予算特別委員会の内容⑤【デマンドタクシーの導入について】
交通過疎地対策として、入谷・鹿浜地区におけるデマンドタクシーの実証実験が今年の6月より行われる予定です。当初、全員協議会で近藤やよい区長より、タクシー会社僅か1社しか手が挙がっておらず、最低3社手が挙がらなければこの実証実験は流れてしまう恐れがあるといった発言がございました。このお言葉から私も大変危惧致しました。
そこで、この実証実験を何としても成功させるため、入谷地域のタクシー会社に私も積極的に声をかけさせて頂き、事業所で役所からの詳細なご説明をお聞かせ頂きました。
この実証実験が区民の足として確実に利用されるためには、実証実験の概要を変えていかなければならないいくつかの課題があります。そこで、私から政策提言を致しました。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
【デマンドタクシーの導入について】
○長谷川たかこ委員: 実証実験における概要としては、入谷・鹿浜地区において利用したい人が利用したいときに予約をし、自宅から共通乗降場まで活用できるデマンド交通となります。
対象者は足立区に住民登録があり、事前に利用者登録を行った者であり、中学生以下は保護者同伴で乗車可能となります。つまり、区内に住民票があれば、入谷・鹿浜地区に居住する全ての方々が利用できることになります。対象者である方々に対し、様々なニーズがあることを予め把握しておく必要があります。
現在のタクシーはコロナ禍の影響でタクシーの台数が極端に減っており、入谷・鹿浜地域の近隣駅に留まっているタクシーは1社につき2~3台のみとなっています。昨年末の議会で、私は東京女子医科大学附属足立医療センターにおける、待合タクシーの是正について発言しました。現在、東京女子医科大学附属足立医療センターのタクシープールにおいても常にタクシーがなく、多くの患者さんが大変困っている状況です。
入谷・鹿浜地区のタクシー会社のヒアリングによると現在はどこの会社も1社につき2~3台しか入谷・鹿浜地域内最寄り駅にタクシーが配備されていないとの事です。つまり、3社手を挙げていると言っても、実際に稼働できる台数は9台のみとなります。
入谷地域3847名鹿浜地域8025名の11872名を対象にしたこの事業は、実証実験としてタクシーの台数がそもそも少なすぎると事業者よりご指摘がありました。
6月施行開始であれば、この3か月でさらに協力して頂けるタクシー会社を増やし、実証実験として成功しうるだけの台数を揃えておかなければ、利用したい方が利用したいときに予約をすることは不可能であろうとのご指摘です。残り3か月の間に、さらに輪を広げ、再度、タクシー事業者の協力を頂けるよう区として、タクシー会社に再度の協力要請をお願いしたいと思います。区の見解を伺います。
○交通対策課長:長谷川委員の御発言のとおり、そうした御意見もいただきました。しかしながら、今回の社会実験につきましては、もう昨年の春先から地域のタクシー事業者にもいろいろとヒアリングをさせていただいて、当日予約がいい、あるいは前日までにしてほしい、また、前日の場合には対応できないとか、その予約の時間の前時間にタクシーの運転士が待たなきゃいけ ないとか、そうしたことがいろいろとやっぱりあって、最終的に、今回のように当日の利用する前に電話で予約いただくという形になりました。
そうした中で、今3社、応募いただいておりまして、長谷川委員の御紹介いただいたところまで合わせると4社ということになるかと思うんですね。一応想定している利用台数、利用者に対応できるというふうには考えておるとこでございます。
○長谷川たかこ委員: どれだけの人たちが利用するかというのが未知数なので見えてきませんけれど も、ただ、先ほどの御答弁のように、高齢者や小さなお子さんがいる親子連れの方々を想定すると、それでも3社で9台、もしくは4社になったとしても12台で本当に足りるのかという点で懸念しております。
既に北区においては国の補助金を活用し、要介護、要支援認定者と障害のある方はワクチン接種会場へのタクシーでの移動支援を全額無料で行っています。さらに、荒川区では、高齢者や障がい者、妊娠中の方、乳幼児を連れた方、またはその他の特定の状況にある方々が、必要な場合に無料でタクシーを利用できるようになっています。
それぞれの区では、利用したい方には前日までに予約をしてもらうシステムです。
その際、事業者から事前予約の為の料金は発生しないシステムとなっています。
今回の実証実験では、利用者は概ね20分から30分前までに利用予約することとなっています。しかし、事業者のヒアリングでは、どこの会社も近隣駅に留まっている車が無線を受けてから現場に行くので、20分前では到底間に合わないとのお話です。そして区が利用回数8回までとおっしゃっていますが、これも事業者に対する説明の段階では、性善説に添って行うので区として区民の利用回数までは把握できないとのお話がありました。
ご説明を受けた事業者からは、この実証実験を本気で成功させるためには、以下の点を改善させる必要があるとご指摘を頂きました。
- 利用される方にご不便をかけさせないために、利用する前日若しくは早朝までに事前予約を取り、各事業所に一斉に流してもらうのが良いとの話です。その為には、今、想定しているやり方を見直し、窓口を足立区で一本化し、事前予約では会社ごとに別料金を取らないことを予め締結する。無料のみの事業者に参画をしてもらう。
- 利用回数8回を性善説に立って行うと言っても、忘れてしまう方々が続出したり、故意で回数を破ってしまう方もいるであろうとの事。そこで、区民の大切な税金がどんぶり勘定にならないようにするためにも、先ずは予約を受け付ける窓口を役所が担うことで利用者の回数も管理する事が出来る。
以上のご指摘を頂いております。今の枠組みで走らせることについてもこちらの事業者は協力をしますとのこと。社長自ら知り合いのタクシー会社に協力をしてもらえるよう声を沢山かけていくとのお言葉も頂いております。交通過疎地にある方々のために、この実証実験を成功させ、次につなげ、交通過疎地を少しでも減らし、区民の利便性をあげていくことが必要です。このご指摘を糧にし、より良い事業へと進めることが求められます。
再度の御回答いただけますでしょうか。
○交通対策課長: 私も同席させていただいて、いろいろと御意見を伺いました。
その中で、前日予約というお話も伺ったところではあるんですけれども、先ほどの答弁になるんですけれども、前日予約の場合には対応しかねるという事業者も幾つかございましたので、今回は当日でやらせていただきたいということで考えております。
また、8回の回数につきましても、先ほど別の方あったんですけれども、アプリ等の開発等も含めて、そういうことにも対応できるようにしてい きたいというふうには考えております。 随時、事業を進めながら、その中で改善についても検討を進めていきたいというに考えております。
○長谷川たかこ委員: 今回、社長自らお声掛けをするとの話はありました。今後、この事業に協力して頂けるタクシー会社がほか多数手を挙げた場合はどうされますか。
○交通対策課長: 私どももある程度この地域の事業者にはお声掛けを先にさせていただいております し、年明けにもまた再度確認をさせていただいておりますので、そこでは、やっぱり今回3社手を挙げていただいたんですけれども、それ以外のところはなかなか難しい状況で、長谷川委員の御紹介いただいた事業者が参加いただいて4社になるのかなというふうに考えているところでございます。
○長谷川たかこ委員: 事業所の社長の話によるとこの案件を知らなかったということが発覚しております。役所が営業に回った際に、現場の所長が現場判断、所長裁量で決めてしまい、社長まで話が上がっていなかったという実態がありました。
足立区の新規事業を知らないトップの方がいるに違いないと私の知り合いの社長がおっしゃっていました。だからトップ同士でお話しますよという話が出ております。如何ですか。
○交通対策課長: お話は大変ありがたいことなんですけれども、まだちょっと確認もさせていただきたいと思うんですけれども、社長様のお話で、どこの事業者が参加いただけるということであれば、 早急に対応はさせていただきたいと思うんですけれども、どうなのかなというのは、ちょっと。
○長谷川たかこ委員 :この実証実験、やはり運行する台数が極めて重要になると思うので、声を上げて協力をしていただける会社がほかにもあるのであれば、 是非、参画をしていただけるようにして頂きたいと思います。
また、様々な客層がいることを考慮し、運賃メーター2000円以上となっている枠を3500円までと上限を決めることが必要であると思われます。例えば、商業施設に移動した場合、お買い物をした際の帰りの足がなければ大変不便です。その際に、利用者が商業施設内でタクシーに待っていて欲しいと思うのは当たり前のことです。ましてや台数が少なく、帰りのタクシーが万が一予約しても来ないとなると、再度の利用は見込めません。しかし、行き帰りの送迎と買い物中のタクシーの待ち時間を含めるとタクシー料金は4000円から5000円となります。そこで、上限の運賃を3500円までと決めて、買い物中の待ち時間と帰りの代金を自腹にすれば解消します。このような手法をとり、帰りの足も確実に確保できる利用方法も盛り込むべきと考えます。区の見解を伺います。
○交通対策課長: 今、入谷と鹿浜の地域の一番遠いところで、大体2800円ぐらいの費用になるかというふうに考えているところで、私どものお金の計算でも、それを基にして計算しているところでございます。
また、買物のときにそこで待っていただくというのはちょっと、それは運転士の負担にもなりますし、今回の場合には、そこ1回精算していただいて、もしそれで利用をしたいということであれば、改めて呼んでいただく、あるいは、普通のタクシーを利用いただくということで対応いただきたいというふうに考えているとこでございます。
○長谷川たかこ委員 :そういうことをきちんと冊子などに啓発しないといけないと思います。 世田谷区や大田区ではすでにデマンド交通の実証実験が行われています。乗車率が徐々に上向いているそうですが、これらの区では区報などの周知に加えて、町会自治会の掲示板にチラシを掲載し、さらに乗降地点や沿線の各家庭や地域でのイベントに職員が出向いてポスターやチラシを配布するなどした継続的な周知を図っているそうです。
入谷・鹿浜地域に住む多くの方々にご利用してもらうためにも、このような周知啓発を徹底的に行うことを強く要望致します。他区ではそれが成功事例としてあるので、是非、足立区も模倣して頂きたいと思います。如何でしょうか。
○交通対策課長: 利用ガイドの方、全戸ということで2万5000戸に配布をさせていただく予定でございます。 また、登録会の方についても、しっかりやらせていただきたい、そこでもPRしていきたいというふうに考えております。
○長谷川たかこ委員: 今回は全世代を対象にした実証実験であり、世代ごとの利用行動を探る社会実験でもあります。将来的には、対象者を選定し、バスの運行を圧迫しないよう、バランスよく利用されるものにしていかなくてはなりません。将来的には、利用層を絞り、例えば、バスを利用するのも不便な交通過疎地の方々は勿論のことベビーカーを利用する未就学児がいるご家庭だったり、身体の障がいなどによってバスが利用できない交通弱者の方々の足となり得る支援事業を強力に推し進めて頂きたいと強く要望致します。如何でしょうか。
○交通対策課長: 社会実験を実施しながら、その中で調査、あるいはアンケート等も実施させていただきたいと思っておりますので、そういったところの把握に努めていきたいと思います。
○長谷川たかこ委員:今回、予め区が行った地域限定の区民アンケートでは、キャッシュレス決済やアプリで申し込みの要望もあったと聞いています。今後、キャッシュレス決済やアプリでの予約が出来るようシステムを構築し、利便性の高いデマンドタクシーとなることを望みます。如何でしょうか。
○交通対策課長: 私どももそうした方向性は同じで ございます。
○長谷川たかこ委員: デマンドタクシー利用者ガイドを4月に印刷し、5月に入谷・鹿浜地区全戸配布となります。月の補正予算にも160万円計上されています。6月の実証実験に向けて、駆け足です。何度も申しますが、この実証実験を成功させることで、足立区全体の交通過疎地支援事業の強化につながる大切な事業です。
区長を筆頭にして改善点を早急に整理し、見直し、6月までに是正できるものは是正し、区民の税金が有効に使われ、次の施策に生きる実証実験になることを望みます。
区長はじめ、執行機関の皆さまと私も心ひとつにし、タクシー事業者さんとのヒアリング、そして幅広く区民の皆さまのご意見を集めながら、ニーズの把握に努め、更なる施策を提案して参ります。区長の意気込みと見解をお伺いさせていただきます。
○区長: とにかく始めてみないと、どの程度の方に御利用いただけるか、未知数でございます。 そうは言っても、ほかの地域にも拡大した事業と考えておりますので、修正を重ねながら、少しでも利用者が伸びるような制度にできるよう目配りをしてまいります。
○長谷川たかこ委員: 私も区長と同じ思いでおります。私も様々な施策を提案させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。