一般質問の内容⑤【外国人住民の子どもの居場所を兼ねた学習支援について】
前回に引き続き、今回は「外国人住民の子どもの居場所を兼ねた学習支援について」行った代表質問をご紹介します。
外国人にとって日本社会での最初の困難は「言語」であり、その壁を越えるためには、日本語学習の機会を提供することが極めて重要です。しかしながら、十分な日本語能力を習得するには一定の年数を要するため、基本的な権利を保障するためには、母語での情報提供や相談が必要とされる場面も多い状況です。
日本社会において、民族が多文化化している現実をふまえて、子育てについても特別な支援を行政主導で行うことが求められています。
外国にルーツを持つ子どもたちの様々な課題を調査し、個々にあった支援へとつなげていきたいと思います。
以下、代表質問の内容と、その答弁です。
*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****
5.外国人住民の子どもの居場所を兼ねた学習支援について
<長谷川たかこ>
次に、外国人住民の子どもの居場所を兼ねた学習支援について伺います。
5・6年前、区がサポートステーションを受託している特定非営利法人 青少年自立援助センターが文科省の補助金を得て、外国にルーツのある未就学児童、生徒・不登校児童生徒の学習支援とその復学を促す事業を江北で実施していました。
このセンターにお聞きしたところ、両親の日本語が不得意な場合、日常的な会話は問題なくても学習に必要な抽象的な概念の理解が進まないそうです。そのため、このような家庭環境の子ども達は、特別な支援が必要との話でした。保護者が日本語が出来ないことで宿題を見てあげられなかったり、また、保護者が教えてあげようとしても母国との教え方の違いもあります。このような子供たちは、基礎学力をつけることも困難な環境にあります。
当時、来ていた子どもたちの多くは、家庭内のトラブルも頻繁で、自宅で学習できる環境がなく、学習支援の前段階での居場所を確保する必要があったそうです。その為、多文化共生コーディネーターがついて、区との連携・サポートもされていました。具体的には福祉部で交通費の補助を出したり、休みがちな子どもに対して、このセンターに通えば学校に通わなくとも出席扱いになるなど、教育機関との連携もされていました。
【問】まず、このような問題が顕在化している状況を区として把握しているのか、把握しているのならば、現在、どのような支援を行っているのか、伺います。
【問】特別な支援を必要とする子ども達がいる現状を重く受け止め、子どもの貧困対策の一環として、実態調査を求めます。区の見解を伺います。
【問】特別な支援が必要な子どもに対する支援は、小学生から行うべきです。そこで、そのような子ども達に特化した小中学生対象の居場所を兼ねた学習支援を行って頂きたいと強く要望しますが、区の見解を求めます。
<福祉部長>
私からは、外国人住民の子どもの「居場所を兼ねた学習支援」について一括してお答えいたします。
現在、「居場所を兼ねた学習支援」事業には、国籍に関わらず、いわゆる「外国にルーツを持つ」中学生が1割程度おります。こうした中学生が抱えている課題は、親からの愛着形成の不足や学校での友達付き合いなど、当事業を利用する他の子ども達と共通のものであり、「外国にルーツを持つ子ども」に限った問題が顕在化しているとの認識はありません。また、支援施設において一様に溶け込んで学習や体験活動に取り組む様子からも、「外国にルーツを持つ」か否かに関わらず、当事者が「第3の居場所」として重要な役割を果たしていると考えております。
従いまして、現在のところは「外国にルーツを持つ子ども」に対し、特別な支援を必要とするとの認識はありませんが、今後、当事者における子どもたちへの寄り添った支援を通じて、実態を把握しながら、「外国にルーツを持つ子ども」に共通する課題や地域特性などが見出された際には、その子どもたちに対する事業の開始時期や必要な支援プログラム等について検討していきたいと考えております。