代表質問の内容④【医療的ケア児及びその家族に対する支援等の拡充と新たな支援策について】
医療の進歩とともに助かる子供たちは増えていますが、助かったからといって健常児と同じような生活ができるわけではありません。社会や地域の受け皿が整備されていなければ、医療的ケア児の待機児童も増え続けることが予想されます。医療の進歩と同じスピードで行政の受け皿を変え、障害や病気のせいで子供たちの将来が狭まらないような社会になることを望みます。その為にも、医療的ケア児を支える家庭の負担軽減に繋がる新たな支援策の構築に向けて、駆け足で構築することが必要です。
*****以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。*****
<長谷川たかこ>
1. 医療的ケア児の「在宅レスパイト事業」の時間拡充について
【問】足立区では、利用者一人に対して年間144時間まで(1回4時間まで)医療的ケア児の「在宅レスパイト事業」が利用可能ですが、1年間で36日間、1ヶ月換算すると1か月に3日間しか利用できません。子どもの少しの体調不良でも登園を控えざるを得ない当事者親子にとって、全く足りないのが現状であると当事者から強く声が挙がっています。
以前から所得制限の撤廃と利用時間拡充について議会提案をしています。すでに目黒区、大田区、荒川区では、利用者負担が無料です。さらに自己負担額を減らしている区は、千代田区、新宿区です。「親の休息」という理由ではなく、「親の就労との両立」といった観点から、改めて所得制限の撤廃と利用時間の拡大について再考するよう強く要望します。
区の見解を求めます。
<福祉部長>
本事業は東京都の「在宅レスパイト・就労等支援事業実施要綱」に準じて実施している事業であり、親の休息だけではなく、求職活動等の一部就労支援にも利用可能なものです。
第2回定例会でお答えいたしましたとおり、自己負担額につきましては、当区を含む17区が都要綱に準じて世帯の所得に応じた負担としており、現時点で無償とする考えはありません。
利用時間につきましては、令和5年度より都の制度改正に合わせて96時間から144時間に拡充した所であり、現時点で見直す予定はありませんが、今後の利用状況や都・他区の状況等を把握しながら、適宜検討をして参ります。
2. 医療的ケア児の親の就労を目的とした「在宅型病児保育制度」等の新設について
<長谷川たかこ>
足立区でも、医療的ケア児を受け入れる公立保育園が5園に増えたことや私の議会提案により、大阪府豊中市をモデルとした支援体制が構築されつつあります。少しずつ医療的ケア児を育てる家庭支援が進んできていることが実感できると当事者の親御さんから声が届いています。
しかし、医療的ケア児支援法に記載されている「親の離職防止」といった観点では、まだまだ制度が不足しているのが現状です。医療的ケアが必要な子供が公立保育園に入園できたとしても、少しの風邪でも体調を崩しやすい医療的ケア児は、保育園を休まざるを得ない状況です。医療的ケアの必要のない所謂“健常児”であれば、病児保育やベビーシッターなど預け先がたくさんありますが、医療行為が必要である子供はそのようなサービスが受けられないのが現状です。
実際に、足立区のホームページに記載されている「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)認定事業者一覧」のうちの複数事業者に当事者の親御さんが確認の電話をしたところ、医療的行為を理由にほとんど断られてしまいました。一覧に記載されていない事業者で医療的行為のできるベビーシッターも1件見つけたそうですが、健常児が¥3,000/時間に対し、医療的ケア児は¥6,000/時間と大変高額であり、補助もないため現実的ではありません。
子供が体調を崩し保育園に登園できない場合は、親が有給を使用しながら看護をしていくことになりますが、有給の日数には限りがあり、せっかく復職できたとしても、退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまう例も数多く耳にします。
【問】医療的ケア児が保育園を休んだ場合も安心して預けられる、地域の訪問看護ステーションと提携した「医療的ケアも可能な在宅型病児保育」制度や、さらに東部地域病院の病児保育室を医療的ケア児も利用できるよう拡充させ、親の休息を目的としたレスパイト事業以外の「就労を目的としたサービス」が受けられる体制を早急に構築するよう強く要望致します。区の見解を求めます。
<子ども家庭部長>
私からは、レスパイト事業以外の「就労を目的としたサービス」が受けられる体制を早急に構築することへの要望についてお答えいたします。
医療的ケア児の保育支援については、現在、発熱等の症状のない時の医療的ケア児の受け入れ体制の構築に注力している段階です。その為、ご提案の「医療的ケアも可能な在宅型や施設型の病児保育」につきましては、現時点では早急な実現は大変困難と考えております。
今後は、区立園に通園する医療的ケア児の保護者や病児保育を行っている事業者等にヒアリングを実施し、医療的ケア児が病気になった時の保護者の就労を目的とした支援のあり方について研究して参ります。