代表質問の内容⑧【視覚障がい者の歩行移動支援について】
東京都府中市においては、地域連携により夜間早朝の音響式信号機稼働を実現したことがニュースになりました。
今回の府中の件は新聞には書かれておりませんが、シグナルエイドという視覚障がい者が持つ小型受発信機を使い、利用者が要求した時のみ信号から音を出すことにより、近隣の迷惑音とならないようにし、これを信号機のある自治会に周知し、承諾を得て、結果、シグナルエイドに対応する36箇所すべての音響式信号機について、夜間早朝の稼働を実現させたというものです。
https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20210812-OYTNT50183/
視覚障がい者や発達障がいなどの特性を持ち合わせたいわゆる少数派と呼ばれる人々は、多数派である一般区民からその事象事態を充分に理解されておらず、差別や社会制度上の問題を抱えている現状があります。
そうした少数派の特性を持った人でも暮らしやすい誰からも選ばれる足立区を私はこれからも区民の皆様と共に全力で構築して参りたいと思います。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
✩【視覚障がい者の歩行移動支援について】
<長谷川たかこ議員>
視覚障がい者の歩行移動を支援する仕組み、装置として様々な音声案内システムが普及し ています。音声案内システムは、一般的な建物だけでなく、駅や空港などの公共交通の拠点、信号などにも活用されており、また近年ではICタグ方式など新しいシステムが開発され、導入が試みられています。音声案内システムを個別に優劣を評価するのではなく、状況や場所に応じて各システムを適切に使い分けることにより、視覚障がい者の皆様の歩行をより円滑にするための方策を示すことが重要です。今後の音声案内システムのあり方、普及の方策を更に区として探ることを強く要望致します。
音響式信号機といえば、一般的には、横断者が居ないにもかかわらず四六時中、特定の音が出続けているイメージをお持ちかと思います。実はシグナルエイドという機器を使えば要求時のみ音を出すことができます。しかしながら、このシグナルエイドに対応した信号機、また押しボタンを押した時のみ音が出る信号機が足立区内のどこに何か所設置されているかは開示されておらず、視覚障がい当事者はその位置を知ることすらできないという状況になっています。
【問】まずは足立区内、近隣区のシグナルエイド対応信号機の設置場所、タッチ式音響式信号機の設置場所を区民に公表し、要求時のみ音が出せる信号機についてはシグナルエイド対応信号機を導入し、夜間早朝でも音が出るように検討して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。或いはエスコートゾーンとの組み合わせにより、※音を出さずともタッチ式スイッチと呼ばれる新型の押しボタン箱による音声案内機能を導入して頂きたいと要望致します。区の見解を求めます。
※信号機のスピーカーから音を鳴らすよりも、音の聞こえる範囲がせまく、夜間でも周囲への影響が少ないのが特徴。押しボタン箱から“青になりました”とか“信号が赤になります”という音声案内が箱の中から発生され、いろいろなところで反射して響くということがありません。箱の周辺にいれば音が分かるという仕組みのもの。
【問】シグナルエイドについては使い方以外ほとんど情報が開示されていない状況のようです。使える場所と使い方、そのバージョン等、より詳しい情報について、メーカーもしくは警察より情報開示を区として求め、設備してあるシグナルエイドをより使いやすくしては如何でしょうか。区の見解を求めます。
※シグナルエイドについて
http://www.exeo-tech.co.jp/product/fukushi03.html
(自立生活支援用具給付対象品)シグナルエイドとは、自分の意志で操作することにより音響・音声案内を受けられる小型送受信機。常に動作する音響・音声案内と違い、必要なときに必要な音響・音声案内を受けられます。また、事前情報提供エリアを受信する機能を備えていて、エリアを受信したとき、「ピッピッピッ」と本機からお知らせします。音響・音声案内が必要なとき本体の上にある押しボタンスイッチを押すだけで、誰でも簡単に音声案内を受けられます。
その他参考
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/225/
【都市建設部長:答弁】
シグナルエイド対応及びタッチ式音響式信号機の設置場所、これら信号機の導入について及び、シグナルエイドの情報開示について一括してお答えします。
音響式信号機を所管する警視庁交通管制課に問い合わせをしたところ、音響式信号機の設置場所については公表しているが、シグナルエイド対応やタッチ式等の細かな機能区分までは公表していないとのことでしたので、今後、足立区内や近隣区の情報の公表について警視庁と協議をして参ります。
また、視覚障がい者の方が何時でも、安全・安心かつ円滑に移動ができるよう、シグナルエイド対応信号機及びタッチ式信号機への早期切り替えについても要望して参ります。
シグナルエイドをより使いやすくするための情報開示については、利用者からより詳しい情報提供の要望があることを、メーカーおよび警視庁に伝えて参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】また、警察庁は以前から導入しているシグナルエイドに加えて、高度化PICS(歩行者等支援情報通信システム)による視覚障がい者の歩行支援を打ち出していますが、実際に設置された信号機ではスマートフォンのアプリ「信GO」を使い、青、赤、東西、南北方向、の情報は受け取れるものの、視覚障がい者はその方向を確認する術がないため、その場所に精通しないかぎり利用できない状況となっています。区はこの現状を把握しているでしょうか。
高度化PICSが誰もが実質的に利用できるようになるまで、シグナルエイドを活用したり
タッチ式音響式信号機とエスコートゾーンの組み合わせを活用したり、あるいは信号横断時の見える人からの「一緒に渡りましょう」という声かけサポートを奨励し、足立区が視覚障がい者の交通事故防止の先進地区と言われることを目指してはいかがでしょうか。
参考:
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20191018.pdf
【都市建設部長:答弁】
「信GO」についての苦情、要望等は、これまで区に寄せられておりませんでしたので、現状についての把握はされておりませんでした。区といたしましても、視覚障がい者の交通事故防止を進めるため、今後も視覚障がい者の歩行移動を支援する仕組み、装置などを調査研究すると共に、シグナルエイド対応信号機、タッチ式音響信号機、エスコートゾーンの設置促進と声掛けサポート運動などによる心のユニバーサルデザインの機運の醸成を関係機関の協力を得ながら進め、視覚障がい者の交通事故防止の先進地区と言われるよう努力して参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】視覚障がい者向けのサービスとして、移動支援デバイス「あしらせ」が開発されました。これは、人工衛星「みちびき」から発信されるGPSを活用し誘導していくものです。
中敷きのようなパットを靴の中に入れて、右に曲がるときは右側が、左に曲がるときは左側が、直進するときは足の甲が振動します。「あしらせ」はサブメーターシステムを活用しているのでルートを大きく外れることはなく、外れた際は全体に振動が早くなり知らせてくれる装置です。このように時代と共に新たに開発される新装置を区としていち早く情報を調査・研究し、最新の歩行支援サービスの一つとして、当事者の方々に広く情報提供をして頂きたいと思います。区の見解を求めます。
【福祉部長:答弁】
ご質問の「あしらせ」は、2022年の販売開始を目指し、試作実証中の製品のため、実用化後に費用や安全性等の情報収集をして参ります。「あしらせ」に限らず、障がい者向けの製品は、最新鋭の技術を備えたものが日進月歩で開発されています。区としましても、国際福祉機器展や東京都の研修等に積極的に参加し、製品情報の収集や調査研究に努めて参ります。
また、個々の製品の特長や利便性等の区が確認した情報については、障がい者団体等と意見交換を行い、提供して参ります。