決算特別委員会の内容⑤:【有効ないじめ対策について】
【長谷川たかこ】
いじめ被害者が救われていない現状が少なからずここ何年も生じている中で、「いじめ防止対策推進法」と「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の遵守、いじめの未然防止教育を徹底させることが急務です。
文部科学省の調査では、いじめ認知件数や不登校者数は増加の一途を辿っています。文部科学省の2020年度「不登校児童生徒の実態調査」では、不登校児童生徒の内の約25%が、「不登校のきっかけは、いやがらせや、いじめ」と回答しています。いじめ被害者には、登校できない、登校しても学級に入れない、時には、命を失うなど、悪影響がでます。また、いじめ加害者が24歳までに犯罪者になる確率は、いじめ加害者ではない子どもの6倍という研究もあります。このように、いじめの問題は、由々しき問題です。
その様な中で、足立区の「いじめの重大事態の調査」は、国の求めている調査に本当に準じているのかという疑問をお持ちの専門家がおります。
「いじめ防止対策推進法」(以下、法と記す)では、いじめに関しては、学校の設置者(教育委員会)に責任がある(法7条)、学校に責任がある(法8条)、と記載されており、いじめの重大事態が発生した場合は、「学校や教育委員会が行ってきた教育に問題はなかったか」も調査されます。ですから、第三者的な構成による「第三者調査委員会」による調査をすることとされています。しかし、重大事態の発生を把握していながらも第3者的な調査委員会を設置しない事例があり問題があるのではないかという見解を示されております。
【問】令和6年度、足立区の不登校者数は、1542名。この中の何名が「いじめ被害者」であるかは不明ですが、学校や教育委員会が遵守しなければいけない法律が、「いじめ防止対策推進法第23条4項」です。
そこには、以下のように書かれています。
『学校は、いじめを受けた児童・生徒が安心して教育を受けられるようにするために、いじめを行った児童・生徒は、いじめを受けた児童・生徒が使用する教室以外の場所で学習を行わせる措置を講ぜよ。』
つまり、「いじめ被害者の教育を受ける権利を守るために、いじめ行為をした者を、教室以外の場所で指導を」と書かれているのです。しかし、被害者が別室学習を行うことはよく聞きおよびますが、いじめ加害者が別室で学習を受けている、という話は確認されておりません。
いじめ対策を抜本的に行い、いじめを根絶させるためには、「いじめ防止対策推進法」と「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を遵守し、いじめの未然防止教育を強く進めていくことが急務です。
いじめ加害者には罪の意識が薄く、被害を受けている児童や兄弟、その家族・保護者が精神的に追い込まれ、心身共に不調を訴えているご家族が現に居り、1件のみならず何件も毎年のようにご相談があります。そして今、この時間、この段階でも、いじめで苦しんでいる保護者、その被害者である小学生の児童達が私に助けて欲しいと痛切なお訴えを発している状況です。すぐにでも、私たちは、駆け足でこのいじめの重大事態を解決すべく、取り組まないと時間的に間に合いません。被害者は小学6年生。すぐにでも助けてあげなくてはいけない児童が目の前にいます。
このことを踏まえ、区教育委員会として「いじめ防止対策推進法第23条4項」を踏まえ、学校は、いじめを受けた児童・生徒が安心して教育を受けられるようにするためにも、先ずは、いじめを行った児童・生徒をいじめを受けた児童・生徒が使用する教室以外の場所で学習を行わせる措置を講じていただきたいと強く要望致します。区の見解を求めます。
【教育指導課長】
いじめが発生した場合につきましては、双方ともに距離を取るという、そういう対応を取ることもございます。いじめをされた側だけではなくて、いじめをした側についても、教室以外で学習させた上で、一定の解決がされた上で教室に戻すという対応も取っているところでございます。 ですので、御指摘のとおり、いじめをした側が教室でずっと教育を受けなきゃいけないということではなくて、別の教室でしばらく教育を受けて戻すという対応も可能でございますので、各事案を適切に判断しながら対応してまいりたいと思います。以上です。
【長谷川たかこ】
【問】今までそういうような事案は なかった足立区ですので、今、指導課長からお話がありましたので、是非ともそういう部分も含めながら、どういうふうに解決していけばいいのか ということを早急に御検討し具現化していただきたいと思っております。いじめに関しては、「雨降って地固まる」はありません。一刻も早く、いじめが起きにくい環境を作り、子ども達が安心して通える学校にすることが必要です。
寝屋川市では、「いじめ解決のための組織」体制を構築しています。
寝屋川市では、教育的な指導による人間関係の再構築を目的とした教育的アプローチといじめを人権問題として捉え、被害者と加害者の概念を用いたいじめを即時に停止させる行政的アプローチを確立させた支援対策を行うことで子ども達や保護者の方が望む形での解決が選択でき、いじめの早期解決と抑止が図られています。寝屋川市の監察課をすぐにでも区長部局で視察 に行き、足立区においても同様の支援事業を行う よう強く要望いたします。区の見解を求めます。
【教育指導部長】
寝屋川市の事例を私も認識しております。教育委員会から独立した組織ということで、その第三者性も含めて、一定の効果ある取組かと思っておりますが、教育委員会として、そういった組織を設けることは責任放棄にもつながると思いますので、私の方でできることとすれば、 今、教育指導課は、学校に寄り添いながらいじめ対応しておりますけれども、そういった意味では、学校に寄り添いながら指導する立場でありますので、第三者性というところでは課題があると思います。例えば、教育委員会の中で教育指導課から切り離した専管組織を設けるですとか考えられるとは思いますが、先日も話題になっている管 理職不足といった話もありますので、何ができるのか研究してまいりたいと考えております。
【長谷川たかこ】
そうですね。私も管理職不足18名足りないというところ、とてもどうしたら いいのかと、重大な課題として認識しております。それについては来週の火曜日に私も提言させていただきたいと思っておりますけれども。でも、教育委員会の方で責任放棄になるというふうに私は考えておりません。今まで毎年、たくさんの児童、そしてその保護者たちが悩み苦しんでいて、どうしても解決できないという事案を私は目の当たりにし、いろいろと提言させていただいておりますけれども、なかなか解決に至らない状況なので、是非とも先進的に行っている寝屋川の監察課、これについては、区長部局で視察に行っていただいて、足立区としてどういうふうなことができるのか、このいじめ重大事態に関する、 このいじめの課題解決に向けた建設的な議論をもっと深く追求していただきたいと思っておりますので、教育長含め、是非ともお考えを示していた だきたいと思います。
【教育長】
まず、寝屋川の事例についてはしっかりと研究させていただいた上で、そういった組織の設置の在り方は、足立区やっぱり独自で考えた方がいいと思いますので、その上で結論を出していきたいと思います。まずは調査をさせていただきたいと思います。
【長谷川たかこ】
今、教育長から調査をしていただけるというお話いただきましたので、区長部 局の方で是非とも視察に行っていただき、それを文教委員会でも御報告いただきたいと思います。 大切な未来ある子どもたちを守るためにも、いじめ被害者が不登校にならないための支援を行い、 いじめが原因の不登校はゼロにすることを強く要望いたします。