足立区役所内の色覚シミュレーション
先日、12月15日に掲載したの私が代表質問で取り上げた色覚問題の記事で、色覚障害のある方が、どのように見えているかを、バラの画像を使ってシミュレーションしたものをご紹介しました。
実は、代表質問の準備の際に、足立区役所や区民事務所をはじめ、駅、街中など人が多く集まるところを中心に、色覚障害者の見え方を体験できるメガネをかけ、色覚障害の友人と一緒に歩いて、実際にどのような不便を感じているかを疑似体験してきました。
そのときに撮影した区役所内の写真を、先日もご紹介したシミュレーションソフトを使って、加工したものをご紹介します。
課題や工夫が必要な点などが、見えてくると思います。
※色覚障害という名称についてはさまざまな議論があります。本来なら、色覚障害ではなく、「少数派色覚」という言葉が適当だとは思いますが、広く知られ、皆さんに伝わりやすいということで、色覚障害という表現で統一します。
以下で用いる色覚の分類です。今回もP型とD型の方の見え方をシミュレーションしました。
C型: 3色覚の方(日本人男性の95%、女性の99%以上を占めます。一般にいう正常色覚です。オリジナルの画像です。)
P型: 1型2色覚の方(男性の約1.5%)(画像はその中でも強度の方の見え方)
D型: 2型2色覚の方(男性の約3.5%)(画像はその中でも強度の方の見え方)
まず、区役所入り口ロータリーにあった案内板です。
シミュレーションの結果を見ると、地図の中の北館と南館がほとんど同じ色に見え、区別がつきにくいことが分かります。
また、気になるのは、一番上のオリジナルの画像でも、画像内の上の地図内の北館の色と、下の説明の北館の色が色合わせ出来ていないことです。
これでは、色覚障害のある方が見るとますます混乱する原因になってしまいます。
C型(3色覚)の人の見え方 (シミュレーション前の画像)
P型(1型2色覚)の人の見え方
D型(2型2色覚)の人の見え方
次は、区役所内の案内板です。
私たちが普段目立つ赤色が、案内図内で目立たなくなっているのが分かると思います。
現在地などの表示の色に工夫が必要だと思います。
C型(3色覚)の人の見え方 (シミュレーション前の画像)
P型(1型2色覚)の人の見え方
D型(2型2色覚)の人の見え方
下は、普段、とても目に付く防火扉の赤い文字ですが、色覚障害の方がみると暗く目立たなくなっているのが分かります。
危険や警告を示す文字の色使いにも工夫が必要です。
C型(3色覚)の人の見え方 (シミュレーション前の画像)
P型(1型2色覚)の人の見え方
D型(2型2色覚)の人の見え方
下のような立ち入り禁止なども、よく赤色が使われますが、シミュレーションを見ると、色覚障害のある方には、目立っていなく、むしろ青色の方がより目に付くことが分かります。
C型(3色覚)の人の見え方 (シミュレーション前の画像)
P型(1型2色覚)の人の見え方
D型(2型2色覚)の人の見え方
エレベータ付近の案内板です。
さまざまな色を使って分かりやすくしてあるはずの案内板ですが、色覚障害の方は色合わせが苦手な人が多く苦労するそうです。
また、シミュレーションの結果を見ても分かるように、一部、色の区別がつかなくなっているのが分かります。
C型(3色覚)の人の見え方 (シミュレーション前の画像)
P型(1型2色覚)の人の見え方
D型(2型2色覚)の人の見え方
下のAEDの色は、色覚障害のある方が見ても非常に目立つそうです。(シミュレーションの結果を見てもよく分かります)
上で見てきたように、赤は暗く目立たなくなってしまいますが、赤を朱色などにすることにより、従来の赤の概念を崩さないまま、色覚障害の方も目に付きやすい色にすることができます。
これが、まさにカラーユニバーサルデザインの考え方です。
C型(3色覚)の人の見え方 (シミュレーション前の画像)
P型(1型2色覚)の人の見え方
D型(2型2色覚)の人の見え方
今回は、区役所内の気になるところをご紹介しました。
公共施設や街中にはまだまだ、このような例はたくさんあります。
全ての人が安心で暮らしやすい足立区のまちづくりを目指して、がんばっていきたいと思います。
※カラーバリアフリー、カラーユニバーサルデザインの考え方、また色覚障害の分類などについて、より詳しくお知りになりたい方は、NPO法人カラーユニバーサル機構などのホームページをご覧いただけるといいと思います。
※上の画像は、色覚障害の方の見え方をフリーのシミュレーションソフト(VischeckJ)を使ってシミュレーションしています。ただし、あくまでシミュレーションですので、全ての色覚障害のある方の見え方を正確に再現しているわけではありません。