代表質問の内容②【全ての人が安心して暮らせる、みんなにやさしいまちづくり】
視覚障がいがあっても、車いすの方であっても、介助者を必要とせずにひとりで普通に歩きたいという人達を応援する社会として、「全ての人が安心して暮らしやすい足立区のまちづくり」を目指すために、『当事者の声を反映した街づくり』を第1回足立区議会定例会で政策提案を致しました。
先ずはその受け皿としての公共インフラの整備の一環として、早速、8月に足立区役所本庁舎ロータリーのバス・タクシー乗降場から中央館総合案内及び北館案内付近までの経路にコード化点字ブロックを敷設して頂きました。区の執行機関の皆様におかれましては、ご理解をいただき、迅速なご対応をありがとうございます。
点字ブロックは視覚障がい者が安全に歩くために必要な「物理的なバリアフリーインフラ」ですが、残念ながら、それだけでは、視覚障がい者の方は自分の行きたい所へ行くことができません。何故なら、注意喚起ブロックの分岐部分で、前方や左右に何があるのか情報がないからです。そこで、従来の点字ブロックに、周辺の音声情報を聞く「情報バリアフリー」の機能を付加し、バリアフリーインフラとして完結させる必要があります。8月に設置した「コード化点字ブロックによる音声案内サービス」は、まさにこの情報バリアフリー機能を有する新しいデジタル技術を駆使したシステムです。これにより「介助者なしでも一人で普通に歩いてみる」ことができます。
分岐点の既存の注意喚起点字ブロックに、コードを生成する簡易なマークを接着し、専用アプリをインストールしてスマートフォンのカメラでマークを読み取り、その現在地や周辺情報、方向方面情報等を、進行方向に応じて音声で案内を聞くことができます。例えば、「ここは、足立区役所バスロータリーと中央館方面へのT字路の分岐点です。前方は、中央館の出入口方面です。右は、5番北千住駅行きバス乗場、タクシー乗場方面です。左は、北館出入口、1番から4番のバス乗場方面です」と音声が流れます。当事者の方からは、「自分がどこにいるかイメージできる」「一人で外出する勇気が湧いてくる」との声がありました。
このシステムは、金沢工業大学の松井くにお研究室と、東京のW&Mシステムズ合同会社が共同開発したもので、開発チームは、目が不自由でも点字ブロックから情報を得られることで安心して歩ける社会の実現を目指しています。また、多言語対応により、外国人や観光客の利用も目指しているそうです。コード化点字ブロックは、2019年に金沢市で初めて導入され、その後、東京や大阪を含む全国10都府県の駅、歩道、公的機関などに設置が進んでいます(2025年4月時点)。都内では、品川区、世田谷区、杉並区、府中市等の公共施設やその周辺歩道、バスターミナルで設置されています。
※※※※※※以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。※※※※※
☆【全ての人が安心して暮らせる、みんなにやさしいまちづくり】
【長谷川たかこ】
【問】今回の提案のように、視覚障がい者が自分の行きたい所へ自由に行けない状況を改善していくことは、障がい者への差別解消や権利保障の観点からも極めて重要な取り組みです。障がい者差別解消法が改正され、障がい者への合理的配慮が義務化される中で、いまだに健常者の当たり前がほとんどできていない視覚障がい者への真に効果的なバリアフリーへの取組みが急務となる中、従来型のハードの環境整備中心のバリアフリー施策から脱却し、足立区が率先して、従来型の物理的バリアフリーインフラと情報バリアフリーインフラとを一体化した「視覚障がい者のトータルバリアフリーモデル」を構築することを強く要望致します。区の見解を求めます。
【都市建設部長】
私からは、「全てに人が安心して暮らせる、みんなに優しいまちづくり」のうち、初めに「視覚障しょう者のトータルバリアフルーモデル」を構築すべきとのご質問にお答え致します。
これまでのバリアフリー施策は、点字ブロックの設置や段差解消などの物理的なバリアフリーの取り組みが中心となっておりました。しかし、現在は情報通信技術の進歩に伴い、様々な音声案内システムが出ております。今年度、情報バリアフリーの取り組みの一つである「コード化点字ブロック」の実証実験を行います。今後は、この音声案内システムの検証を進めるとともに、物理的バリアフリーと情報バリアフリーが一体化した「視覚障がい者のトータルバリアフリーモデル」の構築について、調査・研究を進めて参ります。
【長谷川たかこ】
【問】庁内関連部署との連携をさらに深めながら、ハード・ソフト両面からユニバーサルデザインに配慮された誰も取り残さないまちづくりを強力に推進し、将来的には、足立区全域でコード化点字ブロック等による情報バリアフリーインフラを構築すべきです。音声情報案内技術による生活、観光、防災等の積極的に取り入れ、情報提供の可能性について実証実験を早急にすべきと考えます。区の見解を求めます。
【都市建設部長】
次に、足立区全域でコード化点字ブロック等による情報バリアフリーインフラを構築し、音声案内技術による生活、観光、防災等の情報提供の可能性について実証実験を早急にすべきとのご質問にお答え致します。
コード化点字ブロックについては、庁内の各関係部署と連携して、実証実験を通じて音声案内の有効性や課題等について検証して参ります。また、足立区全域への展開等については、その検証結果を踏まえ、判断して参ります。
【長谷川たかこ】
【問】さらに、障がい者支援とその理解を促す学びの導入について、提案を致します。日常生活の中で、街中で障がいをお持ちの方に対し、どのように支援をしていくことが出来るか、子ども達も知識を得ることが重要です。
子どもの頃から学校教育の中で、例えば、常日頃単独で外出する視覚障がい者の方々への手助けの仕方をどのように行うことが最善か、学ぶ授業を積極的に導入して頂きたいと思います。しかし、ただ受け身の授業ではなく、子ども達が気づきを得る事が出来る授業を展開する事が重要です。障がいをお持ちの方と共に気がついたことから考える授業を是非とも取り入れて頂きたいと強く要望致します。区の見解を求めます。
【教育指導部長】
私からは、障がい者支援とその理解を促す学びの導入や障がいのある方と共に考える授業に関するご質問についてお答え致します。
現在、例えば、小学校では、第3学年社会科において、様々な施設に設置される障がい者用の駐車場やバリアフリートイレ等を学んでいます。また、中学校では花畑学園の生徒と交流をすることで障がいについて共に理解を深めるなどの学習を実施しており、生徒達から「日常生活において様々なバリアがあり、そのバリアを無くしていくことが大切である」という気づきの報告を受けております。今後こうした活動の良さを広く区内小中学校に展開することで、支援の仕方を考えたり、実践から気づいたことを意見交換したりしながら自ら学ぶ授業を推進して参ります。
【長谷川たかこ】
【問】また、大人に対しても、積極的な学びの講座を開設して頂きたいと要望致します。例えば、日頃、単独歩行している視覚障がいをお持ちで社会問題に気がついている当事者を招き、足立区内でセミナーや勉強会を開催し、具体的な方法論や気づきを深めるような取り組みを行うことを強く要望致します。区の見解を求めます。
【福祉部長】
私からは初めに、視覚障がいの方への具体的な方法論や気づきを深めるため、セミナー等の開催についてのご質問にお答え致します。
区と致しましても、視覚障がいについて幅広い層に理解を深める取り組みは必要だと考えております。そうした学びの一環として、今年11月末に開催予定の足立区障がい者週間記念事業においてデジタル技術を活用し、視覚障がいの方が音や感覚だけで電子機器を操作する競技(eスポーツ)についてもトークイベントを予定しています。
引き続き、具体的な気づきや学びを得られるような、セミナー等を行って参ります。