予算特別委員会の内容②(3月4日)【中国残留帰国者について】
今日は、予算特別委員会での質問の中から、「中国残留帰国者について」行った質問をご紹介します。
足立区は、中国残留帰国者の居住者数(支援給付の対象者)は、全国でも1、2番目を争う多さです。中国残留帰国者の皆さんは、中国語を話し、長く中国文化の中で生活してきたため、生まれ(育ち)の故郷は中国ですが、血縁の故郷は日本であるという複雑な状況におかれています。
中国残留帰国者への対策については、法律の改正により2008年4月から新しい支援制度が始まりました。各自治体で、今後、中国残留帰国者の皆さんが安心して過ごせる環境を整備していかなくてはなりません。
広く区民の皆さんに対して周知啓発活動を行うことや中国残留帰国者やその家族がいつでもどこでも身近で気軽に集える場を提供する事業を進めていくこと、さらに防災・防犯・交通安全に関する知識を学ぶ場を提供することも大切な課題です。また、帰国者の皆さんが自主的に地域での活動が行える体制を区として整備するためにもNPOなどの力を借りて支援員の発掘と人材の育成を行うことも、重要な取り組みの一つと考えます。
まだまだ行政主導で行っていかなくてはいけない事業の一つでもありますが、区行政の担当部署の皆様と今後も協力しながら、足立区からその環境を整備し、全国に発信していきたいと思います。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
<長谷川たかこ委員>
次に、中国残留帰国者についてご質問をさせていただきます。
中国残留帰国者の皆様に対する支援策については、2008年4月に大きな転機を迎え、法律の改正により5年前から新しい支援制度が始まっています。しかし、まだまだ言葉の問題、地域社会への参加、2世3世の就労問題など多くの課題が山積しています。血縁のふるさとは日本、育ったふるさとは中国という境遇にあり、中国の文化、習慣で育った帰国者の皆様が、日本での生活になじむのは大変なことだと思います。
私は、今まで帰国者の方が日本に帰国され、日本の文化や言葉を学ぶために、最初に入る施設や支援施設の視察、厚生労働省や東京都を初め多くの自治体へのヒアリング、そして実際に帰国者の皆様とお会いして直接お話をお聞きしてきました。
その中でまず、中国残留帰国者の皆様の居場所づくり、ネットワークづくりが重要であり、それらを基盤として、地域の皆様との交流を進めていく必要があると考えています。
足立区では地域の皆様のご協力と行政の担当職員の皆様のご尽力により、一部の地域で密着した交流会が4年前から開催されています。しかし、この事業も一部の地域にとどまっており、中国残留帰国者に対する地域住民のご理解は、全区的に見ると乏しいのが現状です。そのため、行政主導で地域の交流づくりの支援策を広げていかなくてはいけない喫緊の課題でもあります。
私は、以前から議会で提案をしておりますが、区内の中国残留帰国者やその家族がいつでもどこでも身近で気軽に集える場を提供するような事業をさらに進めていくことが重要であると感じています。
鹿浜の自治会では、毎年、納涼祭や敬老の日にちなんで、中国残留帰国者の皆様との餃子づくり教室と試食会、カラオケ大会などが行われ、足立区のモデルケースとなっています。最近では青井三丁目自治会で、中国帰国者の交流会が行われました。私も参加させていただきましたが、初めてと思えない程たくさんの皆様が集い、青井三丁目の自治会長が帰国者の皆様の思いに触れ、会の最後に胸をつまらせながら、閉会の辞を述べていらっしゃったのがとても印象的でした。
今後、このような事業が区内全域で継続性のある取り組みとして行われるよう要望したいと思います。
まず帰国者の皆様が多く居住している地域は何力所ありますでしょうか。
<中部福祉事務所長>
青井、中央本町、西保本間、保本間の4地区です。
<長谷川たかこ委員>
今まで鹿浜地区だけでなく、花畑の桑袋団地、そして保本間団地、中央本町などの他の地域でも交流会が行われていましたけれども、継続性がない状態です。他の地域で継続していない理由というのは何でしょうか。
<中部福祉事務所長>
区主催の地域住民の交流会につきましては、中部福祉事務所管内と西部福祉事務所管内で、それぞれ年1回実施しております。
中部福祉事務所におきましては、より多くの方々に、帰国者へのご理解をいただくために毎年異なる会場で実施しているところでございます。中部福祉事務所での区主催の交流会を実施したあと、その後、自主的な交流活動が続いていないということでございますけれども、そのためにはまず帰国者が定期的に集える場所が必要ではないかと考えております。
<長谷川たかこ委員>
鹿浜地域ではこの4年間で6回の交流会が継続して行われています。
地元住民の方々との交流も定着してきました。同じ場所で継続的な交流会を行っていくことこそが、地域の場を広げていくことにつながっていくと思います。ぜひ、同じ場所で継続的に交流会が行えるような取り組みを進めていただきたいと思います。
また、一昨年の暮れから西部福祉事務所の1室を月に2回、中国帰国者の方々に利用していただいています。比較的お元気な方々がバスなどの交通機関を利用してこの集いを楽しみにしていて、大好評です。しかし大多数の帰国者の皆様は年齢的な問題かあるため気軽に行くことができません。そのため各居住地域に集える場がほしいとの声をよく聞きます。言葉の問題や育った環境の違いなどによって、一般の方が利用するサロンではなかなかなじめないのが現状です。年齢的にも当人のケアや周囲の人とのコミュニケーションなどを目的とした支援を進める必要があります。ぜひ各居住地域に帰国者の方々が安心して集える場所を検対していただきたいと要望します。そこでモデル的に、先ほど挙げていただいた地域を中心としたような形で中国の帰国者の方々が多く居住していると思われる地区の住区センターの1室を月に1回帰国者の方々が集える場として提供していただけないでしょうか。
<中部福祉事務所長>
現在、押皿谷住区センターで月に1回帰国者が集える場所を提供しております。
今後は押皿谷住区センターに加え、帰国者の方が多く居住している地域にある住区センターで幾つかのモデル的な集える場を提供してきたいと考えております。
<長谷川たかこ委員>
ぜひよろしくお願いいたします。大きな前進の1歩になると思います。
その際には行政主導で地元の交流会を含めた取り組みも一緒に行い、周知啓発活動の一貫として地元住民の方々に対して講演会などを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
<中部福祉事務所長>
住区センターで展開されている地域交流活動の深まりの状況により、区主催の交流会や講演会の実施につなげていっていければと考えているところでございます。
<長谷川たかこ委員>
ぜひお願いしたいと思います。また現在、住区センターでは47館中42館で高齢者向けの交通安全啓発活動が行われているそうです。
今回モデル的に行われる住区センター内で帰国者や多国籍の方の対象とした通訳つきの交通安全教室や防災教育も合わせた取り組みを行うなどしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
<交通対策課長>
今、委員おっしゃったように、住区センターでは高齢者向けの教室を行っていまして、もともと講座の中でやっていますので、そういった要望等があれば試験的にすることも今後課題として考えたいと思います。
<災害対策課長>
防災訓練につきましては以前にも庁舎を活用して実施してきた経緯がございます。
先ほど申し上げましたとおり、モデル的な地域の集いの場や交流会などの場を活用しまして講演会や訓練などを実施していきたいと考えております。
<中部福祉事務所長>
通訳につきましては、要請があれば、可能な範囲で専門的非常勤で対応していきたいと考えているところでございます。
<長谷川たかこ委員>
ぜひ積極的な対応を進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
それを行うことで地域の交流も深まりまして、やがては帰国者皆様の主体的な活動へと必ずつながっていくと思っております。
また中国残留帰国者の皆さんも支援の対象として捉えるだけではなくて自立を促す取り組みが必要です。
中国帰国者を支援する地域支援員となる人材の発掘、育成を行うことが重要と考えます。
以前私は、議会質問で、中国帰国者の皆さんが積極的に地域での活動がしやすくなるように2世3世を含めた地域支援員を育成し、帰国者の皆さんが自主的に地域での活動が行える体制を区として整えていただくことを要望しました。今後、地域支援員の要綱を作成して
いただき、人材の育成を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
<中部福祉事務所長>
現在、他区における帰国者支援事業の取り組みについて調査しているところでございます。調査内容を検討し、今後の支援事業のあり方について検討していきたいと考えているところでございます。
<長谷川たかこ委員>
ぜひ調査研究しながら足立区としての地域支援員を確立していただきたいと思っております。またNPO法人、日中友好の会などとの連携も図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
<中部福祉事務所長>
現在調査を進めている中に日中友好についての調査項目もございまして、そちらもあわせて検証し検討していきたいと考えているところでございます。
<長谷川たかこ委員>
区として、より取り組みが広がり、そして最終的には行政の手を離れNPOや地域の皆様、そして帰国者の皆様による自立した取り組みとなるような、強力な支援体制を区として行って頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。