平成30年3月9日予算特別委員会の内容⑦【産後ケアについて】
多くの人たちは出産=ゴールと思われがちな出産イベント。
しかし、出産直後から始まる育児までを含めたものが出産イベントです。
ママのお腹に赤ちゃんが宿った時から育児は始まり、赤ちゃんが産まれた瞬間からお母さんだけでなく、家族での育児が始まります。
産後ケアハウスの良い点は、お母さんだけの育児ではなく、家族も一緒に育児ができるように指導をして下さるところです。 一人ひとりが抱える悩みや不安にケアプランを作り、帰宅後の母乳外来の受診の際でも相談を引き続きしながら看護師や助産師が常に寄り添いながら対応をしてくれます。
出産後のお母さんは、全治1か月の重傷を負った体で、たった4~5日間の入院後、疲労困ぱいした身体で自宅に戻り、赤ちゃんのお世話や家事や複数子どもがいればそのすべてをまかなっていかなくてはなりません。1か月健診までの期間、いかにお母さんをケアできるか、28日間がボーダーラインです。疲労困ぱいで育児手法があいまいな状態では、退院後、お母さんは不安が憎悪し、産後鬱発祥の原因となります。 国では、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率を現在1.4%から1.8%にする目標時期を2025年度としています。
現在、女性も男女雇用均等法によって社会で活躍するようになり、第1子を出産する年齢層が高くなりました。就労構造の変化とそれに伴う出産年齢が高齢化し核家族化が進行する中で、地域の関係性が希薄化となり、昔のような出産・子育てに対する考え方と出産後の母親を取り巻く環境が著しく変化しています。そして、大学病院・総合病院に分娩が集中し、産科医の減少により産科施設も減少しています。 このような社会構造の中で、産後の女性が心身の健康を取り戻すためにも産後ケアハウスは大変重要な役割を担っています。
産後うつや虐待の防止、そして夫婦のパートナーシップの在り方や兄弟・姉妹と赤ちゃんとの関係性を築く場として、産後ケアに比重を置くことの重要性を検討して行くべきです。 産後直後からのケアを厚くし、出産はゴールではなく、直後から始まる育児も重要であり、支援して行くものという意識を各自治体で取り組むべき課題であると考えます。 結婚して子どもを産み育てる中で「もう一人産みたい!」と思える環境を整備することが必要です。その為には、産後ケアハウスはオプションや贅沢なケアではなく、介護や保育園と同レベルの施策として、この足立区でも積極的に導入し構築すべきものと考えます。 産後のお母さんたちにとって必要不可欠なケアとして、子育て支援施策の中で大変優先順位の高いものであることは、間違いありません。 私自身の子育ての経験を活かしながら、足立区に住む全てのお母さんたちが「子育てが楽しい、もう一人産みたい」と心から思える育児支援施策の取組みをこの足立区から全力で進めていきたいと思います。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
☆「産後ケア」について
<長谷川たかこ委員>
産後ケアについて伺います。
赤ちゃんとお母さんを取り巻く環境は昔と違っています。核家族化と晩婚化が進む中で、孤立化しています。産後のお母さんが、心身を休めて安心してゆったりと育児技術を身に付けることができ、出産後も自信を持って家庭での育児に臨める環境をこの足立区でも構築することが急務です。
行政がその支援を構築することで、妊婦となった時点から地域での身近な相談と支援の機会を受けることができます。それがネウボラ事業でもあります。ネウボラ事業を推進し、区役所などの相談機関、支援機関を充実させ、医療機関など関係機関との連携強化を是非とも図っていただきたいと思います。妊娠から出産、育児への切れ目のない支援は、お母さんを一人にさせない孤立化の防止と児童虐待を予防することにつながります。
私が、一昨年に利用しました綾瀬産後ケアハウスでは、授乳や沐浴の仕方、お母さんの体の産後のケアなどをお母さんが帰宅後に自宅で不安なく育児ができるよう、出産後のお母さんや赤ちゃん、そして家族に対する全面的なサポートをしていただきました。多くの人たちが出産イコール、ゴールと思われがちな出産イベントですが、是非とも出産直後から始まる育児までを出産イベントと考えていただきたいと思います。お母さんのおなかに赤ちゃんが宿ったときから育児は始まり、赤ちゃんが生まれた瞬間からお母さんだけでなく、家族の育児が始まります。産後ケアハウスの良い点は、お母さんだけの育児ではなく、家族も一緒に育児ができるように指導してくださるところです。一人ひとりが抱える悩みや不安にケアプランをつくり、帰宅後の母乳外来の受診の際でも、相談を引き続きしながら、看護師や助産師が常に寄り添いながら、対応していただきます。利用した当事者である私から言えることですけれども、この綾瀬産後ケアハウスでは、スタッフ全員が全力をもって対応していただきました。
一般的に出産までがゴールだと考えがちですが、出産後のお母さんは、全治1カ月の重傷を負った体で、たった四、五日間の入院後、疲労困憊した体で自宅に戻り、赤ちゃんのお世話や、家事や複数子どもがいればその全てを賄っていかなくてはなりません。出産後の育児は、本当に大変です。24時間、2~3時間ごとの授乳やおむつがえ、夜もぐっすりと眠れない状況の中で、私はお母さんになったのだから頑張らなきゃと体にむちを打ちながら頑張る日々、気持ちが張り詰めた状態の中で毎日毎日同じことを繰り返しながら、体を休めることができません。
あわせて、上の子どもたちの面倒を見たり食事をつくったり、洗濯物も山のように出て疲労困憊の日々、一生懸命おっぱいをあげたのに赤ちゃんは寝ない、ワアワア泣く、おっぱいが痛くなってきたけれども赤ちゃんが寝てしまって、なかなかタイミングが合わないなど、出産後に帰宅してから疲労困憊し子育てを楽しいと思えない、自宅に戻ってから多くの悩みを抱えているお母さんたちはたくさんいます。そしてそれを解消できる場がないのが現状です。
産後ケアハウスで行ったアンケートでは、自宅に戻ってからのお母さんの生の声として、産後すぐに始まる育児が、こんなに大変だと思わなかった、誰も教えてくれなかったという声が上がっているそうです。そしてげっそりとして、SOSを訴えられて、綾瀬産後ケアハウスに来られるお母さんもいるとおっしゃっていました。
産後ケアハウスの検証では、1カ月健診までの期間、いかにお母さんをケアできるか、28日間がボーダーラインだとおっしゃっていました。疲労こんぱいで育児手法が曖昧な状態では、退院後お母さんは不安が憎悪し、産後うつ発症の原因となります。
あのお母さん、もう少し育児の練習が必要なはずなのに、家に帰ってもできるのか心配、でも他の業務があるから付き添いたいけど時間がない、お母さん結構疲れているな、大丈夫かな、看護師たちがそのように感じても病院では分娩の他にも多くの業務を抱えているため、母子のフォローが追いつかない状況となっているそうです。
国では一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率を現在、1.4%から1.8%にする目標時期を2025年度としています。
現在、女性も男女雇用均等法によって社会で活躍するようになり、第一子を出産する年齢層が高くなりました。就労構造の変化と、それに伴う出産年齢が高齢化し、核家族化が進行する中で、地域の関係性が希薄化となり、昔のような出産子育てに対する考え方と、出産後の母親を取り巻く環境が著しく変化しています。そして大学病院、総合病院に分娩が集中し、産科医の減少により産科施設も減少しています。
このような社会構造の中で、産後の女性が心身の健康を取り戻すために、産後ケアハウスは大変重要な役割を担っています。産後うつや虐待の防止、そして夫婦のパートナーシップの在り方や兄弟姉妹と赤ちゃんとの関係性を築く場として、産後ケアに比重を置くこの重要性を検討していくべきと考えます。産後直後からのケアを厚くし、出産はゴールではなく直後から始まる育児も重要であり、支援していくものという認識をこの足立区でも取り組むべき課題だと私は考えております。
是非ともこの足立区においても、隣接する産後ケアハウスに対して国や東京都の補助金を導入して、区民が低価格で利用できるように補助金を交付していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
【保健予防課長】
産後ケア事業につきましては、平成26年度に医師会等と導入に関して検討を行いましたが、区内において産後ケアを提供できる施設はないとの結論に至っております。
このようなことから、区といたしましては、現在、産後ケアを受けられる区外施設の情報をホームページに掲載するなど、区民の方への情報提供に努めているところです。
区外施設の利用の際の補助につきましては、利用が一部の区民に限定されることが予想され、公平性の観点や財政面などから、現在のところ考えておりません。
<長谷川たかこ委員>
公平性の点と言いましても、行きたい人はその場所に必ず行くと思いますので、その部分は担保されますから大丈夫です。
ちなみに、綾瀬産後ケアハウスは、婦人科の患者のほとんどが足立区民で当区の利用者は約50%ということだそうです。現在、綾瀬産後ケアハウスでは、葛飾区の子育て応援券の利用ができ、北区や荒川区、それから千葉県の我孫子の補助券が利用できるようになりました。今のお話からすると、北区とか荒川区、千葉県の我孫子市等、区が言う公平性の観点などから補助券は出しませんよなんていう理由付けがないわけです。
是非とも、足立区でもこれらの自治体に倣って頂きたいと思います。
葛飾区と足立区は隣接しておりますし、綾瀬駅という立地の面でもとても優れたところにあるわけですから、もう一度再考していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【保健予防課長】
産後ケア自体、大変必要なものというふうには認識しております。
ただ、足立区の現状といたしまして、入院一時金、そういったものも払うことが困難、そういった家庭もいる中、産後ケアに対して補助をした場合、利用するのはやはり一部の財政的に裕福なご家庭に限られることが予想されため、公平性の観点などから導入に関しては現在のところ考えておりません。
<長谷川たかこ委員>
お母さんの母体保護という部分から言いますと、やはり低価格で数千円で利用できるのであれば、それは所得の低い人でも必ず利用されると思いますし、生活保護基準の方はさらに低い額で他区では受けています。足立区として検討できると思いますので、是非考えていただきたいと思います。
今のお話は、贅沢なケアだという認識をしていらっしゃるのでしたら、それは全くの誤解です。
産後ケアハウスというのは贅沢なケアではなく、お母さんたちにとってとても大切なものであり、必要なものだという意識づけをしっかりと持っていただきたいと思います。
お母さんたちが、子育てが楽しい、もう一人産みたいと心から思える、そんな育児支援の施策をこの足立区から是非とも強力に導入していただきたいと思います。