代表質問の内容④【医療的ケア児・家族支援について】
国では、2021年6月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が可決されています。国や自治体が医療的ケア児の支援を全面的に行う責務を負うことが義務化されており、保育園や学校の設置者などに支援措置の責務があることを明確化しています。
令和3年度に実施された実態調査によると、足立区内における医療的ケア児20歳未満は91名です(0歳から5歳が40名、6歳から11歳29名、12歳から14歳が6名)。足立区においては医療的ケア児支援に関する保健、医療、障がい福祉、保育、教育、連携、連絡調整、情報交換を図ることを目的に、令和元年度から医療的ケア児ネットワーク協議会が設置されていますが、支援がまだまだ乏しい状況です。療育支援をしている施設で諸課題を伺いました。目下の課題は学校の受入れについてですが、子どもたちが成長する過程で様々な課題が生じています。子ども達のコーディネーター役については、区行政で行うのはかなり厳しいと感じざるを得ない状況です。
当事者の声を吸い上げ、細かいケアができるところまで支援を広げていくとするならば、実際に当事者親子と直接的に関わっている民間事業者を介入させ、区行政との連携を図りながら、子供たちの将来を見据えたコーディネーターとして意見を積極的に求めるべきと考えます。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
✩【医療的ケア児・家族支援について】
<長谷川たかこ議員>
令和3年度に実施された実態調査によると、足立区内における医療的ケア児20歳未満は91名です。子どもの成長とともに見えてくる諸課題をいち早く吸い上げ、如何に支援につなげていくかという点について、実際に現場で働き、保護者の悩みを聞き、当事者である子どもたちの成長を見守っている民間事業者との連携を強固にしていかなくては、医療的ケア児が必要とする支援は構築できません。
【問】そこで、先ず、(仮称)江北健康づくりセンターに基幹相談窓口の設置を求めます。民間事業者の力を借りながら医療的ケア児等コーディネーターを複数配置し、運営することを求めます。また、オンライン相談体制の構築も併せて求めますが、区の見解を伺います。
【福祉部長:答弁】
(仮称)江北健康づくりセンターへの医療的ケア児の相談窓口の設置についてお答えいたします。医療的ケア児等の総合的な相談窓口は、東京都が開設する医療的ケア児支援センターに設置される予定です。(仮称)江北健康づくりセンターに基幹となる窓口を設置するかどうかは、その必要性も含めて検討して参ります。
また、医療的ケア児の保護者の利便性を考慮し、情報提供の為のポータルサイトを区公式ホームページ内に開設しました。今後は、このポータルサイトからオンライン相談できる仕組みを構築して参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】現在、文教委員会でスクールアシスタント制度の更なる支援拡充を求めています。スクールアシスタントがたん吸引等の医療的ケア児の子どもたちに寄り添える支援員として活躍できるよう、介護職員等に働きかけを更に行い、人員を確保して頂きたいと思いますが、区の見解を求めます。
【子ども支援センターけんき所長:答弁】
医療的ケア児支援のためのスクールアシスタントの人員確保についてお答えいたします。学校でのたん吸引を必要とするお子さんの支援について、本年度スクールアシスタント制度を活用した支援員を確保し、試行実施致しました。試行実施の結果について検証し、本格的な実施に向けての人材確保に努めて参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】また、介護職員は都道府県制度にある「介護職員による痰の吸引等」による資格を取らなければ痰吸引や経管栄養の接続ができません。
スクールアシスタントが医療的ケアを行うには、痰の吸引等の資格を取ってもらうことが必要となります。その為には、指導看護師の存在が必要です。一定期間の指導と評価を経て取得となります。誰が指導看護師になるかについても議論が必要になるため、民間事業者の力を借りることが望ましいと考えます。区として、スクールアシスタントによる医療的ケアを行えるようにするためにも、早急にその道筋を構築するよう強く要望致します。区の見解を求めます。
【子ども支援センターけんき所長:答弁】
スクールアシスタントによる医療的ケア児支援のための指導看護師の確保についてですが、本年度、区立保育園の看護師を中心に8名が研修を受講し、指導看護師を確保しました。
先ず、資格を持つ指導看護師による指導、評価をとおして、スクールアシスタントが医療的ケアを行えるような道筋を構築して参りますが、あわせて民間事業者がスクールアシスタントに対して、技術的サポートが可能かどうかの確認をして参ります。
<長谷川たかこ議員>
次に、緊急を有する災害について伺います。
【問】足立区医療的ケア児災害時サポートブックが昨年7月に作成をされました。現在の中身のままでは、在宅時に限定した対策にしかなりません。事業者からは、いつどこで被災をしても安心できるよう、教育機関や福祉施設の情報も掲載するべきといった要望が出ています。また、デジタル化とし、当事者が管理するのではなく、事業者が中心となって管理・運用でき、情報の更新が必要な時にはクラウド上で変更作業が出来るようにすることが重要であるとのご指摘があります。①行政②事業者③医療的ケア児者センターが作成し、それに事業者等の関係者へ意見を聞くことを頻回(半年に一度くらい)に行うことを制度化するなどし、チェック機能を強化して相補すべきと考えます。これを制度化し、ルール化してしまうのは如何でしょうか。
以上の点を踏まえて、作り直し、もしくは新規で早急に作成をすることを強く要望致します。区の見解を伺います。
【福祉部長:答弁】
医療的ケア児災害時サポートブックの作り直しについてですが、このサポートブックは医療的ケア児とそのご家族が大規模災害時に避難所に避難した際に支援を受けられるよう作成したものです。外出先で被災した時でも安心できるよう、学校や通所先などの関係機関の連絡先を記入する欄も設けてあります。
また、情報のクラウド化につきましては、医療的ケア児等医療情報共有システム(MEIS)が稼働しており、ご本人やご家族が医療的ケア児等本人の医療情報を登録し、医療機関が医療情報項目の確認を行い、緊急時や大規模災害時に救急隊員や緊急時に対応する意思が情報を閲覧できます。
今後、通所支援事業や学校等の関係者が支援情報の入力・医療情報の閲覧が可能となる予定であることから、区としてサポートブックを作り直すことは考えておりません。
<長谷川たかこ議員>
【問】療育支援施設(うめだ・あけぼの学園)が区の第二次避難所になっているにも拘らず、人の生死にかかわる非常用発電・蓄電装置(80人規模)が何年も設置されていない現状がありました。災害特別委員会での私の指摘により、どのように改善され設置されたのか、また今後の設置予定を伺います。
【総合防災対策室長:答弁】
第二次避難所の備蓄について、お答えいたします。委員からのご指摘もあり、うめだ・あけぼの学園へ発電機を配備させて頂きました。今後も各二次避難所となる施設と相談し、施設の備蓄倉庫の大きさに合わせて発電機の配備を進めて参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】第二次避難所における、井戸水を飲料用にするためのフィルター設備の設置や心臓に課題を抱えている子ども達の人数が格段多い施設である第二次避難所指定の施設にAED(自動体外式除細動器)が設置されていません。早急に設置するよう要望致します。また、他の施設においても同様の事例がないよう、早急に点検、整備を求めますが、区の見解を伺います。
【総合防災対策室長:答弁】
フィルター設備の設置についてですが、フィルター設備を設置しても飲料用には水質検査など課題が残る為、フィルター設備の備蓄は行っておらず、飲料水はペットボトルで備蓄を行っております。
AED(自動体外式除細動器)については、災害時における備蓄品ではなく、施設管理者が安全配慮義務の観点から設置することが望ましいと考えますので、現時点では第二次避難所への配備や点検、整備は考えておりません。
<長谷川たかこ議員>
【問】被災した際には、各事業所の療育施設や児童発達支援センターは少人数から100人以上の0歳から6歳までの要支援児の対応をすることとなります。咀嚼・嚥下・偏食など摂食に課題のある子どもも多い状況です。また、鼻や胃や腸から栄養を摂取している経管栄養の子どももいます。
各療育施設からは、流動食を備蓄食料として区が準備することを求める声が上がっています。賞味期限が比較的早く切れてしまう流動食を療育施設等で備蓄できるよう、区として被災用に購入し、配布することを強く要望致します。区の見解を求めます。
【総合防災対策室長:答弁】
流動食の備蓄についてですが、第二次避難所には流動食の配備はしておりませんが、避難所に配慮した避難所には食料として梅粥を配備しております。流動食が特別に必要などの持病をお持ちの方は事前にかかりつけ医とご相談いただき、個別にご持参いただけるよう周知を行っております。
<長谷川たかこ議員>
【問】新たに2023年4月から「こども家庭庁」となり、幼稚園を除き乳幼児への支援が一元化されることとなり、内閣府に設置されることとなりました。しかし、どの様な体制になるのか未だ明確でないところがあります。今の時点で足立区ではどの様な考えで、どの様な議論や準備が行われているのか、伺います。
【政策経営部長:答弁】
「こども家庭庁」設置に伴う議論や準備、考え方についてお答えします。
7月にこども家庭庁の目指す理念等の情報共有を関係所管で行いました。子ども家庭庁が掲げる目的のうち、足立区は保育部門の教育委員会への編入や特定妊婦支援における部を超えた連携体制など、既に先駆けて取り組んでおります。
一方、当区には、若者の審議会への産科や子育て世帯の視点や声を生かした施策づくりなど不足している部分も認識しています。
今後、国からの具体的な方針を踏まえ、最適な体制の構築と施策展開を検討して参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】板橋区や文京区では、医療的ケア児の保護者同士を療育施設事業者や行政担当者がオンラインでつなげて交流会を実施しています。当区においては、足立区重症心身障害児(者)を守る会がありますが、つながっていない方々もいます。保護者同士の交流の場を創出し、つなげる仕組みを行政主導で積極的に構築し、区内で同じ境遇にある家族同士が活発に交流できる仕組みを保護者に提供してもらいたいと要望致しますが、区の見解を伺います。
【福祉部長:答弁】
医療的ケア児の保護者同士の交流の場についてです。足立区重症心身障害児(者)を守る会が保護者の交流・情報共有の場として活動していることから、その活動を区が支援する形で広く展開できないか、守る会と協議を進めて参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】多様化の認知と仲間づくり、支援の連携から必要な在宅ケアとショートレスパイト、年齢ごとに提供できるサービスを構築し、障がい者保護者の働き方の仕組みを構築し、父親、母親の仕事のしやすさや社会とのつながり、本人の幸せを考えた仕組みを検討していく事が喫緊の課題です。今後、駆け足となりますが、成長と共に見えてくる課題をいち早く吸い上げ、事業者との連携を強固にし、必要とされる支援を早急に構築していくことを強く要望致します。区の見解を伺います。
【福祉部長:答弁】
医療的ケア児サービスに関する事業者との連携及び、必要とされる支援の構築についてですが、昨年度実施した実態調査では、今後、利用したいサービスについて一時的な預かり、放課後等ディサービス、外出時の支援、在宅レスパイトが上位となっています。引き続き、事業者、医療的ケア児ネットワーク協議会や保護者等の相談から必要なニーズを把握し、必要な支援が提供できるよう努めて参ります。