予算特別委員会の内容⑤発達障がい支援施策「ペアレントメンターの在り方について」
私が鳥取大学医学系研究科教授、井上雅彦先生と共に力を出し合い、区行政に働きかけて、足立区のペアレント・メンター事業を創設してから4年が経ちました。
今回、私たちは、ペアレントメンターの区内活動状況を把握するために、この4年間の実績について調査をいたしました。その調査結果で、あまりにも区の施策としては前代未聞の実績値の最も悪い事業ということが発覚しました。年間550万円余の予算が付いているにもかかわらず、費用対効果が最も悪く、ペアレントメンター事業ではこの4年間、ほぼ相談1件につき7~8万円のコストがかかっていました。
区行政の執行機関からお話をお聞きすると、「井上先生がその後も継続してみて頂けているものだと思っていました」とか、はっきりと「事業丸投げでした」といった言葉が区の執行機関から出てきました。つまり、この言葉をそのまま解釈すると前例踏襲、事業丸投げ状態がこの4年間続いていたといった次第です。
事業者が右も左もわからずに手探りで事業を行っている状況の中で、足立区が一切指導せずに、改善させず事業全てお任せ状態となっていること事態、前代未聞です。
これは足立区の責任が大きいです。
素人である方々が団体を設立し、最初から足立区の委託を受けること自体に無理があったのです。つまり、団体が事業の運営に当たっては素人であるため、区が積極的に育てる姿勢を持たないと、管理、運用面において難しいと言わざるを得ない状況となることが、今回の調査で発覚しました。
区が積極的に事業者のバックアップ機関としてかじ取りをしっかりと行い、人材を育てるという意識を持って取り組まないとその後の事業が成り立ちません。
区としてこのことをしっかりと認識させ、猛省を促しました。
鳥取大学教授井上先生もこの調査に参画をしていただき、足立区役所にも足を運んでもらい、役所の担当部署の執行機関の皆様と何度も協議を行いました。
今年度、そして来年度、しっかりと費用対効果の高い事業となるよう、今後の進捗を見ていきます。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
発達障がい支援施策「ペアレントメンターの在り方について」
【長谷川たかこ委員】
教育委員会におけるペアレントメンターの在り方について提案、質問をしていきます。
教育委員会におけるペアレントメンターの在り方についてですが、今年度担当所管が福祉部から教育委員会に移りました。来年度ユニバーサルデ ザインの教育の中に是非ともペアレントメンター事業を落とし込んでいただき、足立区全小・中学校、全児童・生徒4万5000人の子どもたちや保護者に対して実践的な活動につなげていただきたいと強く要望いたします。
鳥取大学医学系研究科教授、井上雅彦先生のご尽力と執行機関の皆様のご理解、ご協力のもと、 私は2015年からこの事業に着手し、様々な働き掛けで足立区におけるペアレントメンター制度を構築いたしました。
今回、私たちは、ペアレントメンターの区内活動状況を把握するために、この4年間の実績について調査をいたしました。結果、4年間の相談件数は横ばい、年間の相談件数は50件から70件。 2年目までは足立区が用意した施設で業務を行っていましたが、3年目より、当初足立区からは事務所を探して欲しいとの話により、メンター事業に事務所手当てが設けられた結果、現在の青井の一軒家を借りて事務を行っている状況です。
事務所経費は月8万8000円、年間の家賃は105万6000円、他に165万円余のお金が交通費、通信費等で賄われ、人件費は280万円余となっています。月の相談人数は1件から5件、 電話相談も月1件から3件です。他、過去の実績を見ても運営委員会が年1回しかなく、研修と称されるものが16回程度です。
執行機関に調査をかけても相談件数は延べ人数しか出されず、何度も資料請求をしたことにより、ようやく実際に相談に乗った人たちの実人数が2年分のみ出されました。先週9日月曜日にやっと残りの2年分の実人数が出たような状況です。
年間550万円余の予算が付いているにもかかわらず、費用対効果が最も悪く、ペアレントメンター事業ではこの4年間、ほぼ相談1件につき7~8万円のコストがかかっています。
前例踏襲、事業丸投げ状態がこの4年間続いていたといった指摘をされても仕方ない状況です。
鳥取大学教授井上雅彦先生もこの実態を知り、大変驚きました。
2月7日には足立区役所に来られ、執行機関の皆様に集まっていただき、足立区のメンター事業の評価とその改善策をご提示したところです。
そして、それを受けて私も先日の代表質問で具体的な改善案を示しました。
まず、改善策として次のようなご提案をさせていただきました。
- 現在の事務所ではなく、役所の目が行き届く場所に事務所を移し、費用対効果にかなう事業になるよう早急に体制をつくること。
- こども支援センター元気の一角をメンター事業として位置付け、事務機能を完備させること。事業者に将来のビジョンを示させること自体ができないので、区が主導してかじ取りを行い、区がマネ ジャー的な役割を担い、指導監督を行うようにしなくてはいけない。
- 現在の運営委員会も1回では効果はなく、5回行うこと。また、運営委員会には井上先生のようなメンター事業を熟知している 人間を置き、運営委員会でもんだ内容を落とし込むためには、先ほど言ったマネジャー的人間をメンターの事業の中に入れなくてはメンター事業が機能しないとの話を2月7日に関係する部署の皆様に話しております。
しかし、代表質問の中での回答では、「現在の青井にあります受託法人の事務所兼相談支援の場所が保護者と子どもたちにとって安らげる場所となっているという声もいただいております。」という回答を聞くと、月1回~5回程度しか来所がない場所に、家賃100万円以上、それに通信費等で100数十万円、200万円以上の事務所経費を今後も投入し、支払い続けることに執行機関の方々は何の疑問も抱かないのかと正直驚きました。
また、今月行われる運営委員会の中で、開催回数やメンバーについても、関係者からご意見をいただいて検討しますと回答していますが、4月から新年度の事業が始まります。この予算特別委員会が終了したあとに事業報告を開き、今後の事業について話をするというのは余りにも遅いのではないのでしょうか。
前例踏襲でまた5年目に突入されるのかと思いました。
更に「事業マネジャーを派遣することが、労働者派遣法に抵触する恐れがあるので、できません」との回答で、今後の見通しが全く示されていません。
足立区内の小・中学校の児童・生徒数4万5000人に対して来所相談件数が月1から5件、 電話相談が月1から5件というのは、区内保護者に対するアプローチが全く足りていません。
何の改善もされずにこのような前例踏襲され続けてきた状況で、足立区が委託する事業の中では、最費用対効果の悪い事業です。このような状況が来年1年間また続くようではいけません。
教育という分野に移管されたわけですから、全小・中学校に対するアプローチを強力にしていただきたいと要望いたします。このことを踏まえて質問、提案いたします。ペアレントメンター事業の今後のビジョンをどのようにお考えなのでしょうか。
【こども支援センターげんき所長 回答】
ペアレントメンターの活動についてでございますけれども、この事業は基本的にはお子様に発達障がいなどがおありの方の子育て経験を踏まえたご家族の方が勉強されて、そして、今現在、お子様の発達に課題のあるお子様を抱えている保護者の方を支援する、共感的なアプローチで支援する取り組みだと思っております。
したがいまして、私どもといたしましては、来年度、この基本を大切にしながら、より充実した活動にしていかなければいけないと思っております。
特に三つの柱ということで考えておりまして、 活動の周知、啓発と、それから人材育成、そして相談の充実というところを柱に考えているところ でございます。
【長谷川たかこ委員】
是非それを、積極的に進めて、 費用対効果のかなう事業になるように推し進めていただきたいと要望いたします。
また、令和2年度の事業者は選定済みとの認識でよろしいでしょうか。
【こども支援センターげんき所長 回答】
はい。正式な契約は、まだ今現在これから進めるところでございますけれども、事業者につきましては、これまでの経験を踏まえた事業者にということで考えているところです。
【長谷川たかこ委員】
ペアレントメンター事業は、必要としている区内全小・中学校の保護者に対して使ってもらえる努力が必要です。また、それがうまく回る体制を構築することも必要です。また知らしめる環境の構築も必要であり、区が主導して広く区内全域に周知していくことも重要だと感じます。
令和2年度の事業について、これまでの実績から、例えば
- 小・中学校などへの出張相談
- 父親への相談の拡充
- 通級などでの学びあいのコミュニティの情勢
- 区のサービス利用についてのコンサルティング的な相談活動の拡充
- 通訳をつけなくてもその国のコミュニティを持っている親が耳を傾けることができる外国人のペアレントメンターの要請
- 学童やランドセル児童館への技術提供的 派遣など、
多角的な活動として広げる必要があると考えます。如何でしょうか。
【こども支援センターげんき所長 回答】
まず、PRに関してなんですけれども、一般的な広報やチラシの配布、SNSなどの他に、各学校や保育園などの教員や保育士など、実際に子どもを支援しながら保護者に関わっている皆様にこの事業を周知するということが一つのポイントかなと思っております。
ですので、まず、私ども令和2年度に取り組む研修などについて、必ずこのペアレントメン ターの事業のPRの項目を入れましてやらせていただきたいと思っております。 また、今、長谷川議員のほうから様々ご提案いただいた部分ですけれども、これまでの取り組みを更に拡大することで取り組める部分があるかと思っております。
例えば、PRの拡充というところで、出張相談であるとか、そのような場へのつなぎというような辺りもできると思っておりますし、また様々な サービス利用というところにつきましても、私どものほうからしっかりメンター事業者に情報提供などをしながらつなげていくというような働き掛けも可能と思っております。 ただ、一方ペアレントメンターはあくまでもそういうお子様を育てた経験のある保護者というところですから、余りにも過大な要求をするのもまたこれは違うのかなと。やはり共感的な支援というメンター本来の役割をしっかり認識しながら、これまで不足していたPRなどについて充実していくというのがまず第1点かなと。あと、外国人につきましては、これは今後の課題ということで、 まずは様々な情報収集をさせていただきたいと思っております。
【長谷川たかこ委員】
私は、過大な要求はしておりません。
鳥取県のそのペアレントメンター事業を積極的に進めていらっしゃる井上先生、それから新宿区で成功をおさめているスイッチというペアレントメンター事業がありますが、 そちらの成功体験を持たれているメンターの人たちとの協議の中で、これだけのメニューは絶対にできるということを、今このような形でご提案をさせていただいているのです。
過大な要望をしているわけではないので、是非こちらを落とし込んでいただきたいと思います。
そして、来年度、同じ事業者に事業を任せるのであれば、事業者との仕様書に費用対効果の高い事業となるよう区内全小・中学校の中にペアレントメンター が入ることでの実践的多角的な活動を盛り込み、 その実績値で費用を支払うことを求めます。如何でしょうか。
【こども支援センターげんき所長 回答】
いわゆる出来高払いというようなご提案かと思いますけれども、 一定程度の固定費部分っていうのは定額で毎月支払っていかないと、事業そのものがやはり安定的に回っていかないという懸念はございます。ですので、どのような活動の支払いにしていくのかという辺りにつきましては、来年度以降しっかり検討させていただきたいと思います。
【長谷川たかこ委員】
是非とも費用対効果にかなう事業 して、来年度また新たにスタートしていただきたいと思います。
☆予算特別委員会6日目の内容 :関連する内容なのでこちらに掲載します。
【長谷川たかこ委員】
メンター事業をより良いものと発展させるためにも、執行機関の皆さんの英知を結集させて、他区で高い実績と成功を収めているペアレントメンターとの連携、そして競争原理を活用したメンター事業の質の向上を強く要望したいと思います。
令和3年度以降の事業の継続について伺いますが、知見のある事業者間での競争を促すためにプ ロポーザルを行う考えはありますでしょうか。
【こども支援センターげんき所長 回答】
そのような取り 組みも含めて検討して参りたいと思っております。
【長谷川たかこ委員 】
足立区内の小・中学校の児 童・生徒数は約4万5000人、それに対して現在の事業内容では区内保護者に対するアプロー チは全く足りていません。
知見のある事業者間での競争を促していただき、プロポーザルを是非とも令和3年度に向けて行っていただき、メンター事業の内容と質を向上させていただきたいと強く要望いたします。
宜しくお願い致します。