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令和6年足立区議会第3回定例会代表質問の内容⑤【香害対策について】

社会的には、2000年代後半から香りの強い海外製の柔軟仕上げ剤がブームになったことをきっかけに、芳香性を工夫した商品の品ぞろえが増え、現在は、消費者が香りの強さや種類を選択できるよう様々な商品が販売されました。しかし一方で、そのにおいに不快に感じる人や体調を崩す人もいます。

 

厚生労働省が2023年に公表した研究報告書によると化学物質過敏症発症者のうち、約7割が柔軟剤や洗剤などに含まれる香料が発症のきっかけの一つになっていると指摘しています。日本消費者連盟や化学物質過敏症支援センターなどでつくる連絡会が2019年に行ったアンケートでは、9030人のうち約8割に当たる7136人が香りつき製品で具合が悪くなったことがあると回答、頭痛や吐き気がして仕事や学校に行けなかった経験のある人も2割いたと公表されています。

 

以来、多数のメディアが取り上げ、社会問題となりました。

 

原因の製品は、柔軟仕上げ剤が最多で86%、香りつき合成洗剤73%、香水66%、除菌消臭剤が56%など、身近な生活用品がほとんどです。

 

区内在住の小学1年生のお子様を持つ当事者の方にお会いし、お話をお聞きしました。お子様が一昨年から化学物質過敏症を発症し、教室の匂いがつらくて週に2~3回はお休みをしているそうです。一昨年から体全体に蕁麻疹が現れ、頭痛や喘息が顕著に出て体調不良を訴えておられます。またお母様も同様に発症し、親子で「香害」に悩んでいます。

 

この化学物質過敏症は他人ごとではありません。

 

私は新築住宅に引っ越した際には、シックハウス症候群で体調を崩しましたし、妊娠期には極度の一過性の化学物質過敏症を発症しました。

 

先ずは、発症の原因となる物質を回避することが重要です。

保育園や学校教育の現場で、子ども達の香害を防ぐ取組みの徹底を求めていきます!

 

※※※※※※以下、委員会での発言要旨(抜粋)です。 ※※※※※

 

☆【香害対策について】

《長谷川たかこ》

「香害」の被害者は、通りすがりの人から漂ってくる香水に嫌悪感を感じるなど一過性の害に悩む人から、集合住宅の近隣から毎日のように侵入してくる洗剤やタバコの煙によって化学物質過敏症という深刻な病気にかかる人まで多様です。こうした化学物質過敏症は、どんな物質がトリガーになるかわからず、いつでも誰でも症状が出る危険性がある病気です。

 

区内在住の小学1年生のお子様を持つ当事者の方にお会いし、お話をお聞きしました。お子様が一昨年から化学物質過敏症を発症し、教室の匂いがつらくて週に2~3回はお休みをしているそうです。一昨年から体全体に蕁麻疹が現れ、頭痛や喘息が顕著に出て体調不良を訴えておられます。またお母様も同様に発症し、親子で「香害」に悩んでいます。

 

【問】先ずは、発症の原因となる物質を回避することが重要です。消費者庁作成の香りのマナーについての啓発ポスターを区内公共施設や各学校・保育園等で掲示を行うよう強く要望致します。また、広報にも掲載をし、広く区民に予防を含めた周知啓発を徹底して頂きたいと思いますが、区の見解を求めます。

《産業経済部長》

私からは先ず、消費者庁作成の香りのマナーについての啓発ポスターについてお答えいたします。注意喚起につきましては、啓発ポスターを消費者センター及び生活衛生課の窓口に掲示しております。各学校や保育園にも啓示を依頼し、周知啓発を行っております。今後、他の公共施設につきましても掲示を依頼して参ります。

 

また、かつて広報で消費者団体による香害の調査研究発表会開催を周知したことがありましたが、今後、広報で香りのマナーについての記事も掲載し、周知啓発を行って参ります。

 

《長谷川たかこ》

【問】学校のホームページ上、もしくはタブレッドで子ども達や保護者に対するアンケートが比較的簡単にできると思われます。香害の実態調査を行って頂きたいと強く要望致します。また、同時に区民アンケートも併せて区のホームページやライン・ツイッター・Facebook等のSNS上で行って頂きたいと思います。区の見解を求めます。

  • 《学校運営部長》

私からは学校などにおける香害対策についてお答えいたします。

先ず、香害の実態調査についてですが、現在も区民の声などで香害に対する苦情を頂いていることから、区として香害で苦しんでいる方がいることは認識しております。

 

また、保健調査票のその他記載欄にて毎年ご家庭からご報告を頂けるようになっているため、改めて実態調査を行うことは考えておりません。

 

  • 《産業経済部長》

また、香害の区民アンケートについてですが、消費者センターにおいて香害に関する相談を受けていることから、区民へのアンケートを行うことは考えておりません。

 

《長谷川たかこ》

【問】保育園や学校教育の現場でも、子ども達の香害を防ぐ取組みの徹底を求めます。大人の場合では、被害を受ける空間から退避することはできますが、子どもの場合は、そうはいきません。例えば、授業参観日に保護者が着ている衣服から柔軟剤のにおいがすると、その子どもは一定時間そこで我慢し、苦しむことになります。そのような子ども達が出ないよう、子どもたちを守る為にも、まずは保護者に香害の実態を知ってもらい、周知することが重要です。教育委員会から保護者宛に文章による周知啓発も加えて行ってもらいたいと思います。区の見解を求めます。

《学校運営部長》

次に香害に関する保護者周知についてですが、区立小・中学校に対しては、文部科学省のポスターを活用しているほか、現在も教育委員会から学校・保育園を通じた文書通知を行っております。

 

《長谷川たかこ》

【問】兵庫県宝塚市では、香害の取組みが先進的に進んでいます。

既に宝塚市教育委員会では小中学生を持つ保護者に対するアンケートを実施しており、踏み込んだ対策を行っています。宝塚市の教育委員会では、香害対策として今年から、学校の給食白衣の着用が難しい児童生徒については、各家庭で用意したエプロン・三角巾の使用を認めています。また授業参観など屋内の学校行事の際には、保護者に香料を控えるよう啓発をするとしています。足立区においても、このような取り組みはすぐにでも出来ることです。香害による体調不良で苦しむ子ども達を少しでも救済するよう、早急に同様の取組みを行うことを強く要望致します。区の見解を求めます。

《学校運営部長》

次に香害対策の取組みについてですが、宝塚市と同様に足立区でも給食時に使用する白衣などは自身のエプロンを認める等、各学校に対して状況に応じた対応を求めております。また、柔軟剤の使用量の目安を参考に周囲への配慮を心がけて頂くなど、香りの配慮に関する対応について併せて周知をしております。

 

《長谷川たかこ》

【問】保健調査票に化学物質過敏症の欄を設けて、毎年書いて頂くことで子どものデータの蓄積もできます。積み重ねたデーターを参考にしながら、子どもたちを香害から守る取り組みを具体的に検討して頂きたいと思いますが、区の見解を求めます。

《学校運営部長》

次に保健調査票に化学物質過敏症の欄を設ける事についてですが、子どもの疾病・健康に関する項目は多岐にわたる為、欄を新たに設けることは難しいと考えております。ただし、その他欄が学年ごとに記載できるようになっているため、記載いただいた毎年のデータを参考に症状の把握や対応が可能と考えております。今後も香害を含め、子ども達の健康を守るための取り組みを行って参ります。

 

《長谷川たかこ》

【問】香水や柔軟剤などに含まれる化学物質の影響が少ないフレグランスフリーな空間は、香害に苦しむ人がいない、誰もが快適に過ごせる空間です。フレグランスフリーな空間を公共施設内で積極的に構築するよう努めて頂きたいと強く要望します。区の見解を伺います。

《都市建設部長》

私からは香害対策のうちフレグランスフリーな空間を公共施設内で積極的に構築すべきとのご質問について回答いたします。

 

まずは、公共施設利用者に対し、香害に苦しむ方がいる事実の周知や施設利用の際にはその点に配慮してご利用いただくためのポスターを掲示するなど、普及啓発していきます。その上で、フレグランスフリーな空間をどのように構築すべきか、他自治体の事例を確認しながら研究して参ります。