世田谷区のユニバーサルデザイン推進条例
7月9日(水)
先日、世田谷区のユニバーサルデザインについての取り組みの視察を行ったことは、このホームページでもご紹介しました。
視察に行く前に、私なりに「ユニバーサルデザイン」や、世田谷区の取り組みについて勉強して、いくつかの質問を準備しました。
当日、時間の都合で、全てお聞きすることが出来ませんでしたので、後日、改めて世田谷区の担当者の方からご回答をいただきました。
お忙しい中、世田谷区の職員の皆様には、大変感謝いたします。
世田谷区は、従来の「福祉のいえ・まち推進条例」とそれを廃止して新たに施行した「ユニバーサルデザイン推進条例」及び「高齢者、障害者等が安全で安心して利用しやすい建築物に関する条例(バリアフリー建築条例)」を制定しています。
私が、まず気になったのは、同じような目的のための条例が2つに分かれていることについてです。
例えば、国においては、従来の「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」と「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」の統合・発展させた形の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が施行されています。
ひとつのことを行うのに、関連する法律や条例がいくつもあると、その運用や手続きなどが煩雑になる可能性もあります。
区民の皆さんのさまざまな手続きにも言えることですが、なるべく「ワンストップ」の発想で、わかりやすい条例や手続き体系をとることが大切です。
この点に関して、世田谷区からは、次のような回答を頂いています。
頂いたご回答は、とても丁寧で長いものですが、要点をまとめると以下のようになります。
○ハードの部分を整備する「バリアフリー」を取り込み、さらにソフトの部分も
取り入れた整備が「ユニバーサルデザイン」であると考える。
○ユニバーサルデザイン推進条例は、ユニバーサルデザインの理念を全庁的に
推進することを目的にしており、バリアフリー建築条例は建築基準法関係
規定として、特定分野について義務部分を規定しているので、一つにまとめ
ることはできない。
つまり2つの条例は、互いにすみわけが出来ていて、統合することは出来ない。とのことです。
「バリやフリー」や「ユニバーサルデザイン」の考え方は、私とは少し違っていると感じますが、世田谷区の実際の取り組みを見てみると、条例を活用し、区全体で、ユニバーサルデザインを意識した取り組みを行っていることが分かります。
他にも、具体的な条例の中身について、いくつか細かい質問し、回答をいただきました。
条例内で規定している「ユニバーサルデザイン環境整備審議会」や「ユニバーサルデザイン環境整備推進地区」などは、実際に設置や指定がされ、取り組みが進んでいます。
しかし、「推進計画」や「ユニバーサルデザインアドバイザー」などは、具体的な内容が決まっておらず、まだ課題もあるようです。
いろいろ課題なども見えた視察でしたが、先進的な取り組みとして、議論だけでなく、まず動き出す、とにかく行動に移す。という点では、世田谷区は大変にすばらしいと思います。
今後、足立区でも「ユニバーサルデザインと取り入れた街づくり」を進めて行きたいと思いますが、議論だけでなく、「100%完全なものでなくてもいいので、目的に向かって、とにかく1歩踏み出し、あとは運用をしながら修正を加えていく」という発想も改革には大切ということを改めて感じました。