予算特別委員会の内容③【「子どもの貧困対策・ひとり親家庭の支援」・養育支援・子どもの心のケアについて】
今日は、引き続き予算特別委員会で行った質問をご紹介します。
昨日に続いて、「子どもの貧困対策・ひとり親家庭の支援」・子どもの心のケアについてです。
親の離婚や虐待などに直面し、心穏やかに安心して過ごすことができない、もしくは親から愛される環境にない子どもたちを対象とした子どもの心のケアプログラムを今後、足立区で行うことが必要であると考えています。また、子どもだけを対象とするのではなく、養育者の親育ちの支援を行ったり、子育て環境としての地域づくりも重要です。
また、離婚に伴う養育支援として「面会交流」や「養育費」についても、先ずは「養育費に関する相談会」を開催したり、今後、国で作成されるこれらのパンフレットや合意書のひな形を活用しながら法的拘束力が担保される公正証書の作成の促し等、区として養育費の取り決めの強化に向けたビジョンを立ち上げるよう提案をしました。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
<長谷川たかこ委員>
次にひとり親家庭の子どもの心のケアについて質問します。
現在、就学前の子ども達も含めた心理的相談窓口は足立区にはありません。今後、例えば、別居や離婚に伴う際の子ども達の心理的相談窓口を開設して頂きたいと思います。以前も、議会で質問をさせて頂きましたが、その際のご回答は、こども支援センターげんきでの教育相談やスクールカウンセラーを活用して下さいとの回答でした。
私が提案をしているのは、就学前の子ども達も含めた心理的相談窓口であり、中身も教育相談ではなく、ひとり親家庭になろうとしている子供たちに対する心理的ケアの相談窓口の開設です。
【問】
そこで、足立区の就学前の子ども達も含めた心のケアを臨床心理士などによる専門家による心理的相談窓口を足立区で新規で開設して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
<子ども支援担当課長>
別居とか離婚とかの、そういったような時につきましては、親子喧嘩などで心理的な虐待なども多々あるかと思っております。そういったような時を踏まえまして、私ども心理士も含めた専門相談員が対応しております。また、より深い相談が必要な場合につきましては、子ども支援センターげんきの臨床心理士が対応しておりますが、就学前につきましても、そういったところにつないでいきたいという風に考えております。
<長谷川たかこ委員>
ひとり親家庭に特化したような形で専門的な窓口を作って頂くのが一番良いかと思います。ただし、新規で作るというのはとても大変なことですので、やはり足立区にある既存のシステムを活用するという事があってもよいのではないかと思います。今後、拡充をするか、新規で開設するか、なども含めて検討をして頂きたいと思います。
次に、兵庫県明石市では、様々な施策が進んでいます。
昨年1月に、未成年の子どもがいて離婚を考えている、または離婚をした父母を対象に離婚後の子育てに関する講座を実施しています。3部構成で第1部は、行政職員が養育費や面会交流や児童扶養手当など、子どもを支える行政サービスについての説明をし、2部では、離婚時に子どもの心理的ケアの仕方を学ぶための「子どもの気持ちを考えるワークショップ」を行い、心理学を専門とする大学教授や臨床心理士のグループが実施したそうです。また、第3部では、個別相談会で弁護士と臨床心理士が相談に応じたとお聞きしました。
また、親の離婚や別居を経験した子ども達が、自分たちの体験を語り合う子ども触れ合いキャンプを実施しているそうです。
足立区でも、明石市で行っているような取り組みを是非ともお手本にしながら、子どもの立場に立った支援を積極的に行って頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
<区民参画推進課長>
現在、夫婦関係とか、子どもに関わる問題について、臨床心理士や心理カウンセラーによる女性相談を行っております。そのご相談の中で法律的な知識が必要な場合には、弁護士相談につなげるなどしております。
また、エル・ソフィアでは、女性のための法律知識、いろいろなことに関する講座も行っております。引き続き、今後、子どもの立場に立った支援の視点を入れて、相談とか、講座を実施していきます。
<長谷川たかこ委員>
前向きなご回答、ありがとうございます。期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
次に離婚に伴う養育支援について伺います。
平成24年4月1日より民法の一部が改正され、協議離婚の際には子の監護者(親権者)だけでなく、「面会交流」や「養育費」についても定めることとされ、その取り決めにあたっては、この利益を最も優先して考慮しなければならない旨が明記されています。しかし、強制力はなく、記入がなくても受理されるため、その実効性が疑問視されています。
厚生労働省の平成25 年の人口動態統計によると、年間の離婚件数は約23 万件。離婚後の8 割は母親が子供の親権を持つが、父母間で養育費に関する取り決めをしていたのは37・7%。実際に養育費を受けていたのは19・7%です。主な理由として、養育費の分担について法的な知識が不足している場合だったり、相手に支払う意思や能力がないと思ったり、相手と関わりたくないと思ったりすることが挙げられています。先ほども、申しましたように足立区では養育プランについての資料が作成され、必要とされる方々に配布される予定です。
今回の養育プランは、実際の合意書に繋がる用紙は添付されていませんが、離婚に伴う当事者への養育費請求についての法的な知識への理解などに向けた一層の周知啓発につながるものと確信します。
養育費等の取り決めをする際には、養育プランを参考にしながら当事者間で合意書を作成し、それを持って法的効力の強い公正証書を作成すると、約束が守られなかった場合には給与差し押さえなどの強制執行ができ、養育費を履行させる法的拘束力が生まれます。
国でも養育費の問題は意識されており、昨年12月21日、内閣府で、政府全体として関係省庁が連携して、効果的なひとり親家庭・多子世帯等の自立支援策を講じるため、「すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議」で議論をされています。先日、国の予算が通過したことで、来年度、この会議で検討をされた養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説したパンフレットや養育費等の取り決めをする際に使用する合意書のひな形を国として作成する方向性という事を法務省の担当者より直接お聞きしたところです。
養育支援は、相談体制の充実と参考書式の配布、そして関係機関との連携が必要となります。離婚後の子供の問題について自治体が支援するためには、この3 つの柱が必要です。
【問】
そこで、先ずは「養育費に関する相談会」を開催したり、今後、国で作成されるこれらのパンフレットや合意書のひな形を活用しながら法的拘束力が担保される公正証書の作成の促し等、区として養育費の取り決めの強化に向けたビジョンを立ち上げて頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
また、合意書を公正証書にするためにかかる作成費用の助成を足立区で行い、ひとりでも多くの子ども達の生活の安定に向けた仕組みを構築して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。合意書などが作成された場合には速やかに公正証書に出来る様、公証役場を紹介するなど、区として関係機関との連携を強化し、より実質的・効果的な支援として早急に取り組みを始めて頂きたいと思います。
<政策経営部長>
養育費に関する相談会については、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。公正証書については確かに法的拘束力があって、強制執行ができるという点で、望ましいものだと思います。
実際に、今、区民相談では、法律相談として離婚相談に来られた時には、弁護士などからその作成方法や公正証書の作成の仕方についてもご案内しておりますので、今現在、区の方で公正証書の助成を出すというところまでは考えておりません。今後の研究課題とさせていただきます。先ずは、面会交流の大切さを併発するリーフレットを作成しましたので、そういう状況の方々に適切な情報を伝えるという事を最優先に進めさせて頂いて、今、頂いた様々な課題については、その後の研究課題というふうにさせて頂きたいと思います。