発達障害当事者・家族支援の構築に向けて⑪~山梨県立こころの発達総合支援センター 視察
今日は山梨県立こころの発達総合支援センターに視察をしに、山梨県に行ってきました。この山梨県立こころの発達総合支援センターには、ドクターの本田秀夫所長がいらっしゃいます。全国様々な地域を調査していると、現場で熱心に取り組みを進めているスタッフから、この人に会うべきだというアドバイスを頂きます。その会うべき人が、今日伺った本田秀夫所長です。本田所長は以前は神奈川県で手腕を発揮しており、現在まで様々な地域で実力を発揮しているスペシャリストです。本田先生が行くところでは成功しているとの話を聞き及んでいます。
山梨県では、2006年に開設していた発達障害者支援センターと中央児童相談所子どもメンタルクリニックを統合、拡大し、2011年4月に「こころの発達総合支援センター」を開設しています。本田所長のお話によると、ここでのスタッフは精神科医常勤2名と、相談スタッフ(心理士、ソーシャルワーカー、保健師、精神保健福祉士、作業療法士)の15名で構成されているそうです。山梨県の人口は86万人規模。このセンターの役割は充実しているそうです。中身は、「相談支援」「診療」「地域支援」「研修・普及」の4つの機能を業務の柱として山梨県の発達障害者支援センターの機能を内包しています。一人ひとりのニーズに応じた高い専門性をもちながら、細やかで生活に根差した支援を行っています。
発達障害の特性を持った人に対するニーズは年々高まり、診断名がつかない相談件数が平成23年度だけでも1997件もあったそうです。
この業務が山梨県の中で認知されるにつれて、これまでとは比較にならないほどの膨大な支援ニーズは明らかになってきているそうです。その為、まだまだ人員も足りないとのことでした。
自閉症スペクトラム(自閉症やアスペルガー症候群など)、注意欠陥・多動性障害ADHD、学習障害LDに代表される発達障害は、近年高い関心が寄せられていますが、発達障害は早ければ乳幼児期に、遅くとも就学前後には特有の発達特性が顕在化しており、全てのライフステージを通じて何かしらの支援を受ける必要性があるとの話でもありました。
グレーゾーンでもある未診断の人、発達障害の特性のある人に対する支援は如何なものか?
発達障害の特性は見られても障害対応までは要しないケースについては、2次的な問題を予防し(抑うつや人格障害の併発)、通常の生活が送れるための相談支援を行うことを目的とするそうです。このようなタイプの人たちの支援を積極的に行えるようにするために、あえてこのセンターでは機関の名称に「障害」という冠を外して、「山梨県立こころの発達総合支援センター」と称しているそうです。私が以前から考えている、システムの理想系がこの山梨県には存在していました。
平成25年4月1日に施行されている「障害者総合支援法」では、この発達障害者支援について都道府県レベルだけでなく、積極的に市区町村で行うことを示しています。今後、この法律についても研究をしながら市区町村レベルでの取り組みの進め方をさらに考えていきたいと思います。
今日は長時間、各自治体が担うべき責務と自治体での積極的な取り組を進めるためには、政策をどのように組み立て構築していくべきか、本田秀夫所長から沢山のアドバイスを頂くことができました。母子保健、医療、福祉、教育、就労支援等の業務を行う各自治体が関係機関と連携をし、緊密なネットワークを張り、地域システムをモデル化していくことが重要であると本田所長からも強く言われました。
この内容を糧にしながらさらに私はもっと研究を深め、足立区にあった発達障害者支援施策の政策立案をまとめあげていきたいと思います。
本田秀夫先生には、今後ともご指導を賜りたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
本日は大変お忙しい中、貴重なお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。