2月25日の一般質問 パート1(おいしい給食について)
皆さまへのご報告が大変遅くなってしまいましたが、以前の定例会での本会議における一般質問のご報告をさせていただきます。
2月25日に民主党から一般質問をさせていただきました。
今回の一般質問では、子ども達が安心して健全に育つことができる足立区を目指し、以下の大きく3点について質問・提案を行いました。
1.子ども達にとって、本当に必要な食育とは
2.足立区の全ての子ども達に消費者教育を
3.子ども達が育つ環境の整備
今日は、パート1として、食育の部分についてのご紹介をいたします。
足立区では現在、残菜率の低下などを目的に学校給食をおいしく楽しいものにするための事業として、平成20年から始まった「おいしい給食」事業が行われ
ています。
その中で、有名なシェフを招いて給食の献立を考え調理してもらう「スーパー給食」という事業があります。
しかし、いま子どもたちに本当に必要なのは、一流シェフの考えた「おいしい給食を食べること」よりも、給食も満足に食べることが出来ない貧しい国々の子
どもたちがいることや、食の安全、温暖化による食糧危機、食料自給率の問題といったことを学ぶ「食育」ではないでしょうか?
そのことが結果的に残菜率の低下に繋がると考え、「食」と「さまざまな教科」の連携を提案しました。
区として進めなければならない本当の食育とは何か?子ども達にとって、必要な食育とは何か?
美味しい給食を食べて満足、それで終わりでなく、子ども達が「食」について、しっかり考えられるような取り組みを進めていかなければならないと思います。
*****以下、議会での質疑要旨の抜粋(食育部分)です*****
〜一般質問は、質問者が質問を全て投げかけ、その後、行政側がまとめて答弁するという方法です〜
民主党の長谷川たかこです。
私は、未来の足立区のためにもっとも重要な政策のひとつである、こども政策として、「教育や子育て」に絞って、質問をさせていただきます。
まず、足立区が進めている「おいしい給食事業」について、ご質問いたします。
足立区では平成20年度から、「おいしい給食事業」が始まっています。
給食の残菜率を減らすために、給食をおいしく楽しいものにしようという発想から始まった事業のようですが、現在の事業の進め方が、「ただ単に給食をおい
しくする」ことだけに、重点が置かれ、そもそももっと大切である「食育」の観点が抜け落ちているのではないかと感じてしまいます。
給食をおいしくするのは食育のために手段であって、目的ではないはずです。
そこで、おいしい給食事業について、お尋ねします。
【問】おいしい給食事業の本来の目的は何か?
子ども達の給食をただ単に美味しくするだけのものなのか?それとも、給食を通じて知識や心の教育を行う「食育」を進めることが目的なのか?
【問】また、給食を通じて知識や心の教育を行う「食育」を行ってこそ、子どもの教育という点では意味があると思いますが、区の見解はいかがでしょうか?
【問】さらに、食育を進めることは、区が求める「残菜率の低下」に、本質的な意味で効果があると思いますが、いかがでしょうか。
次に、今年度からおいしい給食事業の目玉として始まった「スーパー給食」についてお尋ねします。
スーパー給食事業とは、一流のシェフを招いて、学校給食の献立を考え、調理してもらい、児童・生徒たちに味わってもらう事業として、今年度、行われまし
た。
【問】今年度、小中学校合わせて何校で行われ、どれだけの経費がかかったのでしょうか?
また、残菜率の検証を含め、区としてどのように評価しているかなど、「スーパー給食」の2009年度の実績と評価についてお尋ね致します。
私も実際に視察をさせていただき、またその後、担当者からご説明をいただいた範囲では、スーパー給食の関連として、給食当日のシェフとの交流や、その
後、学校便りに献立等を載せる、今後、足立区の他の学校にも献立を広めていくという話でした。
これだけでは、有効な食育になっておらず、多額の経費を使ってまで行うことか疑問を感じました。
子どもたちの思い出づくりとして、また給食を通じて、「食」について考えるきっかけづくりとして、このような事業を行うことは悪いとは思いませんが、目
的をしっかり持つことが大切であり、一過性のイベントにしてはいけません。
【問】現状では、「スーパー給食」は、当初の目的を果たしているのか、区の見解をおききします。
また、来年度の予算の計画書の中には、「教科と給食を連携させた指導」とあります。
【問】本年度実施したおいしい給食事業、スーパー給食では、「教科と給食を連携させた指導」という視点はなかったのでしょうか?
【問】また来年度以降、どのように連携をさせていくのか?
お尋ねいたします。
近藤区長のホームページでの発言や、区の担当者からの最初の事業の説明では、食育がメインのような印象を受けましたが、実際は「スーパー給食」を食べた
だけになっている感じを受けます。
本来は、もっと総合的なあらゆる分野と融合させた食育が必要だと考えます。
また、一部の児童・生徒だけが、美味しい給食を食べて終わりでは意味がありません。
一部の児童・生徒が学びとったことを、足立区の他の児童・生徒も共有し、足立区で学ぶすべての子どもたちに還元していかなければなりません。
そこで他の教科と連携をした、『 総合的な食育 』という点から質問・提案をいたします。
【問】たとえば、WFP(世界食糧計画)の事業の紹介や、世界の恵まれない国々の給食事情や、その献立などを勉強することにより、特にスーパー給食のよう
な美味しく、ある意味非常に恵まれた環境にある自分たちとの両極端のギャップを認識させることにより、食のありがたさ、世界の貧困の勉強になるのではない
でしょうか?
また、そのような教育をすることの方が、おいしい給食を食べるだけの授業よりもはるかに、残菜率の低下に効果があると思いますが、いかがでしょうか?
現在、足立区は「環境日本一」を掲げ、環境教育にも力を入れていく方針ですが、給食でも、立派に環境面を学ぶ教育ができるはずです。
足立区では、環境教育というと、出前事業などで「省エネ」がメインに指導を行っているようですが、省エネだけが環境教育ではないと思います。
自分たちが実際に食べた給食が、地球環境問題とどのようにつながっているかを学ぶことは大切な環境教育であり、「食育」であるはずです。
【問】たとえば、スーパー給食で出された食事の原材料の産地などを取り上げ、地産地消の考え方や、CO2の見える化(フードマイレージ)の考え方を学ぶ機
会になるのではないでしょうか?
【問】また、温暖化や食糧危機等を結び付けて、地球環境を考えるきっかけを作ることも、環境教育であり、食育であると思いますが、いかがでしょうか?
現在、区内の4つの小学校において、給食の残飯を循環型リサイクルにかけ、肥料にしています。ここでは、学年を絞り、年に1回、循環型リサイクルについ
ての授業を行っているそうです。
モデル校のみならず、足立区全校に、実際に行っている学校の導入成果を教えることも重要です。
【問】そこで、スーパー給食などをきっかけとして、児童・生徒たちが残す残菜の行方などの話をすれば、食べ物の大切さや、循環型社会の教育ができると思い
ますが、いかがでしょうか?
また、食の安全も教育に取り入れることができます。
【問】学年によっては、食品の管理や流通、いわゆるトレーサビリティの話し、遺伝子組み換えや残留農薬、BSEなど、いわゆる「食の安全問題」も合わせて
学ぶことができるいい機会だと思いますが、いかがでしょうか?
さらに食育を社会科の授業と結びつけることもできると思います。
【問】自分たちが実際に食べた給食を例にあげ、食料自給率の話し、日本の農業の現状や大切さなどの授業も行うことができると思いますが、いかがでしょう
か。
【問】それらを学ぶ上で、衛生部・環境部・教育委員会などが個別に事業を行うような、行政縦割りの進め方ではなく、スーパー給食などの成果を最大限利用し
て、縦割り事業をなくし、すべての分野を一つにつなげるような、何重にも厚みのある足立区としての事業を展開するべきだと思いますが、区の見解をお聞きし
ます。
もちろん、いままでのような家庭科の栄養学的にみた教育「栄養のバランス」「規則正しい食事」「子どもの時期の食の大切さ」などを教える授業も大切で
す。
いずれの授業も、単発的には各学校で行われていたり、それぞれの科目で少し触れられたりはしていると思います。
しかし、ここでの提案は、それらを「食」というキーワードで結び、すべてを一つにつなげるような、何重にも厚みのある授業をすることです。
教科書や参考書に載っている事象ではなく、自分たちが実際に食べた給食を教材にすることにより、より関心が持て、自分たちと社会の関わりを学ぶこともで
きると思います。
そうすることで、ただお金をかけて、おいしい給食を食べて終わりでなく、幅広く「食育」の教材として活用していっていただきたいと思います。
以下、答弁です。
<学校教育部長>
「おいしい給食事業」の目的についてお答えします。
「おいしい給食事業」の目的は、子どもたちが学校給食を通じて、生産者や調理師に対する感謝の気持やバランスよく食べる事の重要性、栄養に関する基礎的
な知識を学ぶと同時に、「おいしく感じる」ことにあります。
<学校教育部長>
次に、食育と残菜率との関係についてお答えします。
「おいしい給食事業」においては献立の工夫や食べる環境の改善などに加え、学校や家庭における食育を進めることによって食材や栄養に対する理解が深ま
り、子どもたちの健康を育むことにつながると考えております。その結果として、残菜率も下がるものと思っております。
<学校教育部長>
次に「スーパー給食」の費用と評価、目的についてお答えします。
「スーパー給食」は、小学校2校と中学校1校で実施し、延べ5人の一流シェフが対応しました。
費用は当日の調理の他に、献立考案費、事前試作費、全校児童分の給食便り作成費、プロカメラマンによる写真撮影費等をすべて含めまして、315万円でご
ざいます。
この事業は、子どもたちの食べる意欲を向上させることを第一の目的として行いました。
実施校では当日の残菜が通常の半分近くに減少したほか、一部の子どもたちはシェフとの交流授業を通じて、プロの職業観など、通常の授業からは得られない
多くの事を学ぶことができたと思っております。
また、他校の学校栄養士も延べ40人が視察を行い調理技術の向上を図ったり、開かれた学校づくり協議会の委員の方々も参加したことで地域への情報発信が
できました。
加えて、当日の様子が全国版の日刊紙に記事として掲載され、多くの家庭で「食」について話をするきっかけづくりができたと考えております。
シェフが考案したメニューは、レシピの共有により、全109校で給食として提供され、実施校以外でも子どもたちの人気メニューとなっております。
以上のことから、「スーパー給食」につきましては当初の目的を果たしているものと考えております。
<学校教育部長>
次に、教科との連携および来年度の事業の進め方についてお答えします。
区内産小松菜を使用した「スーパー給食」では当日、小松菜生産者の方を子どもたちに紹介するなど、地産地消の食育としての視点も取り入れました。
また、そのことにより実施校と生産農家との交流が深まり、児童が社会科の授業で農業体験を実施するなどの効果もありました。
教科との連携につきましては、学校給食を題材とした指導集作成プロジェクトを進めており、1年生から6年生までの段階に応じたテーマを設定し、生活科や
家庭科、保健体育の授業の中で給食献立と関連付けた指導を行うものであります。
また、中学生向けには給食メニューコンクールを実施し、栄養バランスのよい給食献立を考えてもらいました。応募116作品の中から5作品を表彰し、受賞
作品の一部はすでに給食として提供されております。
今後もこうした取り組みを通じて食育の視点においても十分配慮しつつ、おいしい給食事業を進めてまいります。