代表質問の内容⑩【青年期・成人期に向けた発達障がい特性のある人への支援について】
発達障がいは、従来は小学生や中学生などの子供時代の問題として扱われており、成人するにつれてその傾向が薄くなると思われていました。 しかし、現実には青年期や成人期以降にも発達障がいと診断される、もしくは診断名のつかないまま生きづらさを抱えている大人が多くいるという現状が医学界で報告されるようになりました。学業においては、健常者よりも優れた成績を収める事例が多く、また、大学生や大学院生までは、自分の生きづらさに対する自己防衛手段を取ることで、表面に浮き彫りされないため、ただ変わっている人、頑固な人、風変わりな人として問題視されずにいる状況が明らかになっています。
このような方々は、学業を終え、社会人として仕事をしたり、結婚をして家庭生活を営む上で適応できずにパニック状態を起こしたり、他罰的な言動を繰り返し行うことで、反社会的な問題行動が顕著に出ます。 また成人期まで見過ごされずにいた方々に関しては、2次障害として鬱や人格障害を併発し、より重い状態で生きづらさを抱え孤立しているケースが多くなっています。
国では発達障がいのある人が生まれてから年をとるまで、それぞれのライフステージ(年齢)にあった適切な支援を受けられる体制を整備するとともに、この障がいが広く国民全体に理解されることを目指していますが、現実的には、青年期・成人期の支援が乏しい状況です。行政が先の見通しもなく早期発見だけして十分なフォローアップがないと本人や保護者(当事者が子どもであれば)に苦悩を与えるだけとなり、それでは障がい受容などできないという問題が発生します。
発達障がいは「先天的なハンディキャップなので、ずっと発達しない」のではなく、発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害です。成長とともに改善されていく課題もあり、必ずしも不変的なハンディキャップであるとは言い切れないと感じます。発達障がい特性は程度に個人差があっても「障害だから治らない」というのではなく、周囲が凸凹のある発達のしかたを理解しサポートをすれば、「ハンディキャップになるのを防ぐ」といった効果が出るものと思われます。大事なことは、その人がどんなことができて、何が苦手なのか、どんな魅力があるのかといった「その人」に目を向けることであり、その人その人に合った支援があれば、だれもが自分らしく、生きていけると思います。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
✩【青年期・成人期に向けた発達障がい特性のある人への支援について】
<長谷川たかこ議員>
【問】足立区では4月より、高校生以上(15歳から25歳前後)の若者を対象としたオンライン相談や訪問相談を含めた相談窓口と医療機関への受診同行といった寄り添い支援事業が行われます。全国的にも支援が乏しかった部分に足立区はメスを入れ、一歩リードした形で先進的な取り組みを行います。先ずは、25歳前後となっている年齢枠をさらに拡充させ35歳前後まで引き上げることはできないでしょうか。区の見解を求めます。この事業の検証を重ねながら全国のモデル事業となるよう、足立区からこの事業を国に報告してもらいたいと強く要望致します。区の見解を求めます。
【政策経営部長:答弁】
若年者向け専門相談窓口についてお答えいたします。
先ずは早期介入を第一に、概ね15歳から25歳前後の若者を対象とし、検証を重ねながら35歳前後までの対象年齢の引き上げについて検討して参ります。また、事業の検証を進める中で、若者を支援する団体や国などの関係機関へ情報提供を行って参ります。
<長谷川たかこ議員>
【問】発達障がい特性のある人たちは、ライフステージごとの問題点があっても、どこにもカテゴライズされないため、行政の中で支援することが難しい状況です。しかし、それぞれのライフステージごとの問題点は徐々に明らかにされています。
発達障がい者支援においては、それぞれの関係機関が求められる役割を把握し、遂行していくことが重要です。まさに関係機関同士が、お互いの役割を明確に認識し、部局を超えて統括できる組織編成が必要となります。継続的な取り組みが行き届くよう専門官を設置し、部局を統括し一貫した支援ができる専門窓口をつくるよう強く求めます。区の見解を求めます。
【政福祉部長:答弁】
専門官及び専門窓口の設置についてお答えいたします。
発達障がいについては、ライフステージごとに18歳未満は子ども支援センターげんき(発達支援係)が、18歳以上は障がい福祉センターあしすと(自立生活支援係・就労促進訓練係)が、それぞれ高い専門性を持って対応しています。加えて、現在も部署間で連携し切れ目のない一貫した支援を行っており、現在のところ新たに専門官および専門窓口を設置する考えはありません。