非とも子どもの利益を最大限優先した支援を行う取り組みを区行政の担当部局の皆様には積極的に進めて頂きたいと思います。
以下、代表質問の内容と、その答弁です。
*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****
<長谷川たかこ>
次に、子どもを取り巻く環境の改善について政策提案をいたします。
未成年の子を持つ夫婦が別居や離婚の取り決めをする際に、養育費や親権や面会交流をめぐる争いがある中で、子どもを取り巻く環境の改善を目的とした行政ができるサポートを行うことも重要な子育て支援の一つでもあり、子どもの貧困対策にも繋がる施策です。
今後、法テラスや弁護士会、公証役場、専門家による心のケアも含めた総合的な支援体制を区として構築し、以下の4つの観点から、子どもを取り巻く環境を整備する養育支援として、是非、取り組みを始めて頂きたいと思います。
足立区では平成25年度の調査報告によると、年間1430組が離婚し、そのうち647組約45%が未成年の子どもがいる家庭です。
厚生労働省の平成23年度の全国母子世帯等調査結果報告によると、離婚の際に養育費の支払いについて取り決めをしている割合はわずか37.7%であり、また養育費が支払われている割合は19.7%と低く、離婚した父親の5人に4人は養育費を支払っていません。
また、子どもが離婚などで離れて暮らす親と定期的に合う面会交流について取り決めをしていたのは23.4%、そのうち実際に面会交流をしていたのは27.7%です。
平成24年4月には、改正民法が施行され、離婚届に養育費と面会交流について取り決めが行われるよう任意で取決めの有無をチェックする記入欄が施されました。しかし、強制力はなく、記入がなくても受理されるため、実効性が疑問視されています。
1.そこで、兵庫県明石市でも実施しているように、未成年の子どものいる夫婦が別居をする際に、養育費や面会交流の取り決めを促す「養育プラン」や、離婚に伴う親権や養育費の支払期日や面会交流の頻度や方法、連絡の取り方などを取り決める内容を書き込める「合意書」のひな形を区として作成してみては如何でしょうか。
【政策経営部長答弁】
私からは、はじめに子どもの養育支援に関するご質問について一括してお答えいたします。
夫婦の別居や離婚成立後の養育費や面会交流が子どもの大切な権利であることについては、認識しております。
兵庫県明石市では「養育プラン」や「合意書」を市民に配布することで、養育について考えるきっかけを提供できていると聞いております。
足立区では、区民相談室で毎日実施している法律相談において、離婚に関する手続きの質問や親権、養育費などの相談に応えられる体制を整えております。離婚成立後のトラブルについても弁護士が個々の事業に応じてきめ細かに対応しております。
現在、相談者が養育費や面会交流に関する協議書作成を希望される場合は、法テラスや公証役場の紹介を行っているところですが、「養育プラン」や「合意書」のひな形を法律相談で活用することは、相談者の課題整理の一助になることが期待できますので今後、検討してまいります。
<長谷川たかこ>
この養育プランや合意書を基にして法的効力の強い公正証書を作成すると、約束が守られなかった場合には給与差し押さえなどの強制執行ができ、養育費を履行させる法的拘束力が生まれます。
現在、別居や離婚に伴う子どもの養育に関する相談においては、弁護士への依頼を希望する経済的に厳しい家庭の場合には、法テラスに繋ぎ、法テラスのスタッフ弁護士または契約弁護士が受任して調停申し立て等を行います。北千住法律相談センター(日本司法支援センター(法テラス)の指定相談場所)では法テラスとの連携をとっています。
【2】①先ず、離婚届用紙を窓口対応に変え、離婚届を取りに来た当事者に対しては、合意書の用紙を配布すると同時に合意書を基にした取り決めを促すことや、区のホームページ上にも養育プランや合意書のひな形・作成の手引の表記や法テラスなどの関係機関を掲載し、合意書などが作成された場合には速やかに公正証書に出来る様、公証役場を紹介するなど、より実効的・効果的な支援として取り組みを始めて頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
【政策経営部長答弁】
窓口での離婚届用紙と合意書の同時配布のご提案についてですが、離婚を考えている方の中には、財産分与などの相談も希望される方がいらっしゃいます。現在、区民相談室では、法律相談以外にも行政書士による一般相談、税理士による税務相談などの様々な相談が可能です。
戸籍住民課や区民事務所で、離婚届用紙を配布する際に、区民相談室をご案内することで、相談者の個別の事情に応じた課題解決を図ってまいります。
<長谷川たかこ>
②養育支援サポートとして、公益法人家庭問題情報センターと連携し、家庭裁判所調査官を経験した相談員を配属し、子どもとの面会交流などで悩んでいる区民や子どもをサポートするための専門相談を行って頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
面会交流については、同居親は別居親に子供を会わせることについては、連れ去りや暴力などを理由に最も恐れている事案です。面会交流をする場所の提供については、国としても設置はしていません。このような心理作用が働く中で、面会交流の場所を提供するのは、もはや国ではなく行政サービスで整備すべきものであると考えます。
③そこで、面会交流できる場所を区役所本庁舎内、例えば、1階アトリウムの一角を利用して(プライバシーを配慮した形で)、面会交流できる場所を提供して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
④また、面会交流に援助者として相談員を配置し、安心して子どもが面会交流できる環境を作って頂きたいと強く要望しますが、如何でしょうか。
【政策経営部長答弁】
専門相談の実施及び面会交流できる場所に設置に関するご提案ですが、現在の区民相談においても、相談者の希望に応じた法テラスなどの様々な支援機関との連携が図られております。
区として直ちに専門相談や面会交流のための環境整備を行うことは考えておりません。今後、東京都やNPOが実施している養育支援事業との連携や面会交流をしやすい環境整備について研究してまいります。