少子化対策調査特別委員会が開かれました。
午前10時より、少子化対策調査特別委員会が開かれました。
冒頭、区役所の担当者より、いくつかの説明、報告事項があり、その後、委員による質問・議論が行われました。
今回の議題、報告事項は以下の通りです。
①児童扶養手当一部支給停止(減額)措置について
②(仮称)赤ちゃんの駅事業の開始について
③足立区の一時保育事業の全体構想について
④病後児保育利用に係る医師連絡表の取り扱いの変更について
⑤家庭福祉員(保育ママ)の休業日代替保育の充実について
先日もホームページでご紹介しましたが、3月14日に板橋区で行われている「赤ちゃんの駅事業」の視察に行ってきました。
詳しくは、3月14日、15 日の記事に記載してありますので、ご覧いただければと思います。
足立区でも同じような事業を、今年の7月から展開する予定とのことです。
しかし、板橋区での事業を視察させていただき、うまく機能している点と問題点が見えてきました。
足立区で導入するに当たっては、先進的な取り組みをして、既に結果が出ている板橋区の例を参考にし、良いところは取り入れ、問題点は改善しながら、足立 区の実情に合わせ、無駄のない効率的な事業の展開をしなければなりません。
基本的に、私はこの事業の趣旨には賛成です。子育ての経験のあるものとして、外出先でおむつの交換や、授乳などが出来るスペースがあることは、非常に助 かると思います。
しかし、どんなにすばらしい趣旨の事業も、その実施方法を間違えると、いわるゆ「はこもの」事業になりかねません。
特に、足立区の「赤ちゃんの駅事業」の計画で気になったのは、
(1)足立区の全域にある89箇所の公私立の認可保育園、すべてで実施する予定
をしている点
(2)実施する保育園に表示する「赤ちゃんの駅」の看板を設置するのに、1つの保
育園に5万円もの予算をかける点
の2つです。
板橋区では、事業を開始した最初の10ヶ月について利用状況のデータを取っています。
それを見ると、利用されている保育園に偏りがあり、当初事業を始めた84箇所の保育園のうち6割の保育園で、利用実績が0件というデータが出ていま す。(その他、10ヶ月で数件程度の保育園も多くあります)
具体的には、駅から遠い住宅街などにある保育園での利用実績が0件、もしくは少ないのが現状です。
一方、駅から近い、近くに公園があるなどの立地条件の保育園では、55件(1週間に1.5件程度)の利用がありました。
もちろん、それぞれの区に事情があり、板橋区の例がそのまま足立区に当てはまるという訳ではありませんが、10ヶ月間、1件の利用もなかった保育園が6 割にも上るとの結果が板橋区で出ているにもかかわらず、足立区でも区内全域で実施するというのは、疑問があります。
板橋区の実績を参考にしながら、需要のありそうなところ、利用者が多いと予想されそうなところから先行実施する。また、利用者が少ないと予想される地域 (住宅街の真ん中など)にも、2,3園程度、試験的に実施をして、その実績を判断し、他の地域で導入するかどうかを検討すべきです。
しかも、区の担当部署では、実施を予定している保育園の周りの状況や、利用する可能性のある赤ちゃんを持つ家庭の意見などのしっかりした調査をしていな いとのことでした。
立地条件や人の流れなどの地理的な要因、保育園の規模、保育士さんたち現場の声、利用者の声などを早急に調査して、いきなり、足立区全域で実施ではな く、本当に必要なところに必要な数だけ実施する。それが区民の皆さんの税金を使って行う事業である以上、必要なことではないでしょうか。
また、板橋区では赤ちゃんの駅に利用できる保育園の目印として、1枚1580円のフラッグを作り、保育園の入り口に表示してあります。(3月14日の記 事参照)
これに対して足立区では、1つの保育園あたり5万円もの予算をかけて、表示を作るとのことでした。
どのようなものを作ることを想定しているのか分かりませんが、さすがにお金をかけ過ぎです。(板橋区の30倍以上の予算です)
本当に必要なのは、看板にお金をかけることではなく、この事業の中身だと思います。
以上の点からみても、この事業計画はもう少し、議論の余地があるのではないかと思っています。
最初にも申しましたが、この事業の趣旨には賛成です。
本当に有効な、意味のある無駄のない事業になるよう、私もアイデアを出しながら、委員会や区の担当者に提案をし、今後もさらに議論をしてきたいと思いま す。
**********以下、委員会発言要旨抜粋です**********
【長谷川】
赤ちゃんの駅事業について質問させていただきます。足立区として、赤ちゃんの駅事業の予算に、お幾らほどかけるつもりでいらっしゃいますでしょうか。
<子育て支援課長>
これは予算の算出上でございますが、1園5万円の予算を組んでおります。
【長谷川】
そうするとトータルお幾らになりますか。
<子育て支援課長>
90園分で450万円でございます。
【長谷川】
この赤ちゃんの駅事業を進めるに当たって、周辺施設の状況の調査とか、施設の分布状況、赤ちゃん連れのお母さん、保育園の園長先生や保育士、保育園を利 用している利用者のお母様たちの声というものは調査していますでしょうか。
<子育て支援課長>
保育園につきましては、今こういった事業をやりたいということでお願いをしておりまして、現場でいろいろな課題、問題点、そういったことを話していただ いているところでございます。
それから、周りの施設の状況等は、細かくは調べてございませんけれども、例えば生涯学習センターとか公園のトイレのところにベビーキープ、そういったも のの設置とか、そういった状況は把握してございます。
【長谷川】
細かく調べていないとおっしゃいましたけれども、きちんとした調査、研究などしないでこの事業を進めるというのは、ちょっと事業を進めるに当たっていか がなものでしょうか。
<子育て支援担当部長>
細かいところを調査するというよりは、少なくとも都の社会福祉基礎調査の中で充実してほしい施設ということで、第1番目が公園、次がバリアフリー、3 番、4番あたりでトイレ、授乳室の設置ということかありまして、それを希望している方が3分の1以上いらっしゃるという実態です。
できるだけ早くつくりたいということと、それから、新たにすごくお金をかけるということであれば、細かいところも調査いたしますけれども、実際に既存施 設をどう活用するかということでございますの、できるだけ早くと考えたところでございます。
【長谷川】
私は、3月14日に板橋区の赤ちゃんの駅を視察してきました。
板橋区の方では、赤ちゃんの駅事業を行うということでフラッグを取りつけているのですが、このフラッグは1枚1,580円です。板橋区では1 0 0枚つくったので15万8,000円ほどかかったということで、板橋区ではこの赤ちゃんの駅事業に平成18年度予算では18万9,000円、平成19年度 では16万6,000円の予算をつけております。
足立区はプレート代で1園につき5万円。板橋区では一つの園につき1,580円の予算ということで充てています。この開きがとてもありますが、板橋区の 方の赤ちゃんの駅をきちんと調査をした結果、このお値段なども出されたのでしょうか。
<子育て支援担当部長>
板橋区の方では、その予算については調べさせていただいております。
板橋区はフラッグを外につけられたということ、足立区の方では保育園内の事業もPRできるということ。
それから現在、保育士さんの方で、それぞれわかりやすいオリジナルなものをつくろうということで、若干そんなかつかつの予算でつくるよりも、できるだけ わかりやすいものにしたいということでの予算でございますので、実際つくってみれば、もう少し安くなるかもしれませんけれども、一定の安全面のこと、それ から、できるだけいいものをということで、そういう予算にさせていただいているところでございます。
【長谷川】
5万円というのは、とてもお金をかけ過ぎだと思います。実際に視察に行きまして、保育園でも既存のものを使っている。ベビーベッドとか保育園にあるもの 使っているので、本当にフラッグ代しかかかっていない。足立区でやる場合に、なぜ、1園につき5万円もかける必要があるのかとすごく疑問に思うのですが。
<子育て支援担当部長>
今日のご指摘を受けまして、できるだけ節約できるような執行にしたいと思っております。
【長谷川】
板橋区の視察に行きまして、平成19年3月31目現在の集計でございますけれども、区立保育園では、128件の利用がありました。その中で板橋区では区 立保育園、児童館、親子交流サロン、84ヵ所を赤ちゃん駅としてやっている状況で、実際の区立保育園は全体の6割がゼロ件だったということなのです。
今の話の中で、細かくは知られていないというお話がありましたけれども、実際に保育園の地図落としなどをして、本当にその場所全部に、89ヵ所やったと きに実際にお母さんたちが来るのかどうか、そういうことをきちんと調査研究をしないといけないと思います。
私が聞いたところによりますと、板橋区でいえば駅周辺、それから、公園の近くの保育園ということで、高島平の駅の前にある、くるみ保育園というところ が、利用者の128人中55人がこの保育園を活用しているということです。
実際の保育園で、公園とか駅周辺でない保育園では使われていていない、0件の保育園がすごくたくさん多いという中で、足立区はきちんとこういう調査をす れば、89ヵ所の公私立の認可保育園でこの事業を開始するという話にはならないと思うのですが、そのあたりをどのようにお考えですか。
<子育て支援課長>
利用状況につきましては、人の多いところは多いと思いますし、そうでないところもある。いろいろばらつきはあるということは想像できますけれども、開始 をしてみて、それで極端になくてもいいんじゃないかということがあれば、その辺も含めてほかの公共施設、例えば児童館とか住区センターとか、そういった場 所や何かも含めながら対応していきたいと考えております。
<子育て支援担当部長>
板橋区も今年から始めたところだということでございますし、こういったトイレというのを使われているところだけがあるということではなくて、今の「だれ でもトイレ」なども、当初はなかなか利用が少なかっただろうと思います。
けれども、どこに行っても身近なところにあるということで、たとえ利用が少なくても、ただ新たにたくさんのお金を役人するということであれば別でござい ますけれども、既存施設を利用するのであれば、できるだけどこでも使えるという体制も重要ではないかと思っております。
【長谷川】
板橋区の実際利用されているご父兄の方々は、非常に便利で助かるという声もあるそうですけれども、実際に現場の声では、やはりスペースが確保できないと か、職員の応対ができないという施設側の問題、現場の保育士さんからセキュリティの問題などを指摘されています。
そういう現場の声というのをもっと聞くべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
<保育課長>
実際に現場の保育士を手配します副園長、主査クラスに集まってもらって、問題の集約等をしてございますので、それを含めて7月までには、そういった対策 を十分とっていきたいと考えてございます。
【長谷川】
やはり足立区に赤ちゃんの駅事業を進めるに当たってば、(施設の場所などの)地図落としをきちんとする。それから、保育園を利用しているお母さんたちの 声も必要だと思うのです。
実際に私も1年前に子どもを保育園に預けておりました。こういう事業がもし自分の保育園で行われるとなると、私は父兄としては、安全面が気になります。
こういう事業をすることもいいとは思いますけれども、実際に保育園を利用しているお母さんたちの声、それ(赤ちゃんの駅)を利用される利用者の声、保育 士さん、保育園の園長先生のお声などをきちんと聞いて、目的を達成するためのニーズと合致しなければ、この事業はいけないと思います。
そこで、89ヵ所で、もしこの事業を行ったとしても、利用者がいなければ、結局は「はこもの」になってしまうので、きちんとした研究調査をする必要があ ります。
例えば板橋区でいえば、駅周辺、公園近くの保育園がとてもよく使われているという状況があるわけですから、そういう状況を見ながら、利用者が見込めるポ イントを絞って、駅周辺、公園近くの保育園や幼稚園を活用していくとか、例えば商店街の空き店舗に子育てサロンを導入して、その子育てサロンと一緒に赤 ちゃんの駅事業を展開するなど、そういう試みをしていったらどうかなと思うのですが、いかがでしょうか。
<子育て支援担当部長>
いろいろご心配の点、よくわかりましたので、今後の展開には十分留意しながら進めたいと思います。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。