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【内田伸子先生:AIに負けない力をどう育む?~生きる力は遊びを通して育まれる~】

今日の午前中は、子ども達が通う学び舎で行われた講演会に参加をしました。

お茶の水女子大学名誉教授、IPC・環太平洋大学教授の内田伸子先生による「AIに負けない力をどう育む?~生きる力は遊びを通して育まれる~」というタイトルの講演会です。

 

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子どもの脳は、成長の過程で三つの大きな認知革命が起き、10ヶ月で記憶が形成。3歳ごろには母語の文法が獲得され、5歳後半には談話文法が獲得される。小学校3年生頃には判断力やモラルが発達。神経細胞同士を連結するシナプスの形成は65歳頃まで、発明や発見などに寄与する海馬の歯状回の形成は、90歳頃まで続くことが明らかになっているそうです。

 

人間の脳は、生涯にわたって新しいことを学び続ける可能性を持っており、幼少期の五感を伴う経験が脳の発達に与える影響は非常に大きいといえるとのこと。日々学びながら情報を仕入れ、子育てを通じて課題を乗り越え、人と対話することが大切であると内田先生がおっしゃっていました。

 

20年後は、今ある仕事の約半分がAIにとって替わられると言われています。IQや偏差値といった認知スキルだけでなく、社会性や情緒、目標達成力などの非認知スキルが、今後の社会で重要な役割を果たします。特に、レジリエンス(逆境に直面した際に困難を乗り越える力)は、幼児期のあそびや生活経験がその成長に大きく影響を与えるそうです。

 

子どもの主体性を大切にする「共有型しつけ」と、親のいうことを聞かせる「強制型しつけ」について興味深いお話をして下さいました。

 

家庭訪問調査で200世帯の親に対し、調査をされたそうです。

 

【問:母親のしつけの違いの何が子どもの語彙力に影響するのか。】

  • ブロックパズルの解決場面での母子のやり取りを観察録画。
  • 絵本の読み聞かせ場面での母子のやり取りを観察録画。
  •  

「きつねのおきゃくさま」という絵本を4~5歳児の子を持つ親子の読み聞かせをした実験の話です。おなかのすいたきつねが、まるまる太らせて食べるつもりで育てていた、ひよこ・あひる・うさぎ に慕われて、最後にはオオカミに食べられそうになった3匹を守るため、きつねは勇敢に戦って死んでしまうお話です。

この絵本を、典型的な「共有型しつけ」と「強制型しつけ」の母親と子どもを対象に各家庭で読み聞かせを行ってもらい、その様子を観察したそうです。

「共有型しつけ」をしている母親は、子どもがどういう反応をするかと思って、子どもの顔を心配そうに見ているそうです。子どものほうから「きつねさん、死んじゃったの? どうして死んじゃったの? あんなに親切なのにかわいそう」というのです。そうすると初めて母親も口を開いて「そうね。かわいそうね。どうして死んじゃったのかしらね」。子どもの言葉に共感し、サポートしていたそうです。

それに対して「強制型しつけ」をする母親の典型例は、読み終わるとパタンと本を閉じてしまい「はい。今のお話はどういうお話だった? いってごらん」。子どもがなにか応えます。「ママはそんなふうに読んでないでしょう。このページ、もう一度読んでごらん」といい、子どもが読み上げると、「違うでしょ。ママのいうことをちゃんと聞いてない。お話のこと、テストに出るわよ!」という感じだったそうです。

 

「共有型子育て」を行う親は、子どもに対して子どもに敏感で子どもにあわせて柔軟に調整しながら、考える余地を与える・援助的なサポートをしているそうです。また、3つのH(ほめる、はげます、ひろげる<視野を広げる>)の言葉がけが多いそうです。結果、主体的に探索し、自律的に考えて行動し、遊びに熱中して楽しそうだったとのこと。

 

これに対して「強制型しつけ」の親は、考える余地を与えない、指示的・トップダウン的で過度な介入や情緒的サポートが低く、3つのHの言葉かけがないそうです。結果、主体的に探索せず、他律的行動・親の指示を待ちながら顔色を窺い、緊張しているそうです。

 

「強制型子育て」を受けた子どもは、自尊心が低く、常に親の顔色を伺い、指示を待ち行動する癖がついているそうです。

 

さらに画期的なのは、日本からカナダに移住した子どもの滞在年数と2言語能力の力との推移での話です。なんと、幼少期からいるよりも、10歳から12歳まで日本で学業を積んでいた子ども達の方が海外に移住してからの英語読解力は優秀という結果が出たそうです。先ずは母語を育てることで読解力が育つそうです。

 

非認知能力はAIには負けない力があります。

遊びを通じて子ども達は脳内学習をし、豊かな創造性を生み出すそうです。

叱られながらやった勉強は身につかないため、面白い・楽しいと思える環境をつくって、知識を蓄えることが重要だそうです。

 

自己肯定感が挙がると意欲や探求心につながります。

※非認知能力の獲得は、子どもがより年少の時点、特に幼児期・小学校低学年の生活や遊びによって決まってくるそうです。

 

ここで興味深い話を

内田先生からは、受験偏差値は暗記能力(知識蓄積)の為、これで対応できる仕事は20年後は、約47%の仕事がAIの仕事に奪われるそうです。

 

【AIの仕事に奪われないものは何か?】

子育て・保育・教育・医療・福祉・介護

人の身体的、精神的、社会的な幸福を保証する仕事

 

子ども達の主体的な学びの環境づくりは、AIにも負けない力を養い、人間ならではの新しい価値の創造性です。子どもが自ら考え、判断する余地を残し、自律的指向が出来る環境とそれを育むための土台としての非認知能力を育み、伸ばしていきましょう。