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医療的ケア児 勉強会at星陵会館

今日は永田町にある星陵会館で医療的ケア児の勉強会に参加をさせて頂きました。

 

以前から中央区議会議員の渡辺恵子さんから医療的ケア児の様々な諸問題をお聞きしていた中での勉強会です。先日の秋葉原で行われた講演会の内容を踏まえ、今日はさらに当事者の皆様からの切実なお声を拝聴させて頂きました。当事者の皆様を交えた勉強会を開催して下さった、中央区議会議員の渡辺恵子さんには大変感謝申し上げます。

 

今日の勉強会には、医療器具を付けた2歳10か月(見た感じは娘と同じ生後5ヶ月くらいの大きさでした。その為、最初にお声を掛けさせて頂いた時には、「生後何ヶ月ですか?」と聞いてしまいました。)のお子さまをご一緒にご両親がお連れになり、大変な状況の中でも、地方議員に現状を知ってもらい少しでも支援の輪を広げてもらいたいという一心でお越しになられていました。

 

同じ子を持つ親として、話しを聞くと涙があふれてしまいます。私も昨年の出産で生死の境までいき、「呼吸器を使わないと死にますよ」「気管切開」と医師から耳元で言われた時の状況を思い出しました。私の場合には、私自身が当事者として出産後に気管挿管をした状態で意識が戻り、気管挿管によって喉に痰が詰まる苦しさを味わい、頻回にたん吸引を看護師さんに行って頂く経験をしました。EICU(重篤患者が入る緊急集中治療室の個室)に入り治療をして頂きましたが、通常では体験できない経験をしました。そんな体験をしたうえでの今回の話しは、自分自身が経験した悶絶の苦しみとオーバーラップをしてしまいます。

 

今日お越しの2歳10か月のお子さんの現状についてです。

現在、中央区在住。妊娠8ヶ月に、羊水が多いと言われ大きな病院に転院をしたそうです。染色体異常の可能性を妊娠期間中に指摘され、医師からは「食道がつながっていないかもしれない」「生きて生まれてくることが難しいかもしれない」「長く生きられないかも」「この病院で退院できた子はいない」と言われたそうです。

 

妊娠38週1488グラムで生まれ、NICUに入院。

生まれたその日に胃と腸に穴をあけ、栄養を摂れるように手術を受けたそうです。

生後1か月後、18トリソミーと判明。医師からは、歩けないし、長く生きられないだろうと、あまり治療に積極的ではなかったそうです。

しかし、生後6か月頃、少しずつ体重も増え、医師たちも前向きになり、計4回の手術をして1年2か月で小児科に転院されました。

 

小児科では約2か月間入院。その後、自宅で過ごせるようにと機械の使い方や痰吸引の仕方や入浴の仕方、緊急時や24時間の生活のシュミレーション、訪問看護のことなどを夫婦そろって学び、練習し、それを覚えて退院をされたとのことでした。

自宅での在宅生活では、表情が豊かになり、体重も増えているそうです。呼吸器、腸ろう(ミルクなどの栄養を24時間注入)、サチュレーションを常につけ頻回にたん吸引をしている状況で、夜間は両親が交代(母親:夜8時~深夜の2時まで介護、その後、睡眠、父親:深夜2時~朝7時まで介護、その後、睡眠の交代制)で介護をし、祖母に時々看てもらっている間に父親は週4日、母親は週2日働けているとのことでした。また、訪問看護の入浴介助は週5日、また月に1回は通院し、月2回は訪問医の往診を受けているそうです。

 

現在では、機械などが多くて外出するのが1人では大変でなかなか自宅から出ることができないそうです。外の刺激を与えることで発達の諸刺激を促すことにつながるので、出来れば同年代の子ども達と交流する機会が欲しいとお話がありました。また、介護に時間を追われて外に出る時間がないので情報量が少ないそうです。

 

ここで、今日、お話を伺った方の必要な支援をまとめると以下の通りです。

・看護師などの医療ケアができるスタッフがいないことが原因で保育園や幼稚園などの預け先がないので、医療的ケア児が通える療育施設を増やしてほしい

・子どもに適齢期に合った発達・発育の機会を与えるためにも、健常児と医療的ケア児が交流できる場を作ってほしい

・介護に追われ外に出る機会が少ないため、情報不足。地域で医療的ケア児を育てている家族とつながるように交流を促進してほしい

 

厚生労働省の実態調査では、医療的ケア児0~4歳が全国に約6100人、5~9歳が約4100人おり、全国的にも医療的ケア児は増加傾向にあるそうです。このように、医療の進歩に伴い痰吸引や栄養剤を注入するなど「医療的ケア」が必要な子ども達が急増している中で、保護者たちは家庭での過大な負担により疲弊をしています。そして、ケアに追われて社会から孤立し、行政とも交渉する余裕がない中で、保護者の休息や子どもの発達を促す役割を担うはずの保育の受け皿は全く進んでいません。

 

政令指定都市、道府県庁所在地、東京23区の計74自治体のうち、医療的ケア児を保育所で預かっているのは40市区になるそうです(毎日新聞調査)。保育士も研修を受ければ特定のケアは対応可能のようですが、研修には日数が必要で、実習も大変であり、命の危機管理の問題につながるため、即公立保育園で預かることは厳しい状況です。ある自治体では、保護者が相談に行くと相談段階で「前例がない」と難色を示され、受け入れに向けた検討すら渋られ、他の自治体への転居まで促されたそうです。結局、育児の負担が大きい中で、行政とのやり取りに疲れ果て、入所を諦めてしまったケースがあります。

NPOフローレンス「障がい児保育園ヘレン荻窪」は2年前に杉並区に開設され、医療的ケア児を現在では10人預かっているそうです。また、足立区扇にある「療育室つばさ」でも一時保育をしています。来年2018年には、東京都世田谷区は拠点圏を作る方向で検討中とのこと。渋谷区では受け入れ可能な保育施設の開設に向け準備を始めており、墨田区や文京区でも受け入れ態勢を検討しているそうです。

 

昨年2016年5月、医療的ケア児に対する支援を史上初めて法律に定義し、自治体による医療・福祉・教育が連携をした支援の努力義務を盛り込んだ「改正障害者総合支援法ならびに改正児童福祉法」が国会で成立しました。

しかし、医療的ケアが必要な子どもの保育所の受け入れ先が自治体によって大きくわかれると言った実状が保護者の声により明らかとなってきています。

医療的ケアのために保護者が就労機会を奪われたり、子どもが集団生活の中で発達の刺激を得られる機会を奪われることがあってはなりません。行政の責任として医療的ケア児に対し必要な配慮をすべきで、集団生活をする場を保障するのが行政の役割です。

専門家から指摘されているように、公立・私立保育園問わずに医療的ケア児対応型拠点保育所を各自治体に1箇所でも作り、看護師や研修を受けた保育士を配置して、受け入れ態勢を早急に構築する必要性があると感じました。

 

今日頂いた内容をしっかりと研究し、足立区でも医療・福祉・教育が連携した対応を構築するよう、議会で強力に働きかけていきたいと思います。