代表質問の内容⑥【寄り添いの自立支援策について】
代表質問の内容の続きです。
今日のテーマは、「寄り添いの自立支援策について」です。
生活困窮者、いわゆる生きづらさを抱えている人に対する支援策を構築することは、区として最も優先度の高い施策です。
生活保護受給者からの脱却、福祉にかかる費用、それに伴う人的負担や担税力の回復、当事者に対する社会参加の場の創出と様々な課題をクリアしていかなくてはいけません。
とかく、国の事業も各自治体間での支援も就労支援がクローズアップされてきました。しかし、一番大事なことは、その前段階の生活支援です。精神障害などで悩み苦しむ当事者たち、そしてその当事者を支える家族に対しての支援を行っていくことは最も重要です。
今迄、国では家族を含めた手厚い支援策は示されていませんでした。
来年度から国が始める「生活支援戦略」では、経済的に困窮している人や社会的に孤立している人に対して早期発見を行い、個々に合わせた自立生活のためのプランを作成することが盛り込まれています。如何にそのような人たちを発見し、家族をも含めた支援策として受け皿を作っていくのか。まさに各自治体間で今後、試行錯誤を重ねながら、支援策を練っていく課題でもあります。
生活困窮者が23区で一番多い足立区として、国が提示している「生活支援戦略」事業を活用し、今後、23区でも一番といえる支援策を全力で構築していきたいと思います。
*****以下、議事録の抜粋(要旨)*****
<長谷川たかこ>
次に、寄り添いの自立支援策について質問をさせて頂きます。
現在、経済・雇用環境の悪化などから生活保護受給者数が増加傾向にあります。リーマン・ショックを機に労働市場の構造の悪化が若年労働者層にもしわ寄せが及び、ニートやフリーターを発生させ、生活保護受給者を増加させる要因にもなっています。
厚生労働省では今年1月に2012年10月の全国の生活保護受給者が214万2580人、受給世帯が156万4301世帯になったと発表しており、ともに過去最多を更新しています。
区として、非常に厳しい財政の中、人口構造や社会環境の変化に伴い、優先順位をどのように考えていくかは大変重要なことです。中でも、区が稼働能力のある生活保護受給者の自立支援策を積極的に行うことは、区の財政負担の軽減策にもつながります。
【問】
足立区では、昨年12月に生活保護適正実施連絡会を立ちあげ、生活保護の不正受給対策などを協議する生活保護適正実施協議会の設置が検討されています。区として不正受給や医療費の問題、就労支援にとどまらず、生活全般に至るまで、生活保護受給者の様々な課題や困難の多様性に応じた実効性のある踏み込んだ施策が必要です。中長期的な取り組みとして、どのような方策を考えているのか区長のお考えをお伺いします。
現在、足立区では若者の自立支援策として若者サポートステーションの取り組みが行われています。今後、生活保護受給者の中高年層にも目を向けた自立支援策を強化することも重要です。
以前、私は区として雇用創出の事業を進めるにあたり、生活保護を受給している方を積極的に雇用することにより、結果的に雇用の創出と生活保護費の抑制という2重の効果が得られるという観点から、生活保護の受給者の中で、稼働能力のある人を積極的に採用するシステムはつくれないか提案をしました。それにより、生活保護受給者の自立支援策として、稼働能力のある人に対して、いち早く国の緊急雇用対策事業を紹介する仕組みが平成22年度より行われました。
今後もさらに、区として「稼働能力のある人、働く能力のある生活保護受給者」に対して、積極的に雇用するシステムを構築していただきたいと思います。
個々に合った自立を促すためには、それぞれの実情に合った数多くの施策メニューを整備する必要があります。札幌市や釧路市では、仕事に就けない期間が長く続いて、働く意欲を失った人を対象とした自立支援策が行われています。これは、ボランティアを兼ねた就業体験を通して、仕事への関心を持ってもらう支援策です。
【問】
そこで、札幌市や釧路市の取り組みを研究し、民間企業やNPO法人などと協調・連携し、就労困難者の就労の受け皿となる多様な中間的就労の場を積極的に構築して頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
【問】
その際、民間企業やNPO法人の負担が生じることが考えられます。現在、NPO法人に対しては、インセンティブとして委託料を支払っていますが、現在あるインセンティブの仕組みを拡充されては如何でしょうか。
また、この問題については、国が財源確保を行うべきです。国に要望をすべきと思いますが、如何でしょうか。
【問】
国では、生活困窮者への支援体制の底上げとして、来年度からは「生活支援戦略」事業が用意されています。
これは生活困窮者への支援体制の底上げ、強化を図り、NPO、社会福祉法人等の民間機関との協働による伴走型支援や多様な就労機会の確保、学び直し等の「貧困の連鎖」の防止のための取り組みを含む生活困窮者支援体系を整備したものです。この「生活支援戦略」事業を区として積極的に活用していっては如何でしょうか。
生活保護受給者に対する支援策は、就労支援策だけではなく、日常生活の自立・社会生活の自立の両方の取り組みが重要となります。
【問】
現在、福祉事務所は、203人のケースワーカーが18077世帯の生活保護受給世帯に対応する体制となっています。一人89世帯を担当し、個々の状況に応じた訪問計画を立てています。ケースワーカーの負担減と生活保護者一人ひとりの状況に応じた、きめ細かな自立支援計画を行うためにも、さらなるケースワーカーの増員や専門非常勤・外部委託などで人的資源を確保し、生活保護受給者一人ひとりに対するケアを厚くして頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
また現在、日常の家庭生活や社会生活において、生きづらさを抱えている人たちが多く見受けられます。
生きづらさを抱えている人たちは、経済的困窮のみならず、精神的な問題、家庭の問題、健康問題など複合的な課題を抱えている場合が多く見受けられます。
生きづらさを抱えている人たちの支援を行うことは、生活保護受給者からの脱却、家庭崩壊、DV、児童虐待などの早期解決につながり、ひいては当事者の家族に対しても生活向上を促すことに繋がります。
この複合的な課題に対応するためには、行政機関だけでなく、NPO法人や専門機関などとの協働による包括的・総合的な支援体制を構築することが必要です。
【問】
衛生部では自殺対策の一貫として、平成24年度より国のパーソナル・サポートモデル・プロジェクト事業を活用した「いのち支える
寄り添い支援事業」を行っています。この国の事業を活用し、生活困窮者など生きづらさを抱えている人たちを対象とした支援とし、各関係機関に周知啓発をして頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
【問】
また、自殺対策支援センター ライフリンクなどのNPO法人と連携し、生活スキルの向上や個々の状況に合わせた諸問題(精神的なケアも含まれる)を解決する能力の向上を支援する働きかけもして頂きたいと思いますが、如何でしょうか。
現在の相談窓口では、アウトリーチ機能が弱く、社会的に孤立している人や複合的な課題を抱えた方に対しての支援が適切に行われているとは言い難い状況です。教育や福祉関係機関などと密な連携を行い、個々の家庭状況に応じたきめ細やかな支援を行うことこそが、生きづらさを抱えている人たちが現在抱えている問題に対しての早期解決策へとつながっていきます。
区として早急に整備して頂くことを求めます。
<福祉部長>
私からはまず、生活保護に関するご質問についてお答えいたします。
生活保護世帯につきましては、ケースワーカーが心身の状況などの実態を正確に把握したうえで、個々の世帯の自立を支援しております。また、就労支援や若年者支援などにつきましては、特に専門に支援する職員などを配置しており、今後も生活全般に関するきめ細かな支援を充実させてまいります。
現在、不正受給防止や医療扶助の適正化、就労支援などの課題に対して、全力で取り組んでおります。今後とも、生活保護適正実施協議会のご意見を伺い、また生活保護制度に関する国の動向を注視しながら、適正な生活保護の実施に取り組んでまいります。
<産業経済部長>
私からは、寄り添いの自立支援策についてのご質問のうち、国の生活支援戦略に関わることについてお答えします。
まず、中間的就労の場の構築についてお答えします。
これまでも区では、あだち若者サポートステーションにおいて民間企業の現場で就労能力の向上をめざした「あだち仕事道場」を行なってまいりました。国の生活支援戦略においては、このような中間的就労が重要な支援事業の一つになると思われますので、「あだち仕事道場」の拡充を進めていくのと同時に、札幌市や釧路市など他の自治体で実施している事業も研究し、他の中間的就労支援メニューも検討してまいります。
また、事業実施にあたっては、支援を担っていただくNPO法人や民間企業に対してのインセンティブは必須と考えられますので、拡充していくとともに、その財源確保について、国に要望してまいります。
次に、生活支援戦略事業の活用についてでございますが、生活保護世帯を含め、多くの低所得者が存在する当区では、生活保護に至らない、また生活保護から脱却する仕組みを構築しようとする生活支援戦略につきまして、極めて高い関心を持っております。
これまでも、国の担当所管に出向き説明を受けたり、国の主催するセミナーに参加したりして、積極的に情報の収集に努めてまいりました。今後は、モデル事業の募集が始まると思われますので、関係所管で構成する検討会の中で、応募内容を検討してまいります。
なお、その中で社会から孤立している方や複合的な課題を抱えた方へのアウトリーチや関係機関の連携等についても検討してまいります。
<福祉部長>
次に、自立支援に向けた人的資源の確保について、お答えいたします。
生活保護受給者の急増に対応し、今年度まではケースワーカーなどの増員を行ってまいりました。来年度においては、専門非常勤の増員配置に加え、一部事務の外部化も検討するなど、体制を整備し、今後とも、生活保護受給者の方一人ひとりの状況に応じた就労や目常生活における支援を充実させてまいります。
<衛生部長>
私からはいのち支える寄り添い支援事業の支援対象者と啓発についてお答えします。
この事業は、様々な生活上の困難に直面し、自殺念慮がある、または、そのおそれのある区民が対象となります。今後、該当する方が各関係機関の窓口を訪れた場合には支援対象者として紹介していただけるよう、機会を捉えて周知啓発に努めてまいります。
また、いのも支える寄り添い支援事業の支援対象者に対しては、個々の状況に合わせて生活スキルの向上や、主体的な問題解決能力が高まる寄り示い支援を実施しております。今後も引き続き、きめ紬やかな支援に努めてまいります。