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足立区議会民主党会派視察①三重県名張市「妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」~名張版ネウボラをめざして~

今年も会派視察の時期となりました。今回は、7月28日から30日まで、足立区議会民主党区議団で、三重県名張市・兵庫県明石市・福井県坂井市に視察に行ってきました。

初日では、「妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」について三重県名張市に伺い、視察をしてきました。私が幾度となく議会で発言している内容です。それでは、今日から数回にわたって、視察のご報告を致します。

まず、第1日目、三重県名張市役所において、「妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」~名張版ネウボラをめざして~という取り組みの視察を行いました。

名張市では、今年に入ってから子育て支援を切れ目ない支援として推進するため、新組織を立ち上げました。ここ名張市では、フィンランドの出産・育児支援などを含めた家族支援活動に取り組む「ネウボラ」という組織を参考にし全国初の取り組みが行われています。

※ネウボラはフィンランドの地方自治体が設置する母子支援地域拠点です。

「ネウボラ(neuvola)」はフィンランド語で「アドバイス(neuvo)する場所」という意味です。サービスはすべて無料。

妊娠・出産・育児を一貫して就学前まで一人の保健師が継続的にサポートする制度で、出産前、出産後一番精神的にナイーブになる時期の寄り添い支援事業が行われています。保健師のみならず、看護師、ソーシャルワーカー、心理士のサポートもあり、妊娠期間中に6~11回、出産後も6歳まで定期健診(無料)があり、そのうち出産後に行われる総合健診では、家族関係全体を含む発達保障、生活の安定、例えば、経済面、暴力・虐待リスクまで幅広くチェックして頂けるそうです。

ネウボラでは、出産祝いに育児パッケージ(育児に必要なグッズ・Baby bedになる大きな箱におむつや洋服がたくさん入っている)が無償で支給されます。これは母親手当の140ユーロの現金支給との選択制になるそうですが、ほとんどの方が育児パッケージを選択されるようです。

北欧は福祉にやさしい国として、子育て支援制度も充実し、きめ細かな社会保障制度を有しています。まさに、子育てしやすい国ベスト10に入る「福祉国家」ですね。

名張市は現行では、結婚から妊娠までの間や出産後から児童福祉法に基づく赤ちゃん訪問までの2か月間、支援が途切れていたそうです。しかし、この新支援制度にしたことにより、身近な所で妊娠段階から出産・育児まで継続的に相談・伴走型の予防的支援が行える体制となりました。

具体的には、身近な地域に妊娠段階から出産・育児までを継続的に相談支援を行う人材をチャイルドパートナーとして配置し、母子保健コーディネーター(保健師・助産師)とともに地域づくりの組織と一緒になって保健・福祉のサービス(支援)と利用者、人と人を結びつけ、全ての妊産婦及び保護者に対する伴走型の予防的支援ができる環境を整えています。従来の母子保健事業や子育て支援事業では補えきれなかった産前産後の不安に対して、妊娠前からの本人に対する教育や妊娠中からの相談や教育とともに産後直後の心身のケアができる体制づくりを行っています。

地域住民に主任児童委員になって頂き、乳児家庭全戸訪問事業に繋げているそうです。

名張市からの資料を拝見したところ、妊娠届時における妊婦の気持ちの出産回数による調査・分析表には意外な結果が出ていました。

名張市が妊婦1577人に対して行った内容では、出産回数2回以上の方の方が、妊娠を知った時に不安を抱くことが多く、その背景として、予定外の妊娠によって、周囲の協力が得られないと感じていることや、経済的な問題が関連していることが明らかとなっています。意外にも、出産2回目の方が経済的にも安定し、子育ての知恵もあるので、安心して産み育てられるのではと思いがちですが、現実は違っていました。やはり産み育てやすい環境が整備されていなければ、2人3人と子どもを産み育てたい!という気構えはわかないですよね。

個人のライフプランの中に、結婚や子どもを産み育てることに対して希望が持てる環境整備やその仕掛けづくりを行政が積極的に行うことが今、最も求められている分野だと強く感じています。

私もこの足立区で子どもを2人授かり、現役の子育て真っ最中の親でもあります。子どもを産み、育てるというのは大変責任が重く、並大抵のことではありません。そして、皆さんそれぞれの思いがあると思いますが、わたしは今でも、子ども達を一人前の人間として育てあげてみせるという使命感を持ち続けながら子育てをしています。

自分の経験値からも、結婚をし子どもを産み育てる素晴らしさを感じることができる環境や、その希望が持てる行政の仕掛けづくりが最も大切だと思っています。足立区から、子どもを産み育てやすい環境を整備し、結婚から妊娠、出産、育児へと途切れのない支援策を政策提案という形で強力に実行していきたいと思います。