代表質問の内容③【子どもの育つ権利について】
子ども達の発達支援については、足立区においては子ども・子育て会議などで子ども達の課題が議論、検討されています。しかし実際には、専門家からは、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利や合理的配慮が不十分であるといった厳しいご意見が出ている状況です。
諸課題を効率的に解決できる機能強化の構築とその仕組み、また民間事業者に対する財政的な支援の拡充、外国にルーツのある家族への支援も含めて、子どもの育つ権利といった視点での多角的な政策提案を強く求めました。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
☆【子どもの育つ権利について】
<長谷川たかこ>
当区における子ども・子育て会議においては、10%強を占める気になる子ども達の課題が十分に議論・検討されておらず、子どもの権利条約で定められている「育つ権利」「生きる権利」「保護される権利」「参加する権利」といった、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利や合理的配慮が不十分ではないのかといったご指摘が専門家から出ています。
【問】先ず、諸課題を効率的に解決していくためにも、子ども・子育て会議など、それぞれの子どもに係る会議や各専門部会内における構成メンバーにおいて、各々メンバーが持ち得る機能を共有し合い、補完し合える実質的な機能強化を図る仕組みを構築して頂きたいと思いますが、区の見解を伺います。
<杉岡淳子障がい福祉推進室長>
私からは、子どもの育つ権利に関するご質問のうち、気になる子どもたちの諸課題を効率的に解決していくための会議の機能強化についてお答えします。
現在、足立区地域自立支援協議会こども部会では、学識経験者や関係機関、発達支援事業者などにご参加いただき、課題の検討を行っております。また、課題解決に向けては、事例検討を実施し、各メンバーの持ち得る機能を向上させる取り組みを行っております。
引き続き、子どもに係る会議や各専門部会を含め、参加者全員が相互に補完し合えるよう有機的な会議運営を行ってまいります。
<長谷川たかこ>
【問】当区における子ども・子育て会議の構成メンバーに発達支援機関関係者を参画させ、発達に課題のある子ども達に対する視点を持った有識者を構成メンバーとするよう求めますが、区の見解を求めます。
<松野美幸子ども家庭部長>
私からは、まず、子どもの育つ権利のうち、子どもに関わる会議に発達支援に課題のある子どもたちに対する視点を持った有識者をメンバーとするよう求めることについてお答えします。
子ども・子育て会議の役割を担う足立区地域保健福祉推進協議会子ども支援専門部会には、発達障がいに関する専門知識を持った学識経験者に参画していただいております。
子ども支援専門部会は、子ども・子育て支援に関する施策を広く討議しておりますが、更なる議論を要する場合には、必要に応じて関係者の参画を検討いたします。
<長谷川たかこ>
足立区においては約3万4000人もの外国籍の方々がいる中で、多文化傾向が進行している状況です。外国にルーツのある家族への支援も重要です。家族の不適応混乱自体は子どもに多大な影響を及ぼします。特に家族の仕事の都合などにより日本へ移住した子どもが、発達障がい特性があるがゆえに日本の学校で思うように学習が進まず、困難を感じている子どもたちがいることが現実問題として挙げられています。
【問】福祉や医療言語に長けた通訳タブレッドの導入や既存のサービスに国籍関係なく外国人も参加しやすい工夫、例えば母国語で相談できるペアレント・メンター事業や支援サポーター育成などの構築を強く求めますが、区の見解を伺います。
<秋生修一郎地域のちから推進部長>
私からは、外国にルーツのある家族への支援として、通訳タブレットや外国人も参加しやすい工夫についてお答えいたします。
昨年度から区民事務所に加え、衛生部でも専門用語にも対応可能な通訳タブレットを導入しております。また、今年度内には庁内11の課で自動音声翻訳サービスを導入できるよう準備を整えております。今後、導入を検討する所管課へは、情報提供をしてまいります。
次に、国籍に関係なく参加しやすい工夫や外国語で相談できるペアレント・メンター事業や支援サポーターの育成などの場面でも需要が生じておりますので、多言語や、やさしい日本語による事業案内など、事業の担当所管を支援してまいります。
<長谷川たかこ>
昨年10月から始まった幼児教育・保育の無償化で児童発達支援児童も3歳から5歳まで無償化となり、今年4月1日からは早期発見・早期療育を推進するため、足立区独自施策で、3歳児未満においてもさらに無償化となりました。
区の独自施策として行われたこの点については、大変評価をしたいと思います。
【問】今年4月からは、給食費については認可保育所等の全3歳~5歳クラス無償や幼稚園利用者の補助拡大など更なる保護者負担軽減が実施されました。
しかし、児童発達支援事業所に通う児童は給食の無償化となっていません。区としてどのような検討をされたのか、伺います。
今後、将来的に、児童発達支援事業所に通う児童の保護者負担軽減となるよう強く要望致しますが、区の見解を求めます。
<杉岡淳子障がい福祉推進室長>
次に、児童発達支援事業所の給食無償化について一括してお答えします。
認可保育所における3歳児以上の給食無償化の際、合わせて児童発達支援事業所の給食無償化の調査・検討を行いました。
その結果、区内の児童発達支援事業所全てが給食提供しているわけではないこと、給食の形態がまちまちで、一食当たりの給食費の差が大きいことなどが分かりました。 このことから、一律的な給食無償化を行わず、保護者の負担軽減策を最優先し、区独自施策として、3歳児未満の利用料を無償化いたしました。
現在のところ、給食の無償化を行う考えはございませんが、今後も児童発達支援事業所における給食提供の状況把握に努めてまいります。
<長谷川たかこ>
コロナ禍の状況の中で、発達障がい児・者、その家族は地域の中でも特に孤立気味である上にさらに輪をかけた状況となり、その事態が虐待などの深刻化も懸念されるところです。発達支援の視点からも重要な、生活リズムの乱れや発達課題の継続性の視点での支援行動が強く求められます。
当区においては子ども支援センターげんきなどでも相談支援を行っていますが、家族に対する寄り添い支援事業については、薄いと言わざるを得ません。
【問】そこで、発達支援事業者に対し、SNSなどの様々な手段を通じて行われる発達支援児者・その家族に対する語り掛け、話しかけ、コンタクトをとる等の寄り添い・伴奏型支援の働きかけを行うための仕組みを構築するにあたって、財政的な支援を区として行うよう検討を求めますが、区の見解を伺います。
<杉岡淳子障がい福祉推進室長>
次に、児童発達支援事業者へのSNSなどの様々な手段を通じて行われる仕組みを構築するにあたっての財政的な支援についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、国は音声通話、Skypeなどで児童の健康管理や相談支援を行ったときは、通常サービスと同等のサービス提供しているものとして、在宅支援の報酬算定を可能としております。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症収束後も国が在宅支援を報酬算定の対象と認めるかは現時点で不明であり、区としても実施された在宅支援の効果検証やサービス提供の確認方法に課題があると考えております。
このことから、児童発達支援事業所に対するSNSなどの様々な手段を通じて行われる仕組みを構築するにあたっての財政的な支援は考えておりません。