成果報告:予算特別委員会の内容⑧【不登校支援について】
不登校のきっかけや継続要因は複雑化しており、対応には個々の子どもの実態把握が必須です。 文部科学省による不登校は「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にある為、年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的な理由によるものを除いたものとする」という定義となっています。
不登校の実態としては、以下の内容が挙げられます。
・どの事例にも共通の唯一の原因があるわけではない(個々の実態把握が必要)
・不安や無気力(きっかけの第一位)
単に促すだけ、待つだけでは解消は困難
家庭や学校の環境ごとに調整とスモールステップ
・年齢が上がるごとに学習不振が増加
再発リスクに対する支援
学習支援、対人関係支援が必要
・長期化する場合の社会参加困難
早期対応が必要
ベースに発達障がいがある場合、立ち直りにくい
発達障がいと不登校との関連性については、
・高機能PDD児が不登校になる率が児健常児と比較して高い
・不登校のパターンをいじめなどの迫害体験をきっかけにするものと学校がつまらない、不快な出来事が多い場面への参加を拒否するパターンがある
・医療機関を訪れた不登校の子どもにおける発達障がいを背景に持つ割合が20~30%(内訳ではPDDが一番多い)
・知的障害を伴う子供も20%
・一次医療から二次医療、三次医療とより専門機関になるほどその比率は高くなる
・不登校の出現時期について、発達障がいを背景としない不登校よりも早い時期、小学校3年生以前に表れやすい
以上の点が特徴として挙げられます。
発達障がいのある子どもの不登校リスクは高く、予防には「教師の理解」と「障がい特性への配慮」が必要です。早期対応の遅れによるひきこもり、昼夜逆転、家庭内暴力などのリスクが高く、不安などの心理的問題に加えて学習や対人関係に課題を持ちます。また環境調整なしの回復が困難で、復帰した後の支援の有無が再発を左右します。
定型発達児に比べて発達障がい児の不登校は遷延しやすく再登校へつなげるのが困難な事例が多いことからひきこもりとの関連性も指摘されています。
早期からその子どもの特性に合わせた子育てと教育環境の整備を進めることで、適応が改善されることがわかってきている中で、発達障がいの特性は成長の中で、虐待、いじめ、不登校、引きこもり、様々な精神疾患に対する関連性が指摘されています。
早期からの「気づき」と「支援」が重要です。
子ども達の特性に合わせた教育環境の整備を早急にこの足立区から構築していきたいと思います。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
【不登校支援について】
【長谷川たかこ委員】
幼稚園や保育園で行き渋りだったお子さんが小学校に入ってからも登校が難しく、コミュニケーション教室やスクールカウンセラーで過ごしている方々が多くいます。小学生の平日昼間の居場所は、綾瀬にある未来大学のフリースクールのような民間事業者でやっている所のみで、公的機関で行っている支援事業は、子ども支援センターげんきの通級指導の「あすテップ」のみです。親御さん方からは、子ども支援センターげんきに通ってもスクールカウンセラーに相談しても学校に通えないものは通えない、行きたくても行けないので困っている、だけれども足立区の公的な機関での不登校児への居場所がないとの切実なご相談が私の所に何件も入ってきます。
各小学校に設置されているコミュニケーション教室では、少集団活動と個別指導を受けることができますが、欠席日数が多く不登校児となるとコミュニケーション教室も通えなくなり、不登校の児童は通室が不可となります。教室に入れないのでコミュニケーション教室に行っているのに不登校ぎみで出席日数が足りなくてそこも不可と言われるとさらに居場所もなくなり、完全不登校になってしまう、子どもの学校以外の居場所がなく、社会との繋がりが途絶えてしまうとの話です。
【問】そこで、小学生の不登校児の居場所づくりの支援体制の構築を強く求めます。現在、中学生から利用できるチャレンジ学級を小学生にも開放し、既存のチャレンジ学級を小学生版に環境を整備しなおし、小学生への居場所支援の一つとして実施して頂きたいと強く要望致します。区の見解を伺います。
【こども支援センターげんき所長】
チャレンジ学級につきましては、現在も毎年数名ですが、小学生の御利用の児童がいらっしゃいます。ただ、どうしても中学生指導が中心となってまいりましたので、これまでは同じ場所でというような状況でした。令和3年度、来年度からチャレンジ学級の西新井のげんきの中の教室につきまして、小学生専用の教室を設置して、中学生と別室で学習や生活指導を行う予定をしております。
【長谷川たかこ委員】
是非、専用でつくってください。というのは、やはり中学生のチャレンジ学級に見学にお母様も行かれたそうなんですが、やはり中学生の仕様になっていて、なじめなかったということをおっしゃっておりました。よろしくお願いします。
【問】令和3年度からICT教材(タブレット)を用いた不登校支援が行われます。その場合には、目的を学力補充とするのではなく、利用する児童生徒本人が普段なかなか学校での授業を受ける機会がないことに起因し、抱える精神的な負荷を和らげること、また学習上のつまずきを知ることに重点を置いた、より児童生徒の目線に立った学習支援を行ってもらいたいと要望致します。区の見解を求めます。
【こども支援センターげんき所長】
ICTを活用した、児童・生徒一人一人の状況に合わせた支援を充実させるということで、来週の文教委員会で報告させていただきますが、不登校支援におけるICT活用実施計画を策定いたしました。 この計画に基づきまして、学校以外での学習支援ソフトの活用であるとか、オンラインの教育相談など、様々の取組を開始いたします。
チャレンジ学級など、通級の居場所につながる支援とか、ICTを活用した自宅学習支援も導入してまいりまして、これまで以上に児童・生徒の目線に立った不登校支援を実施して参ります。
【長谷川たかこ委員】
【問】不登校支援でICTを活用する際、来年度にはその検証結果を公表し、専門家の知見を頂き、次年度により良い施策としてつなげて頂きたいと思います。区の見解を求めます。
【こども支援センターげんき所長】
この不登校支援におけるICT活用実施計画につきましては、外部の有識者で構成する足立区学校ICT活用促進協議会において、進捗管理であるとか、また、いろいろいただいた御意見などの公表などもして参ります。
それらに基づきまして、よりよい取組となるように、また改善に取り組んでいくというような、PDCAサイクルを回していく取組としていきたいと思っております。
【長谷川たかこ委員】
是非よろしくお願いいたします。