千葉県浦安市視察「ネウボラ事業について」①
今日は、墨田区議会議員の阿部きみこさんと一緒に千葉県浦安市役所に行ってきました。「ネウボラ事業」の視察です。
千葉県浦安市と言えば、東京ディズニーランドが有名ですよね。皆さんにとっては、子育てしやすい街としてのイメージが強いかと思いますが、浦安市では平成22年と17年を比較すると、男性、女性とも30代から50代の未婚率が上がっているそうです(男性よりも女性の未婚率が高い)。
先ずは、市役所からご説明を頂いた、千葉県浦安市のデーターを分析してみたいと思います。
総人口 163,719人(H27.4)
世帯数 75,191世帯 (H27.4)
平均年齢 39.9歳(H26.4)
高齢化率15.51%(H27.4)
浦安市は、転出入が多く、若い方々が多く住んでいる街とのこと。
出生数及び出生率では、
年間出生数 1332人(H26)
合計特殊出生率1.11(H25)
経年データでは最も低い平成24年の1.04からは持ち直したものの、全国・千葉県平均よりも下回っているそうです。
妊娠届出時の母の年齢別では、
若年初産(19歳以下)平成21年度0.1%→平成25年度2.5%
高年初産(35歳以上)平成21年度15.8%→平成25年度20.0%
となっています。
子育て家庭の核家族率は、全国や千葉県と比較して高いそうです。
浦安市:95%、全国83%、千葉県86%(H22)
浦安市の子どもや子育て家庭を取り巻く課題を列挙すると以下の項目が挙げられます。
・子育て世帯の9割が核家族世帯
・ひとり親世帯の増加
・晩婚・晩産傾向
・未婚率が高い
・子育てについて相談すべき身近な人がいない
・養育する親が肉体的・精神的に不安定になる
・子育てに対する経済的な負担感がある
そこで、浦安市では、少子化対策に有効な事業を中長期的期間にわたり安定的・継続的に取り組むための財源として、平成26年度に30億円を積立て、少子化対策基金を創設しました。新規に取り組む事業や既に実施している事業を充実して取り組むことにより、浦安市の少子化対策を進めていく事を目途としています。
以下、平成27年度少子化対策基金事業の内容です。
基金対象事業
①うらやす婚活応援プロジェクト事業補助金
②産前・産後サポート事業
③産後ケア事業
④子どもの予防接種スケジュール作成支援事業
⑤特定不妊治療費助成事業
⑥男性不妊治療費等助成事業
⑦不育症治療費助成事業
⑧不妊治療研究支援事業補助金
⑨こどもプロジェクト事業
⑩子育て支援パスポート事業
⑪子育て応援ポータルサイト経費
⑫望海の街子育て支援事業
⑬ふれあい体験事業
⑭認証保育所通園時補助金(少子化対策基金事業)
⑮私立保育所施設整備等補助金(少子化対策基金事業)
⑯認可外保育施設運営等支援事業費補助金(少子化対策基金事業)
⑰一時預かり事業
⑱保育士資格取得講座料等補助金
⑲浦安市幼稚園就園奨励費補助金(少子化対策基金事業)
浦安市では、フィンランドの子育て支援制度「ネウボラ」をモデルとする妊娠・出産包括支援のワンストップ拠点と、出産時に母親手当ての一つとして配られる赤ちゃんの衣料などが入った育児パッケージを母親に贈っています。厚生労働省もネウボラをモデルとする妊娠・出産包括支援のワンストップ拠点を計画する自治体に補助金を出しており、東京都も都内自治体に拠点作りや育児パッケージ事業を推進しています。
都事業の内容としては、
・育児パッケージの配布経費の補助
・専門職の配置経費の補助
・区市町村が国事業を行った場合の区市町村負担分の補助
全て補助率10/10で補助するというもので、基本的に区市町村は持ち出しなしで実施できる形となっています。
しかし国や東京都の事業は5年で打ち切りとなります。その後、各自治体が一般財源からの持ち出しとなりますが、全国的に既に、三重県名張市、埼玉県和光市、文京区、豊島区、中野区では、ネウボラ事業が導入されています。私が調査をしたところ、東京23区ではさらに今後14区(世田谷区も行うとの話を頂いています)がこの事業を行う予定です。足立区では行うつもりはないと執行機関より話がありました。
浦安市では、5年の補助金が打ち切られたとしても、このように少子化対策基金として30億ものお金を予算計上しているわけですから、具体的、効果的な少子化対策が見込まれます。まさに本腰を入れて行っているわけです。
浦安市でのネウボラ事業としての内容は具体的には、以下のものとなります。
妊娠届・出産前後・お子さんの1歳お誕生日前後の3回に対象として、保護者全てと面談し、その方の子育てに関するプランを子育てケアマネジャーと保健師などが作成します。
☆第1回目の保護者との面談 →時期は、妊娠届出時
【事業内容】
・妊娠3か月頃~出産までの約半年程度の「ケアプランを作成」。
・妊婦さんや家族が抱える悩みや不安を受け止め、母子の置かれて
いる状況や本人の意思を十分に確認した上で支援計画を作成。
・特に見守りが必要な方に対しては必要な支援ができるよう関係機関に
つなぐ。
【実績】
子育てケアプラン1回目作成件数 842件(月平均 94件)≪平成27年7月21日現在≫
☆第2回目の保護者との面談 → 時期は出産前後
【事業内容】
出産前後~お子さんが1歳の誕生日を迎えるころまでの約1年程度の「ケアプランを作成」。
・母親の就労希望の有無などを伺いながら、子育てのビジョンや利用できるサービス・事業を検討し、「ケアプランを作成」する。
・見守りが必要な方に対しては必要な支援ができるよう関係機関につなぐ。
・ケアプラン2回目を作成した方に、「こんにちは あかちゃんギフト」(衣料品などの子育てグッズの詰め合わせ)と「こんにちは あかちゃんチケット」(市内協賛事業者で利用できるバウチャー券)を贈呈。
【実績】
子育てケアプラン(出産前後)作成件数 338件(月平均112件)
≪平成27年7月21日現在≫
☆第3回目の保護者との面談 → 1歳誕生日頃
【事業内容】
・お子さんが2歳になるころまでの約1年程度の「ケアプランを作成」。
・母親の就労希望の有無などを伺いながら、子育てのビジョンや利用できるサービス・事業を検討し、「ケアプランを作成」する。
・見守りが必要な方に対しては必要な支援ができるよう関係機関につなぐ。
・ケアプラン3回目を作成した方に、「ファーストアニバーサリーチケット」を贈呈(市内協賛店舗や市の育児サービスを利用できる金券)。
※27年度利用できる店舗などは81事業所(5月1日~利用開始)
【実績】
子育てケアプラン(1歳の誕生日頃)作成件数 155件(月平均51件)
≪平成27年7月21日現在≫
さらに浦安市では、うらやす婚活応援プロジェクト事業を行っています。
【事業概要】
市職員や婚活事業者、ホテル等のブライダル関係者、地域で活躍する市民などで構成する「うらやす婚活応援プロジェクト実行委員会」を設置し、少子化対策や観光振興につながる取組の一つとして、出会いの場を提供するための婚活事業を企画・実施するとともに、民間企業との協働企画となる新たな「結婚・子育て等情報誌」の製作と同情報誌を活用したプロモーション事業を実施する。
◆26年度実績等
男女の出会いの場を提供するため、婚活事業である「婚活in浦安リゾート2014・2015」を計2回実施。また、市内のホテルやブライダル情報、本市の結婚、妊娠、出産、子育てガイドを記載した「浦安ウェディングブック」の発行などを行ったそうです。
(婚活実績)
①平成26年12月21日(日)
名称:「婚活in浦安リゾー2014~心のベルが鳴りますように・Merry Christmas~」
会場:シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
参加者数:191名(男性94名 女性97名) ※カップル成立:41組
②平成27年2月22日(日)
名称:「婚活in浦安リゾー2015~このまちで、一緒に生きていく~」
会場:シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
参加者数:214名(男性106名女性108名) ※カップル成立:34組
浦安市は婚活から不妊治療、不育症、産後ケアを含めた子育て支援と、男女ともにライフステージに合わせた支援施策がとても充実をしています。ここまで手厚い支援施策を足立区でも、ぜひとも首長判断ですぐにでも行って頂きたいと強く願うばかりです。
今後も、全国的に先進自治体と言われるところを調査研究し、政策実現をしながら、足立区で子育てをしたいと思える足立区を全力で強力に構築して行きたいと思います。
本日は、お忙しい中、ご丁寧にご説明をくださいました担当部署の皆様、そして一緒に快く視察に同行して下さいました墨田区議会議員の阿部きみこさん、 本当にありがとうございました。